2020年06月02日 11:17

「オンライン遠隔指導」の本当の意味

 COVID-19感染拡大防止対策の緊急事態宣言下、ご存じのように、多くの塾が教室での対面指導を中止し、インターネットを利用した遠隔指導を導入しました。中には、内容・効果ともに対面指導と同等だと主張する塾さんもあったように記憶します。

 一方で、一部大手の一斉指導の塾さんの遠隔指導について、対面と比べて明らかに質が落ちているという保護者の声を耳にすることもたびたびありました。先月の初めごろ、ある新聞の法律相談で、「授業の質が落ちているのに授業料が同額なのはおかしい。返金してもらえるか」といった投稿も目にしました。紹介する価値もないのでリンクは張りませんが。オンライン遠隔指導の品質が対面と同等だと主張する塾さんがあったのは、こうしたクレームに対する予防線を張るという意味もあったのかもしれません。

 私個人的にはどうかというと、やっぱりオンライン指導は対面よりも劣ると思いますね。

 特に、学習習慣が悪く、勉強のやり方から指導が必要なお子さんの場合は、いつまでも遠隔指導を続けるのはちょっと怖いなと思います。数学なら、途中式を記録せずに計算ミスを犯すようなお子さんであれば、こまめにノートをチェックして指導する必要があります。遠隔では、このようなきめ細やかな指導が非常に難しい。小学校低学年のお子さんであれば、講師から指示されていることがなかなか呑み込めないことも多いです。機器の操作がおぼつかないので、横に保護者の方がついている必要があると、親御さんのストレスにもなるでしょう。

 塾は、単に勉強を教えるところではなく、出来るようにするところだという点で、まだまだ遠隔指導は対面には到底かなわないというのが現実です。VR技術で、教室にいるかのような感じで指導ができるようなところまで進歩しないといけないかなという気がいたします。

 そう思っているのなら、なぜ国語道場は完全に休業せずにオンライン遠隔指導を行ったのかということですけれども、つまるところ、このようなことを子どもたちにやって見せることに教育的な意味があると考えたということです。パンデミックへの対応のような困難な状況においても、大人というものはこうやって必死に適応しようとするものなのだということを子どもたちに見せることは、とても意味があるだろうと考えたということです。

 もちろん、そんなことのためだけにオンライン指導をやっていたのかというとそういうわけではなく、きちんと戦略は持っています。チェック機能がどうしても脆弱なオンライン指導でも、学習内容を教えて子どもたちに演習をさせることは十分可能です。ここでひとまず最初の定期テストの範囲になりそうな単元を高速で進めていきます。そして、本日から原則として対面授業を再開するわけですが、この中で、これまでに進めたところの習熟度をチェックしていこうと考えています。そして未習熟な単元をさらに練習させ、可能な限り完璧な状況にまでもっていって、いずれ来るであろう定期テストに臨ませるつもりです。

 今回のコロナ禍を通して、塾業界の多くの仲間が、その困難を乗り越えるために遠隔指導を試みたり、授業動画を配信したりしたことについて、私はとても尊いことだったと思っています。こうしたことを子どもたちには頭の片隅にでも入れておいてもらって、自分たちが将来何か大きな困難に直面した時に、何とかしてそれを乗り越えられるような方策をひねり出すようなしたたかな人間に育ってほしいと願っています。

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