それ以前の問題
今日は朝から、千葉学習塾協同組合の勉強会に参加してきました。
テーマは、今話題のアクティブ・ラーニングについてでした。
「アクティブ・ラーニング」とは、従来の学校や集団指導型の塾で行われてきた、一方的に先生の話を聞く受け身の学習法ではなく、生徒が能動的に学習すること、またはその授業方法です。
次の学習指導要領に定められる予定なので、2020年に小学校から実施される日本国の公式な学習指導方法ということになります。そういうわけで、現在様々な研究、議論、そして出版や講演などを通して、具体的なメソードが形作られているという状況です。
国語道場が加盟している千葉学習塾協同組合の塾長先生方は、やはり勉強熱心な方が多いですから、今からもう様々な取り組みをしていたり、研究をしたりしています。その勉強会に、私も参加してきたというわけです。
ある先生の発表で、非常に興味深いトピックがありました。
国立の上越教育大学附属小学校での研究のお話だったのですが、小6のグループ活動の授業で、児童全員にボイスレコーダをつけ、話した言葉をすべて収録し、それをまたすべて原稿に起こして、何を話しているか分析したそうです。
その結果は大変衝撃的であるように、私には思われました。
なんと、約半数の児童が、授業で何の話をしているのか理解できていなかったということです。そしてさらに、そのよく分かっていない子どもたちのうちの7割が、今勉強している言葉以前に、日常的な言葉についてもよく分かっていなかったことが判明したそうです。
国立大学の附属小学校ですから、こう言っては何ですが、一般的な公立小学校の児童よりも全体的な学力は高いと思われます。そうした子どもたちでも、授業で今テーマにしている言葉が分からない、しかも全体の3分の1以上の生徒が、それ以前の学習に必要な言葉を身につけていない。びっくりですね。
さて、ではその子どもが主体的に学ぶための、そもそもの日本語の力はどうやって身につけさせるのでしょうか。今日参加した感想としては、アクティブ・ラーニングの研究の中では、そうした議論がすっぽり抜けているように思いました。
あらゆる学びのベースとなる日本語力を伸ばす具体的な指導方法がないのであれば、アクティブ・ラーニングであろうと今の一斉授業であろうと、分からないものは分からない、できないものはできないままなのではないでしょうか。
かねがねこのブログでも申し上げていることですが、一般的な公立小学校を卒業する児童の日本語語彙力は、2万数千語程度です。一方、中学校の教科書や授業を完ぺきに理解するために必要な語彙数は、3万語ほどです。
中学で学業不振に陥る子どもたちの多くが、まず語彙力不足です。国語道場では、入塾時に簡易の語彙力チェックを実施しているのですが、中学生で小学校低学年レベルの語彙力しかないというケースは、実は珍しくありません。
語彙力不足
↓
学校で習うことが理解できない・身につけられない
↓
成績が悪い
↓
親に怒られる
↓
勉強がますます嫌いになる・・・
こういう負のスパイラルに陥っている子どもたちを、これまでも多く見てきました。こんなことをいつまでも続けるのではなく、きちんと根本的な問題を解決する方法をとるべきだと思います。
国語道場では、「ことばの学校」という読書指導を行っておりますが、これは子どもの日本語力不足に対する、かなり有効な解決策です。
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