「良い」作文
子どもたち、あるいは親御さんたちも大いに勘違いしていると思われることの一つ。それは、作文ってどういうことを書いたらいいのかということです。
多分、まじめなこと、立派なことを書かなきゃいけない、そう思っているんじゃないですかね。
「これからは、日本語を大切にしていきたいと思います(`・ω・´)ゞ」
「もっと環境のことを考えていきたいと思います(`・ω・´)」
もちろん、ふざけたことを書くのは論外なので、テストの時など限られた時間の中で名案が浮かばなければ、こんな感じで無難にまとめるという手はアリだとは思います。
でも、こういうまじめな作文、私が採点官だったら、A・B・C評価で、Bしかあげられないですね。だって、つまらないし、キレイごとすぎちゃって本当にそんな風に心から思ってるの?といぶかりたくもなってしまうし、おまけにみんなこんな同じようなことを書いてくるわけですからね。
まあ、高校受験だったら、これでもいいかもしれません。なぜなら、高校受験は、一部の学校を除けば、競争倍率が出ても2倍程度。要は普通の評価がもらえれば、それが原因で落とされることはありません。
しかし、これが難関大学の推薦入試の課題だったら、就職活動で各エントリーシートだったらどうでしょう。つまり、不合格になる人の方が多いような試験だったらということです。フツーの評価?そんなもの、絶対に不合格ですよ。
落ちる人の方が多い試験では、秀でている、飛びぬけている、そう評価されなければ、意味がありません。
では、そういう厳しい選考でも勝てるような作文とは?
それは、面白い作文です。
「面白い」なんて。そんなの私には無理だわ、などと思う必要はありません。作文において「面白い」とは、ある程度明確に定義することができます。
それは、自分の経験について具体的に書けていることです。
国語道場の作文指導は、この点についてとにかく練習させます。
上にも述べたとおり、高校入試のように、ほとんどの学校で合格者の方が不合格者より多いか同じくらいの入試で合格するためには、それほど突き抜けたものを書く必要は必ずしもなく、無難にまとめるというのはたしかに手ではあります。しかし、いいじゃないですか。B評価なんかより、Aを獲りましょうよ。その方が、高校入試でももちろん有利だし、なんといってもこれからの人生の中でそういう能力が必要じゃないですか。
今日の授業でも、いい作文を生徒が書いてくれました。部活での自分の経験を書く課題だったんですが、将棋部の生徒の作文の一節。
「振り飛車に対抗するなら、もっと振ったほうがいいよ」と先輩がアドバイスしてくれました。
いやもう、すばらしい、最高ですね。具体的に経験を書くなら、ここまで行かないと。
そんなマニアックな話を作文に書いて、ホントに評価されるのかなんて思われるかもしれませんが、とんでもない。
私の友人・知人の高校教師の中にも、囲碁・将棋マニアはいます。こんな作文が出てきた日には、
「◯◯先生、作文にこんなこと書いてあるんですけど、意味わかりますか?先生、将棋お詳しいですよね。」
なんてやり取りが採点会場で繰り広げられるのが、目に浮かぶようです。
生徒たちによく問うのですが、なぜ作文なんて課題が出るのかよく考えろ、ということです。
なぜ入試ではよく作文が課されるのか?県立千葉高でも作文は課される(5点ですけど)。なぜか?
それは、君という人間を先方の先生たちが知りたいからです。
ほかの人と同じような無難なことを言う人と、自分がこれまでやってきた楽しいこと、つらかったこと、成功・失敗談、そうしたことを面白く語れる人といたら、もう勝負がついていますよね。
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