あらゆる問題に対応できるのは、けっきょく国語力
今日は定期テスト対策学習会「日曜道場」を朝9時半から実施したのですが、台風15号の接近が早まることもなかったため、何とか定刻どおり16時半に終了することができました。
しかし、夜半から早朝にかけて台風が最接近するそうですね。私はけっこう築年数の経った家に住んでいるので、瞬間最大風速60m/秒と聞いて、ちょっとビビっています。週明け、また皆さんご元気にお会いしたいと思います。
中2の理科で、電流と回路が試験範囲の学校があります。そこの生徒の一人が、なかなか面白い質問をしてきてくれました。
直列回路では、回路全体の電圧は、それぞれの抵抗にかかる電圧をぜんぶ足したものになることを中2で教わります。
上の例だと、抵抗の一つにかかる電圧が1.0V、もう一つの抵抗にかかる電圧は0.5Vということで、回路全体の電圧は1.5Vになります。
で、生徒が、抵抗が何もないところに電圧計をつないだら、何Vになるんでしょうということを聞いてきました。
上の図のような感じですね。
結論を先に言ってしまうと、0Vになります。電圧というのは、ある点からある点まで電気を運ぶのに必要な仕事なので、何の抵抗もないところでは仕事=0になります。
現在の中2の教科書では、電流について水の流れのイメージで説明されています。これはこれでわかりやすいのですが、これだと抵抗のないところでも水の流れる勢いのようなものがあるように見えてしまいます。これで理解してしまうと、抵抗のないところにも電圧があるように思われるかもしれませんが、電圧の定義をきちんと考えると、それは間違いであることが分かります。
これで一件落着と思っていたら、また別の質問をしてくれました。まったくテスト前に何をやっているんでしょうね(^^;
回路の中の電源に電圧計を取り付けたら、電圧は何Vになるんでしょうねというもの。
イメージとしては上のような感じですね。回路図にすると、
こんな感じですね。
電源のところに電圧計をつけたら回路全体の電圧が出るのではないかといった意見もあれば、ついさっきまで電位差のないところでは電圧は0Vという話をしていたばかりだったので、ひょっとして0Vになるんじゃないかといった意見も出ました。どうも結論が出なさそうだったので、今度、電気関係の専門の◯◯先生に聞いてみようという話になりかけました。
そこで手を挙げたのが文学部のさとし先生。みごとにこの問題を論理的に明快に解決して見せてくれました。
上の図だと、確かに電圧計を電源につないでいるように見えます。それでは、この回路図を次のように変形してみましょう。
最初の図では、回路図の外側に書かれていた電圧計を、今度は内側に書いただけの図ですね。これと元の回路図が同じものであることは、納得いただけるでしょう。
それでは、次の図はどうでしょう。
電圧計をつなぐ点を、回路の中間ほどに移動した図です。しかし、これも実はこれまでの回路図と本質的には全く同じですね。ということは、さらにこの接続部分をずらしていくと・・・
こうなります。つまり、抵抗の電圧を測っているのと同じことになります。電源に電圧計をつなぐことは、回路全体の電圧を測ることと同じなんですね。
私は、この問題を電気の専門家でも何でもない、文学を専攻するさとし先生が見事に解決してみせたところが素晴らしいなと思いました。つまるところ言葉を使ってものを考えていく論理的思考力があれば、専門的な知識を詰め込んだりするまでもなく、ものごとを理解して、人に分かるように説明できるものなのです。
やっぱりあらゆる学びの基礎は、国語力ですね。
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