2016年12月15日 09:27

読解力のない人の末路

 授業前の準備の時間。電話のベルが鳴る。

 「お忙しい時間に失礼いたします。▲▲株式会社の✖✖でございます。ご経営者様は今お手すきでいらっしゃいますか。」

 「手すきではありませんが、ご用件は何でしょうか。」

 「これは失礼いたしました。現在無料でホームページを作成するキャンペーンをやっておりまして、そのご案内です。」

 「はぁ、あの、うちのホームページはご覧になるくらいして電話されてるんですかね?」

 「いえ、私は電話をかけているだけですので・・・」

 この辺まで聞いたところでこちらから電話を切ってしまいました。こちらとしてもこんな話を聞くのはもちろん時間のムダですし、あちらとしてもこれから何件も電話をかけるノルマがあるでしょうから、成約の見込みゼロのところで時間をとられるのも悪いでしょうし。

 何人もスタッフがいるのであれば、例えば、手分けして電話をかける前にまずホームページのあるなしを確認する。それから、①ホームページのない塾、②あるけどあまり活用されていないところ、③充実しているところに分類する。そして、③のところには電話をかけても話を聞いてもらえないだろうから、まず①のところに重点的に電話をするとか、それくらいの作戦を立てるようなことをすればいいじゃないかなどと、他人事ながら考えてしまいました。

 こんな非効率的に電話をかけまくるようなことをしていれば、話を聞いてもらう、さらにアポイントメントをとるところまで行く確率はかなり低いでしょうから、相当たくさんの件数の電話をかけなければいけないでしょう。結果的に働く時間は長くなり、それでいて成果の少ない仕事ということになるのではないでしょうか。

 「ブラック企業」という言葉が頭をよぎりました。過酷なノルマに長時間労働、低賃金そして時間外・休日の無給労働・・・。

 こんな仕事に従事せざるを得ない人々がたくさんいるらしいという現実に、私は、仕事柄、どうしても子どもたちの将来が心配になります。職業に貴賎なしとは言いますが、国語道場の生徒たちや自分の子どもが将来このような仕事にしか就けないような状況を考えると、正直とても怖いです。やはり、ちゃんと頭を使った仕事に就くとか、人の暮らしに役立つ有形・無形のモノを作れる人になってほしいと思うのです。

 しかし、逆説的ですが、こんなブラックな仕事でもあるだけ今はまだ「マシ」なのかもしれません。

 毎月、Googleという会社からビジネスレポートというメールが自動的に送られてきます。「うちの検索エンジンで『国語道場』を検索した人が◯百人いたよ、それでマップで道順を調べた人が△百人いたよ。だからGoogleに広告を載せてみませんか?」

 これ、集計からメールの送信、問い合わせ受付まですべて機械がやっているんですよね。でも、アタマ使ってない人間の営業電話より何百倍説得力があるでしょうか。

 人工知能の発達により、多くの仕事が失われていくと予測されています。それはそうだろうなと思わざるを得ません。「1日●百件電話しろ」みたいなノルマを何も考えずにこなすだけのような業務が人間に与えられて、少ないながらも給料がもらえるのも今のうちのことかもしれません。

 先日の記事で、東ロボ君について書きました。東大合格という目標で開発されていた人工知能(AI)東ロボくんの開発が断念されたのですが、その一つの大きな原因が読解力がないことだということを紹介しました。

 東ロボ君の開発チームリーダーの新井紀子さんは、

将来人間の仕事がAIに奪われないためにも、大切なのはAIが得意な知識の暗記で必死になるより、本来人間が得意なはずの、文章をきちんと読んで意味を理解する力を養うことではないか

 と言っているそうですが、まったくその通りだと思います。幼少期、少年・少女時代から良書をたくさん読み、要点や自分の考えを書いてまとめるような訓練を積ませるようにしていくべきです。

 さて、この新井紀子さんですが、現在の仕組みのAIをいくら発達させても読解力をつけることができない一方で、そのAIよりも国語の成績が悪い人々がいることを受けて、実際子どもたちがどれほど文章を読めているのかテスト(リーディングスキルテスト)を実施する予定です。

 この読解力テストの予備調査の結果、衝撃的な結果が出たということです。実に、約5割が、教科書の内容を読み取れておらず、約2割は、基礎的な読解もできていないということが分かったということです。

 塾の現場で教えていて、一般的な公立中学校で成績が真ん中辺から下の子どもたちとなると、教科書レベルの文章も正確に読み取れていないなというのは、実感通りですね。教育の七五三(小学生の7割、中学生の5割、高校生にいたっては3割しか習う内容を理解できない)という言説がありますが、それを実証するような結果にもなっていると思います。

 それでも、これまではまだ単純な事務作業のような仕事がありましたから、読解力が怪しくてもまだ何とかやっていけていました。これから社会に出ていく子どもたちには、どうもそういうわけにはいかない。読解力がなければ、単純な情報処理が得意なAIに仕事を奪われてしまいます。

 我々大人は、子どもたちに読解スキルを身につけさせるための訓練を、本気で受けさせるようにしていくべきでしょう。

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