ホント、人の話を聞いてないですよね
現在西千葉地区を中心に配布している国語道場のチラシにも書いたこととも関連しますが、子どもが学業不振に陥る原因の一つは、
人の話を聞いてない
という習慣上の欠陥です。このことを認識せずに、「子どもを塾に入れて教えてもらえば成績が上がる」などと考えている人は少なくないようです。
国語道場の通常期の授業は、学校の予習です。ですから授業は、まず最初に一人一人の生徒に対して新しい単元の説明と問題の解き方を教え、それからその問題演習をしてもらうという流れになっています。
しかし、集団塾で成績が上がらないなどの理由で国語道場に転塾して間もない生徒の中には、問題演習がなかなか進められずにぼーっとしていたり、なぜかシャープペンシルを解体していたりするお子さんがいます。こちらから声をかけてみると、「これどうやってやるんですか」と「質問」してくる。
うーん(゜-゜) 「質問」すりゃいいってもんじゃないんですよね。
これ、人の話を聞き流すことが習慣化してしまっています。ちょっと深刻な状況です。このようなお子さんは決して学力の低いお子さんばかりではなくて、成績が良いと言っていいくらいのお子さんたちの中にも見受けられます。
原因はいろいろ考えられます。ざっと思いつくところを挙げてみましょう。
①日本語語彙力が低くて人が何を言っているのか分からないのが普通の状態になってしまっている。
②親御さんが厳しく、防衛本能から大人の言うことを聞かないようになってしまっている。
③学校のような集団式の授業ではおとなしく授業を受けているふりをすることが暗黙のうちに求められているので、そうすることが自然になっている。
いずれにしても、面と向かってマンツーマンで説明されていることを聞き流してしまうというのは恐ろしいことだと思います。
学校の一斉集団指導式の説明なんておよそ聞いていないでしょう。個人的に質問するにしても個別指導の塾や家庭教師にマンツーマンで教えてもらうにしても、まず人の話を聞き流すのが普通の状態になっていますから、同じことを何度も言ってもらわないと頭に残らないから非常に効率が悪い。
さらに恐ろしいのは、人の話を聞き流すのが当たり前になると、テレビでもラジオでも何でもいいのですが、何か有用なことを耳にしても何も聞いていないのと同じなので、チャンスを逃してしまうことが多くなるでしょうし、また、言語にあまり触れていないのと同じですから、日本語力も向上しにくくなるのではないかということです。
人の話を聞くということは、その話に「参加」しなければなりません。実は結構高度な「行為」です。
単純に話し手の言っている内容を理解する。さらにその話を、わが身に引き付けて考えてみる。「ああ、これは自分が抱えている問題に関係があるな」とか、「そうか、この話をヒントに今度はこういうことをやってみようか」などとあれこれ考える・・・。こういう心の態度ができて、初めて人の話が聞けているということになるのですよね。
教育の目的は、子どもを自分の力で学んでいける人間に育て上げることです。だから、国語道場は、たんに子どもにものを教えるということ以上に、学びの習慣を改善することが大切だと思っています。
読書指導「ことばの学校」は、読書を通して人の話に集中して耳を傾ける練習としてはドンピシャで役に立つでしょう。
そのほかにも、生徒への指示出しに一工夫しています。例えば、問題演習をやらせる時、「では、この1番と2番をやってきてね」などと、すでに解法を学んである問題を明示してから始めさせます。
これが人の話を聞く習慣がしっかりと身についていないお子さんだとどうなると思われますか?
ダーッと、1ページ・2ページと問題を勝手に進めていってしまいます。本当にこういうお子さんは少なくありません。
こういう場合ははっきりと注意します。「あのなあ、1番と2番をやってきてねと指示したよね」という感じです。
本人は、自分なりに「頑張った」くらいに思っていますから、こう注意を食らうとキョトンとしてしまいます。もしかしたら、そんなことを注意するなんてかわいそうじゃないかと思われる人もいるかもしれません。
しかし、それがよくない。
こちらが説明していない分野まで進めてしまうということは、どこまで自分が教わったのかも自覚できていないわけだし、教わっていないところを我流でテキトーに進めることで、正統的な解法を身に着ける機会を失ってしまいます。そもそも、これまでこういうことを繰り返してきたから成績が悪いのだということが分かっていないのです。
このような指導を繰り返すことで、きちんと教師の指示を聞き、人が説明しているときはそれを注意して聞けるような習慣を確立することができるのです。
人の話をちゃんと聞くといった習慣をきちんとしつけることをせずに、勉強が分からなくなっているようだから、チェーン個別指導塾や家庭教師のようなところで先生にべったり横についてもらって分かりやすく教えてもらえば出来るようになるのではないかなどと考えることは、大変な勘違いであることをご理解いただければと思います。
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