2016年02月26日 23:15

「前期・後期入試なら2回チャンスがある」と思うのは朝三暮四というやつです

 千葉県公立高校入試「後期選抜」の出願者数が確定しましたね。

 最高倍率は今年も市立稲毛の国際教養科の3.30倍ですか。

 しかし、まあ、この公立高校の前期・後期制は結局誰得だったんでしょうかねえ。

 中学や高校の先生は大忙し。高校では、学年末テストの直前だというのに、2回も学校を数日ずつ休みにしなければならず、授業が減ったり、部活動も制限されたりしています。

 学校現場で前期・後期入試を支持している人と言うのはほとんどいないんじゃないでしょうか。

 なんて言うと、

「いやいや、ちょっと待ってくださいよ。前期・後期があるということは、子どもたちは2回受験のチャンスがあるということじゃないですか。受験生のメリットはあるんじゃないですか」

という声が聞こえてきそうです。

 この、2回受験機会があることをメリットと捉えるのは、朝三暮四というやつですよ。募集定員が増えるわけではないので、別に受かりやすくも何ともなっていません。

 それでも、なんとなく得のような感じを持ってしまう方は、次のことを見てください。

 上に紹介した稲毛高校国際教養科の今年の入試ですが、前期入試に出願したのは89人でした(受験したのは87人)。

 前期選抜の定員は30人ですから、志願倍率は89÷30≒3.0倍です。高いですね。

 昨日確定した後期選抜に出願した人は33人。後期の定員は10人ですから、後期の志願倍率は33÷10≒3.3倍!こちらも高い。

 公立高校入試で3倍越えなんて、大変そうですね。ちょっと勝てる気がしないかもしれません(国語道場の受験生は見事合格してくれましたが)。

 しかし、しかしですよ、もしこれが1回入試だったらどうなったでしょうか。

 つまり、前期に出願した89人に対し、定員が40人だったらどうでしょうか。

 89÷40≒2.2倍!!!

 「え、2.2倍?これだったらなんかやれそうかも…」

 3倍超と2.2倍では、まったく印象が変わってきますよね。

 この辺が数字のマジックで、全体の定員は40人、受験者総数は89人で同じなのに、定員を分けたために、高倍率になってしまうのです。

 ここでもう1点注目してほしいことがあります。

 稲毛高校国際教養科に現時点で入学が確定している生徒は30人です。前期選抜不合格で、後期まで出願した生徒は、上のとおり33人ですね。

 つまり、前期から後期まで頑張って出願し続けている生徒は、多くて63人になってしまったということです。

 前期に出願した生徒は89人でしたから、そのうちの3割近い26人もの受験生が、稲毛高校国際教養科の受験を断念してしまったことになります。

 「まあ、前期で落ちたんだからしょうがないだろう」

という方もいらっしゃるかもしれませんが、どうでしょうか。

 例えば、前期選抜では、入試成績が31番、32番・・・という受験生たちも不合格になっています。31~40番までの受験生は、1回入試であれば当然すでに合格が決まっていたはずです。

 ところが、定員を分けてしまったために前期では不合格になってしまった。この受験生たちの中で、後期で稲高をあきらめてしまった生徒が全くいないなどとは到底言いきれないでしょう。

 結局、前期・後期制入試は、見た目の倍率が上がることで受験生に不要なプレッシャーをかけ、学校の先生方にも不評ということで、およそ誰にとってもメリットの少ない制度であると言っていいと思います。

 県教育委員会も本音のところでは1本化したいと思っているんじゃないですかね(実際現場の先生方と人事交流もあるのだし)。

 でも、決められないんですよね。

 決定権や責任を持っているはずの者が主体的にそれを行使しないでずるずると旧弊を改めないのは、悪い意味で日本的だなあと思ってしまいます。こんな状態で何年間無駄に使ってしまったことか。

 細かい制度の説明は省きますが、最も早いタイミングだと、今年中に公立高校入試1本化のアナウンスがあり得ます。

 ただし、実施は先になります。県教委の基本的な考え方は、制度変更の告知は、小学6年生が中学に上がるまでに行うべきものなんだそうです。

 したがって、現時点の小学6年生(新中学1年生)までは現行の前期・後期制で行くはずです。

 ということで、県教委の基本方針が変わらなければ、1本化は最短で平成31(2019)年度、今の小学5年生(新小学6年生)が受験するときになるでしょう。

 先だなあ・・・。そもそも今年中にアナウンスできるのかな・・・。

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