「塾に行っても成績が上がらない」人がいるのはなぜか
西千葉周辺の中学校の中間テストが終わってその結果が出るこの時期は、塾の問合せが多くなる時期だ。御多分に漏れず国語道場も、塾生の友人、ホームページを見て、前々から気になっていて等々の理由で、お問合せを頂戴する。
このこと自体、もちろん大変ありがたいことなのだが、保護者の皆様には子どもを塾に入れる前にぜひとも確認していただきたいことがある。
それは、子どもが「ちゃんとしよう」と思っているかどうかである。
「ちゃんとする」というのは、課題はできるだけ完ぺきにやる、忘れ物をしないように前日準備をする、ということ。とりあえずこの2点でいいと思う。現時点でできていなくても構わない。ただ、現時点で「ちゃんとやろう」という決意だけは持っていてもらいたい。
部屋が散らかっているとか、ゲームばかりやっているというのは、あまり問題ないことも多い。散らかっているようでも、本人がどこに何があるということを把握しているようであれば学習面では問題なく、地頭のいい子はゲーマーでも成績はよい。千葉大の理系学部の学生は、ほぼ全員ゲーマーだろう。
親としては、子どもの部屋がごちゃごちゃしているとか、ゲームばかりしているというのは気になるだろう。そのお気持ちは分かるが、学習成績という点では、やれと言われたことは少なくとも完ぺきにやるかどうかとか、忘れ物をしないかどうかの方が重要だ。
念のために付け加えると、部屋が散らかっていてなおかつ本人がどこに何があるかを把握していないとか、ゲームばかりしていて成績も悪いとなるともちろん問題。でも、これをいきなり解決することはできない。それ以前に、やることはしっかりとやる、忘れ物をしないというところからきちんとさせていかないといけない。
では、どうして勉強以前にこうした基礎的な生活習慣の見直しが必要なのかというと、そういうことができていない子どもがいくらお勉強をやろうが、まず成績が上がるなどということが起こるわけがないからだ。
塾に来ても筆記用具を持ってきていない、宿題はやったりやらなかったり。「宿題をどうして忘れたの」と聞かれると、「えーと、やったんですけど家にノートを忘れてきてしまいました」とか、しょうもない言い訳を繰り返す。
やれということをちゃんとやらないお子さんはなぜそういうことになるのかというと、そもそも人の話を聞いていないからである。教師が説明しているときに聞いていない。
さあ、それでは今教わったことを使って問題を解いてみようという段になって、「あれ、これはどうやるんだ?」ということになる。「先生、これはどうやるんですか?」--「え、さっき言ったとおりだから、その通りやってごらんよ」となる。こういうとき、子どもは自分が人の話を聞けていないことを自覚できないものだから、「質問しても教えてもらえない」などと思い込んでしまうこともある。
塾にお子さんを入れる前に、保護者の皆様にはまずこの、言われたことはちゃんとやる、忘れ物はしないの2点。今できていなくてもいいから、少なくともそれはちゃんとしようと思っているかどうか確認することが必要だと申し上げている理由は、お分かりいただけただろうか。こういうことができない、やろうとしない人は、「塾に行ったけど成績が上がらない」人だ。このような基本的な生活習慣を守らせることなく、ただ塾に行かせて勉強を教えてもらえば成績が上がるだろうなどと考えるのは、底の抜けたバケツで水を汲もうとしているのに等しいということを肝に銘じていただきたい。
少し前の記事だけれども、私が愛読しているブログでこんな話題があった。タイトルは、「高校の偏差値と生活の乱れの関連」。
東京都立高校1校1校につき、それぞれの生徒たちが朝食を食べていない割合と1日に3時間以上ケータイを使用する割合を調べたデータを、東京都教育委員会が発表していた。さらにそれを高校の偏差値別にまとめて集計するというなんともエグいお話。
まあ、想像のとおり、偏差値の高い高校の生徒は朝食もちゃんととっているし、何時間もケータイを使用しない傾向があり、偏差値の低い高校はその逆。朝飯も抜くのが多いし、何時間もケータイをいじっている傾向がある。
生活習慣がちゃんとしていない→学業不振→底辺高校への進学→だらしない生徒の密度が高いので、悪い習慣がさらにエスカレートしてしまうということもあるそうだ。
国語道場では、教材の忘れ物があまりにも多い生徒に対し、授業を中断して家に取りに帰らせることがある。これまでに一度だけ、それに対しクレームをつけてきた保護者の方がいらした。その生徒は、やはり宿題もやったりやらなかったりであった。「塾に行っても成績が上がらない」典型的なお子さんである。
忘れた教材を家に取りに帰らせることについて、自分の子どもではなくこちらにクレームをつけてこられるということは、お子さんの基本的生活習慣を改善させるおつもりがなく、塾に行かせて勉強をさせれば成績が上がるとお考えであったのだろう。しかし、それでは到底こちらとしてもご希望に沿うことができないことが明らかで、授業料を頂戴し続けるのも申し訳ないので、早々に塾をやめていただくことになったことがあった。
この時期、夏休み前に塾を検討されている方はたくさんいらっしゃることと拝察するが、どうかお子さん方には、やることはちゃんとやる、忘れ物はしないというこの2点について、まずはその気があるかどうかを確認してみていただきたいとこいねがうものである。
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