2019年04月17日 17:38

「謀反人」現る

諸君、謀叛を恐れてはならぬ。謀叛人を恐れてはならぬ。自ら謀叛人となるを恐れてはならぬ。新しいものは常に謀叛である。

~『謀反論』/徳富蘆花

 今日、生徒の一人が授業の前にこんなことを報告してくれました。

「先生、私今日から水曜日は『帰宅部』なんです。」

「え、どういうこと?」

「毎週水曜日は部活を休むことにしたんです。」

 聞いて私はたいそう感心しました。

 彼女は、勉強と趣味の活動(=部活動)との時間的なバランスを考えて、自ら平日の1日、学校では部活は行われているけれども、自分は勉強をがんばる日に決めたということです。実は、国語道場にはこのような決断を自ら行った生徒たちがほかにも数名います。

 本来、文科省や日本全国の教育委員会は、部活動についてのガイドラインを定めています。それによると平日1日、土日どちらか1日を休養日に定めるとなっています。

 しかし、現実には、いまだにこうしたルールを守っていない学校が多数存在します。子どもたちに法律などの社会の決まりを教えなければいけない立場の学校教員のような大人が、このように平然と世の中のルールを破ってしまうことについて、私は日頃より呆れ、憤りを感じています。

 子どもたちや保護者の方々からすると、学校側からこれが部活の練習日程だなどと決められてしまうと、なかなかそれに反抗するのは難しいかもしれません。友達の中で自分の子どもがどう見られるかとか、先生の心証が悪くなるのではないかといったことが気になって、突出した行動に出にくいという気持ちも分かります。

 しかし、学校から提示された練習日程を守る一方で、裏では部活動が忙しすぎて疲れる、大変だ、勉強ができないなどと陰で不平不満を漏らしたり愚痴を言ったりするようなことは、私にはあまり生産的であるようには思えません。

 上に紹介した子どもたちのように、自分にとって勉強が第一だが、好きなスポーツなども頑張りたい。自分にとってはこれくらいの練習量が最適だから、活動日は自分でこのように決めるといった感じで、自分なりに勉強と部活の両立のあるべき姿を考えて、それを実行するというのはとても立派なことだと思います。国語道場という塾は、あらゆる学びの基盤としての国語をまず第一に子どもたちに身につけさせようというコンセプトの塾です。しかし、それと同時に、国語は自分のアタマで考え行動する人間の基礎的な力でもあります。このような「謀反人」が国語道場に現れたことを誇りに思いますし、私は全面的に応援したいと思っています。

 そもそも教育の目的というのは何でしょうか。それは、子どもの自立以外のことではありえません。自分のアタマで考え、判断し、行動できる人間に子どもがなっていけるようにすることこそが、教育の目指すものです。それが分かっていれば、子どもたちに何をやらせていくかはおのずから明らかですね。子どもたち自身にいろいろなことをやらせていくことが大切です。

 しかしながら、日本中どこを見ても、子どもに依存心を育てるだけのチェーン個別指導塾のごときが跳梁跋扈しています。かくして、夏期講習で30万円だの40万円だのと要求してくるような「塾」で、横に「先生」についてもらって手取り足取り教えてもらわないと地元の公立高校に入るための勉強もできないような子どもが生産されているわけです。

 心ある大人でしたら、子どもの成長にとって何が大切かということについて、真剣に考えたいものです。

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