2018年03月27日 14:24

「英検」が落選!?大学入試新テストで「従来型」の英検は活用されないことに・・・

 いささか衝撃的なニュースが伝わってきました。

 

英検「落選」に衝撃 高校教諭「最も身近な試験なのに」

 

 2021年から大学入試センター試験の後継新テスト(大学入学共通テスト)がスタートし、国語と数学では、すべてマークセンス式の現行のセンター試験とは異なり、記述式の解答が求められることになっています。そして、英語では読む・書く・聞く・話すの4技能の力を証明することが求められ、そのために「英検などの民間試験」の成績が必要されることになっている、と言われてきました。

 

 ところが、なんとその「英検」が新制度で活用される民間試験から落選したというではありませんか(;゚Д゚)

 

 ええぇぇ!じゃあ、もう英検なんて受けてもしょうがないんじゃないの?という声が聞こえてきそうです。

 

 ところが、昨日のNHKニュースでは、「選ばれたのは、英検を行う日本英語検定協会やTOEICを行う国際ビジネスコミュニケーション協会など合わせて7つの事業者です」と言われています。ん?英検協会は選ばれたんですか?

 

 

 (゜-゜)ちょっと何言ってるのかよく分からない・・・

 

 

 ということで、調べてみました。

 

 朝日新聞の記事によると、「高校などに最も普及している英検は現行の『従来型』が不合格となり、1回の試験で英語の4技能を測定する『新型』のみが認定された」ということです。

 

 「新型英検」?何だそれ?TEAPのこと?それとも英検CBTのこと?英検協会のホームーページを見ても、「新型英検」なるものの受験案内はありません。

 

 この報道の元ネタとなった、大学入試センターのプレスリリースがありましたので、それを見てみると、こんな感じ。

 

 英検協会が運営するテストでは、英検とTEAP、TEAP CBTが合格とあります。

 

 どうやら「新型英検」=TEAPではないようですね。上の表の英検の欄に、「公開会場実施」とか、「1日完結型」、「4技能CBT」などと書かれているのが「新型英検」ということなんでしょうか。

 

 そこで改めて英検協会のホームーページを見てみますと、今回の決定に対する解説がちゃんとリリースされていました(^^;

 

 ↓要点をかいつまんで表にしてみました。

  従来型 新型
公開会場型 1日完結型 4技能CBT型
会場 準会場 公開会場
会場数 17,000 400 400 47~ 19
開始年 1963年 2019年 2019年 2018年
新制度対応 ×
日数 2日 1日


1級 × 8,400円 16,500円 × ×
準1級 × 6,900円 9,800円 ×
2級 5,400円 5,800円 7,500円
準2級 4,800円 5,200円 6,900円
3級 3,400円 3,800円 5,800円

 

 朝日新聞の言う「新型英検」とは、上記の「公開会場型」、「1日完結型」、「4技能CBT型」のことのようです。「新型」だの「1日完結型」だのと、聞いたことがないのは当たり前ですね。そもそもこれまで行われていなかったわけですから。

 

 まあ、おおむね分かった感じではありますが、それでもまだちょっとよく分からないところも残ります。

 

 まず、「従来型」の公開会場実施のものと、「新型」の「公開会場型」との違いがよく分かりません。会場数を見るとどちらも約400ということですから、ひょっとして中身は同じもの?という気もしてしまいます。ならば受験料の違いは何?

 また、「従来型」の英検が不採用となった理由が、4技能を1回のテストで計測できないことと上の朝日新聞に書かれていますが、それでは検定に同じように2日かかる「新型」の「公開会場型」が合格となったわけが分かりません。

 

 その辺の疑問は措いておくとしても、「新型英検」、ちょっと高いですかね。

 TOEFLの1回2万円越えに比べればはるかに安いし、TOEICでも「聞き取り+読み取りテスト」に加えて「書き取り+スピーキングテスト」も受けなければならないので16,000円近くかかってしまうことを考えれば、安いことは安いですが。

 

 さて、それでは「従来型」の英検はなくなってしまうのかというと、そんなことはないと思います。

 

 2016年度の英検の受験者数は、約340万人だったそうですが、そのうち中・高生の人数は260万人に及びます。小学生の受験者数は37万人とのことですから、受験者の87%は子どもなんですね。

 

 どうして子どもが多いかというと、英検5級などの初心者向けの級があって子どもが受けやすいことと、なんといっても高校・大学受験での優遇制度が挙げられると思います。

 

 「従来型」の英検で優遇制度を実施してきた高校や大学が、2021年になって「『新型』じゃないともう優遇はしない」なんてことを言いだすかどうか。中にはそういうところもあるかもしれませんが、ほとんどが「どちらでもよい」と言うのではないでしょうか。

 

 今回の報道の、「従来型」の英検が落選したというのは、2021年以降の入試で国公立大学を一般入試制度で受験する場合に受けておかなければならない民間テストとして選ばれなかったということです。大学入試でも、私立しか受けないとか、推薦入試制度を利用するとかいう人、つまり大半の高校生には関係ありません。

 

 そんなわけで、小・中学生が受ける英検は「従来型」のもので全く問題ないし、大半の高校生にとっても「従来型」で何の問題もありません。

 

 とは言え、数千円の違いなら、新制度対応のほうがいいと思う人も多いかもしれません。将来は、2級以上は「新型英検」を受ける人が多くなり、大学入試でほとんどポイントになりそうにない3級では「新型」を受ける人はあまりいないことになるのではないでしょうか。

 

 「従来型」の英検に対する高校受験での優遇制度は2021年以降も問題なく存続するでしょうし、検定料も安いですからね。高校入試で得られる優遇措置が同じ内申点+1ポイントだったら、高い英検3級と安い英検3級どちらを受けますかと言われたら、それは安い方でいいと思いますよね。

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