ここを乗り越えれば作文は書ける
このブログは、国語道場や塾長の私のことを知っていただくために続けているものですが、おかげさまで毎日たくさんの方にご覧いただいているようです。「いるようです」と申しますのは、国語道場ウェブサイトへのアクセス統計データを見て言っているからなのですが、ここ数か月は1日のPV数が1,000件を常に超えている状況で、ブログ村というところの集計では、国語道場のPV数に基づくポイントは個別指導部門第1位なんだそうです。
そもそも西千葉で1教場しかない零細塾のブログをなんでこんなに多くの方がご覧になっているのか不思議で仕方がなく、ホームページをダウンさせるために何者かがサイバーテロをかけているんじゃないかと不安になることもありました(私「マイナス思考」の人なので)。そこで、近隣の塾の教室責任者さんは、どういうことを書いているのかいくつか見てみました。
・・・なるほど確かに読むものとしては無意味なものばかりですね。
そもそもほとんどのところは教室責任者が何も書いておらず、本社のネット広報担当者が作ったコンテンツだけでした。教室長が書いているところもありましたが、文章として体をなしていないというか、「◯◯教室は燃えています」とか、消防車でも呼んだらどうかと言いたくもなるようなものばかり。よくもまあ子どもにものを教える立場の人間が、こんな恥ずかしいものを公に出来るなあと、変なところで感心してしまいました。
まあ、何件か見てよく分かりました。うちのブログの方が面白いということですね。
ご新規の方のご相談で、「作文がなかなか書けません」というものがしばしばありますが、まともに文章も書けないような教室長の塾なんかに通っていたら、それは書けるようにならないんじゃないでしょうか。ピアノの弾けない人にピアノを習ったり、泳げない人に水泳を習うような人はふつういないと思います。
国語道場にお子様を通わせてくださっている保護者の方やこのブログをお読みになっている方は、基本的に文章をちゃんと読まれる方だと思うんです。でも、世の中には「YDK」だとか「やる気スイッチ」とか聞いて「納得」してしまうような、文章ではなく単語に反応するような方々も結構いらっしゃるわけですよね。ろくに文章も書けない教室長でも、薄給で雇えるんだったら経営的には合理的なのかもしれませんね・・・。
周知のとおり、千葉県公立高校入試では国語で毎年必ず前期なら200字以内、後期なら140字以内の作文が出題されます。したがって、限られた時間内に事実や自分の考えを簡潔にまとめて書くトレーニングを積まなければなりません。国語道場では、中学生には原則として中1から全員、小学生には「国語記述」の受講者全員に対して、時期とそれぞれの日本語能力に合わせた作文指導を行っています。
ちなみに国語道場では、作文だけの授業は実施していません。理由は意味がないからです。文章を書くということと文章の読解は、車の両輪のようなものです。読解を通して自分が書くときに使える言葉や表現を知り、作文を通して文章を自ら形作ることで、文章を書く人はこのようなことを考えて書いてるのか、ということを知るのです。
高い評価が得られる作文のポイント、それは、具体的に書けているかどうかです。これができるようになれば、基本的に作文について教えることは何もありません。
具体的に書かれた作文の評価がよくなるのは、人は具体的な話の方が分かりやすくて面白いと感じるためです。具体的に書くことのメリットはこれだけではありません。簡単に字数を稼ぐことができるようになります。作文の苦手な子さんは、原稿用紙のマス目をいかに埋めるかで悩んでしまうものですが、具体的に書くことを覚えれば、200字作文なんて字数が少なすぎて困っちゃうくらいになります。
しかし、子どもにとってはここがなかなか難しいようで、なかなか飲みこめない生徒も多いんですね。
具体的に書くどいういうことでしょうか。例えば「人のために役に立つ活動をしたいです」というのは具体的ではありませんね。このような記述は抽象的です。こういう場合は、「道路に落ちているごみを拾う」とかいったように書くとより具体的だということになります。
ところが、この「具体的に」というところに踏み出せるまでにもっていくのがなかなか難しい。これは学力が高い低いはあまり関係がないですね。学力が高いのに、なぜか書かせると抽象的な話になってしまうお子さんは、結構います。
先日の授業で、一人の生徒に、「あなたにとって良い質問とはどのようなものですか」という課題で作文を書かせていました。作文を書くための段取りとして、材料のメモを作るところから私は指導するのですが、その生徒の最初の答えは、
「相手を自分の質問に引き込むようなもの」
というものでした。
どうでしょう。非常に抽象的ですね。そこで、
「じゃあ、相手を自分の質問に引き込むためには具体的にどういうことをしたらいいのよ。それを書いてね。」
と新たな課題を出しました。
その生徒が次に書いてきたことは、
「相手のしてほしいことをすることで、自分の質問に引き込む」
というもの。う~ん、もどかしいですね(^-^;
そこで、
「だから、その『相手のしてほしいことをする』ってのは、具体的に何をするのよ。北川景子を連れてきて質問してもらって、それに答えると『すごいですね!』ってほめてもらえるようにするってこと?」
てな感じでちょっとかき回してみます。
「いや~、そんなことではないです。」
「じゃあ、何をするのよ。」
「え~、具体的には・・・。」
「だから、それを最初から書いてよってこと(;´∀`)」
そんなこんなで最終的には、「相手の答えに相づちを打ったり、同意の言葉を入れたりして、相手の話にこちらが関心を持っていることを態度で示すことで、自分の質問に引き込む」という文に仕上がりました。
作文の課題では、「具体的に書きなさい」と設問にちゃんと指示が入っていたり、教師も「具体的に書きなさい」なんて言葉で示したりしているのが普通です。しかし、現実には「具体的に書く」とはどういうことなのかがどうも今一つ呑み込めていないお子さんがたくさんいるということを、指導する側はしっかりと認識しなければなりません。そして、粘り強い対話を通して、固い頭を解きほぐすためにかき回すような言葉かけをしながら、作文が仕上がるまで付き合ってあげることが大切です。
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