2019年02月18日 11:26

だから「個別指導塾」では成績が上がらない

 NHKドラマ「みかづき」の第4回を見ました。

 主人公の学習塾が大規模化していく中で落ちこぼれの子どもたちを生み出しています。そして、塾の授業に「ついていけない子」たちを集めて、無料で補習をすることを決断するということになっていきます。

 ドラマとしては分かりやすいですね。フィクションのドラマにツッコミを入れても仕方ありませんが、素人が容易に思いつきそうなことなのであえて指摘しておきます。このように「ついていけない子」たちを集めて補習授業をするようなことは、まずうまくいきません。

 なぜか。それは教える側がその子達を「ついていけない子」と扱っているからです。こんなことは教育学のキホンのキだと思いますが、教える側の人間や周囲の大人が、この子は「みんなについていけない」とか、「できない」とか「ダメだ」などと認めてしまうのは、その子どもたちにそのような意識を刷り込んでいるに等しい。このドラマの補習教室は、塾の授業に「ついていけない子どもたち」を集めると言っているのですが、現実にそのようなことをすればうまくいくはずがないというのはそのようなわけです(ドラマの方はこれがうまくいくという分かりやすい展開になるのだろうとは思いますが)。

 以前の記事でも触れましたが、集団一斉指導には「落ちこぼれ」を大量生産するという構造的な欠陥がそもそもあります。だから良心的な一斉指導の塾であれば、厳正な入塾テストを実施して、一定以上の成績を取れないお子さんは入塾を断るようになっているはずです。「下のクラス」を作って誰でも入れるようになっている集団一斉指導の塾は、悪い意味での商業主義の塾と呼んで差し支えありません。なぜなら、「下のクラス」の子どもたちは、言ってみれば「上のクラス」の生徒たちが入試で実績を出すために、塾の運営資金を上納させられるためにいるようなものだからです。塾の授業に「ついていけない」子どもたちがいるのは、そもそも集団一斉指導は「落ちこぼれ」を作るような仕組みになっているのが問題なのであって、子どもが悪いわけではありません

 それでは、「個別指導塾」だったらいいのかというと、それがまたそう簡単には行きません。

 「個別指導塾」にお子さんを入れようとする親御さんや、「個別指導塾」に行くよう進める学校の教師なんてのも巷間いるそうですが、多くの方が、この子は「集団ではついていけないから」「個別指導塾」に行くのが良いのではないかと考えているでしょう。

 これは、もう、上に上げたドラマの補習教室と同じことです。このような発想で「個別指導塾」にお子さんを行かせようとしている限り、その子に対して「お前はバカだ」、「お前はみんなについていけないんだ」というレッテルを貼っているのに等しい。周囲の大人がそのように接していれば、当然の成り行きでその子は「俺はみんなについていけないだめなやつだから」と、自分について思うようになるでしょう。チェーン「個別指導塾」に通うお子さんの多くが、5教科で見ると全然成績が上がらない理由は、まずこの点にあります。

 本来の個別指導は、子ども一人ひとりの現状をスタート地点として考えて、そこから昨日より今日、今日より明日という形で成長できるように指導するものではないでしょうか。この子は「みんなについていけないから」とかいう発想で「個別指導塾」を検討するということ自体が間違いなのです。

 国語道場の個別指導では、入塾時点でのお子さんの状況がどのようなものであれ、それをそれとして認め、毎日の指導の中で少しでも成長が感じられるようなことがあればそこを褒めて進めて行きます。

 「そんなことで入試に間に合うのか」といった心配をされる方もいらっしゃるかもしれませんが、他の大手の看板をぶら下げてやっているチェーン「個別指導塾」から国語道場に移ってきて、このようなスタイルで指導をしてきた結果として、学年順位が一気に数十番上ってトップクラス、偏差値70超えを実現するお子さんが出てきています。「ついていけない」から「個別指導塾」なんて発想自体がバカバカしいと思うと同時に、子どもの「自分はついていけない人間だ」という自己認識を取り払ってあげる方が子どもの成長には効果的だということを痛感しています。

 チェーン「個別指導塾」の問題には、さらに子どもに依存心を育ててしまうということがあります。これについては私が個人的に尊敬申し上げている検見川町の塾長先生も、最近のブログで書いていらっしゃいます。

 チェーン「個別指導塾」の講師がお子さんに手取り足取り教えこんでしまうことで、子どもに自分の力で問題を解く力をなくし、教えてもらわなければ何もできない依存心の強い人間に育ててしまっているということです。定期テストや入試、さらにはこれからの長い人生の中で大切なことは、自分の力で考え、問題を解決できるようになる力を鍛えることですね。それがチェーン「個別指導塾」では全然できていません。

 国語道場は、個別指導塾ですが、指導者が子どもの横にべったり張り付いて手取り足取り教えるようなことはしません。まず、それぞれの単元についての考え方や解法をマンツーマンで教え、そこでいったん自席に戻らせ、自分の頭と手を使って問題を解かせるように仕向けています。

 横に先生がついて手取り足取り教えてくれる方が「効率が良い」のではないかと思われる方がいらっしゃるとしたら、それは「効率が良い」ことは必ずしも効果的ではないということをご存じないのだと思います。勉強は筋トレなどと同じです。自分の脳や手を使った人にしか身につきません。インストラクターが自分の代わりにおもりを持ち上げても、自分の筋肉は鍛えられないのと同じです。そこは自分で持ち上げるしかないわけで、「効率よく」などやることはできないのです。

 さらに、とどめを刺すようですが、チェーン「個別指導塾」の根本的に駄目なところは、国語を教えられないところです。「国語はやっても成績が上がらない」とか言って、要は自分が教えられないだけなのに、数学や英語ばかり勧めてくるのがチェーン「個別指導塾」ですよね。お子さんの学業不振の根本原因は、まず国語力にあります。その肝心かなめの国語を教えられないチェーン「個別指導塾」で、数学や英語だけ週1~2回「わかりやすくつきっきりで」教えてもらったところで、何も解決しないなんてことは考えるまでもなく分かることでしょう。

 私の自宅の庭で育てている梅の木が花をつけました。

 紀州の梅干しで有名な南高という白梅と、八重咲きの花香実という2株を育てています。いつもは南高のほうが早くたくさん咲くんですが、今年はなぜか花香実のほうが早く沢山の花をつけました。どうしてそうなったのかはよく分かりませんが、ちゃんと育てていればいずれ花も実も付きますから、心配することなどありません。それぞれの時期に花をつければよいのです。

 明日は公立千葉県公立高校前期選抜学力検査の合格発表ですね。明日で進路が確定する受験生も、後期まで挑戦し続ける生徒もいるでしょうけれども、皆それぞれに花開く時期が来るはずです。

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