2016年06月07日 11:15

「常識」のレベルを上げる

 5日の日曜日から3週にわたり、西千葉地区周辺の公立中学校定期テスト対策「日曜道場」を実施しています。定期テスト範囲を繰り返し学習し、出来る限り完ぺきな状態に仕上げてテスト本番に臨ませるという指導の一環です。

 定期テストというと、社会や時に理科などの教科で時事問題が出題されます。

 先月、三重県の志摩市でG7サミット(伊勢志摩サミット)が開かれましたので、それについて勉強の合間に生徒たちに知っているかどうか聞いてみましたが、結構知らない子が多いですね。そもそもサミットなるものが開かれていたこと自体を知らないとか、主要7か国の中で日本とアメリカくらいしか言えないとか。

 成績下位層の子どもがこうであるというのは昔からそうなのですが、最近の傾向としては、学科の成績がそこそこ良いのに、こういうことを知らないという子どもが増えているような気がします。家庭での新聞購読者が激減していて、30代で2割、20代で1割と言われていますが、そういうこととも関連しているのでしょうか。

 「G7に入っている国を1人1個ずつ挙げてみて」と質問を投げかけてみると、「そんなの誰も知らないよね」と言わんばかりの表情で周囲を見回してしまいます。で、実際に知らない子を見つけて安心しようとしてしまう。自分だけの「常識」の殻に閉じこもろうとしてしまいます。

 これって非常に怖いことだなと思います。

 そもそも、新聞を読んでいるとかG7を知っているなんてことは、知的活動としてはかなりレベルの低い話です。保護者の皆様にはご存じの通りで、まともなビジネスパーソンや官僚で、ニュースも見ていない、そんなことも知らないなんてことはありえないことです。

 にもかかわらず、子どもの方はそうでないことが当たり前だと思ってしまう、そういう自分だけの「常識」の中に閉じこもろうとしてしまうというのは、本当に恐ろしいことです。なぜなら、知らないことを何とも思わなくなることで、その人の生きる世界が決まってしまうからです。そんなレベルの「常識」でとどまってしまう人が、将来まともな社会人になれるはずがありません。

 英国では、今月23日にEUを離脱するべきかどうかの国民投票が予定されています。しかし、英国がG7に入るような大国であるということを知らなければ、その影響力を想像できるはずもありません。

 武装過激派は世界中のいたるところでテロ事件を起こしていますが、G7に仏国が入っていることを知らなければ、昨年のパリ同時多発テロ事件ばかりがなぜこれほど世界中の注目を集めたのかも理解できないでしょう。

 私はかねて申し上げていることなのですが、大人が子どもにしてあげられる最善のことは、イラだち紛れに「勉強しなさい」などと言うことではなく、その世界を広げてあげることです。今回のテーマでいうと、子どもが思っている「常識」のレベルを上げてあげることです。

 そういう視点で定期テストの時事問題は何のためにあるのかを考えてみましょう。それは、日常的に世の中の動きに関心を持ってほしいということにあるのでしょう。

 しかし、実態は、単なるテスト勉強に堕していると言わざるを得ません。テストに出るからとりあえずその時だけお勉強しているというのが現実ではないでしょうか。だからすぐに忘れるし、世の中の動きに関心を持つという本来の目的につながっていきません。

 ニュースを見るとか新聞を読むなどと言うことは知的活動としては決してレベルの高い話ではありません。しかし、逆に言うと、そこにも到達していないというのでは、子どもをひとかどの人物に育てるという点においてお話にもならないということはご理解いただきたいのです。

 そんなわけで、日曜日に来てくれた子どもたちには伝えましたが、せめて朝のニュースくらいは見てくださいね。できれば、CMとかエンタメ情報とかいったムダな情報が少ないNHKのものがいいと思います。

 国語道場としても、子どもたちの可能性を広げるために、その関心の領域を広げてあげられるように、日々刺激を与え続けたいと思います。

—————

戻る


お問い合わせ先

国語道場(西千葉)

稲毛区緑町1丁目27-14-202
千葉市
263-0023


043-247-7115
お電話のお問い合わせは、火~土曜日の午後3時~9時
メールは24時間承っております。