2016年05月06日 13:11

将来、今ある仕事の半分がなくなると言われていますが、国語道場で学んだ子どもたちなら立派にやっていけるでしょう

​ 先週のことになりますが、総進図書さんというテスト業者による、平成28年度入試の分析についての説明会に行ってきました。

 入試結果の情報自体ももちろん重要ですが、毎年この会では、ユニークな教育情報の講演が行われることになっていて、こちらも大変楽しみにしているものです。

 今年は、朝日小学生新聞などを発行している、朝日学生新聞社社長の脇坂嘉明氏の講演がありました。期待通り、大変面白いお話でした。

 短時間ながら内容は多岐にわたるため、かいつまんで2点だけご紹介しておこうと思います。

 まず、これからの時代に生き残っていける人間にはどのような資質が必要かということです。

 つい最近ですが、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会のエンブレムが決まりましたね。

↑道場に置いている「朝日小学生新聞」ですが、子どもたちが争うように読むため、しわしわになっています…

 「 市松模様 」をアレンジしたデザインですが、皆さんはこの「市松模様」についてググってみられましたでしょうか。

 脇坂氏によれば、これからの時代に生き残っていける人間の資質は、こういうことがさっと自分からできるということなんではないかということでした。

 最近、人工知能(AI)の発達により、今ある仕事の多くがなくなると予想されています。これからの子どもたちが生きていく時代は、私たちの仕事や生活が従来以上に劇的に変わっていく、「どうなるか分からない時代」になっていくことでしょう。

 この「どうなるかわからない時代」を生きていくためには、必要な情報にすぐに触れられるようにしておくこと、それを正しく知ること、そこから自分のするべきことを決定していくこと、といった能力が不可欠です。

 ところが、厄介なのは、「どうなるかわからない時代」における「必要な情報」とはどういうものかを特定することが不可能なことです。それは、自分のいま興味のあることとか、直近の仕事に関することだけではないということは明らかです。

 脇坂氏が、「市松模様」をすぐにググる姿勢が大切と言っていたのは、そのことに関係しています。様々な方面にアンテナを張り巡らせ、自分にとって未知のこと、知っているようでよく知らないことについて、すぐに調べてみようとかちゃんと知っておこうという姿勢のある人間だけが、自分に「必要な情報」を手に入れることができるということでしょう。

 ちょっと前にはやった言い回しで、「知的好奇心」というやつですね。これからの時代に頭角を現すことができる人間は、自律的に未知のことを知ろうする人間であるといえるでしょう。

 もう1点ご紹介しておきましょう。講演では、「アルファ読み」と「ベータ読み」という言葉も紹介されていました。

 ご存じの方も多いかと思いますが、これは外山滋比古氏の用語です。「アルファ読み」とは、《自分がすでに知っていることを読む》ことであり、「ベータ読み」とは、《未知のことを読む》ことです。

 上にも述べたとおり、これからの時代はますます「どうなるかわからない時代」になっていきます。 

 このような時代に必要な読書(=勉強)とはどのようなものか。それは、自分がすでに知っていることや今の自分と同じ考え方のものを読んで満足するような読み方(アルファ読み)でないことは明らかです。

 「どうなるかわからない時代」に頭角を現す人間になることを目指す者にとって重要なのは、自律的にかつ貪欲に新しいことを学ぼうとすることです。これからの時代に必要な読む力は、明らかに「ベータ読み」ということになるでしょう。

 そういう話を聞いて、改めて自分の塾を振り返ってみると、なかなか国語道場は大したものだなと思われてきましたね(^_-)-☆実にこの「ベータ読み」的な教育実践が行われている、むしろそれが中心的な指導になっていることに気づきます。

 その教育実践とは、読書指導「ことばの学校」です。「ことばの学校」は「ベータ読み」の指導そのものといえます。

 「ことばの学校」は、もうすでに皆様ご存知のとおりで、200冊を超える厳選された本を、ひとりひとりの日本語力に合わせて読ませていく読書指導です。

 「ベータ読み」の力を伸ばすという点で「ことばの学校」読書指導が役立つと考えられるのは、この200冊の本が様々なジャンルに渡っているためです。

 国語道場では、子どもたちは現在の自分のグレードの本から自由に読みたいものを選んで読み進めてよいことにしています。

 男子だと、怖い話やズッコケシリーズが人気で、女の子では若おかみシリーズなんかが人気でしょうか。

 しかし、上位のグレードに進むためには、現在の自分のグレードの本をひと通り読まなければいけないルールになっています。だから、最初は自分の興味が湧く本からどんどん読み進めていっても、最終的にはちょっと「おもしろくなさそう」と思われる本も読まなければならなくなります。

 実はここがミソで、それはそれで読んでもらうと、以前はあまり気が進まなかったが、読んでみると意外に面白かったという感想をほぼすべてのお子さんが持ってくれます。

 こうして国語道場の子どもたちは、最初から子ども向けに書かれた物語やファンタジーにとどまらず、伝記や文学作品として高度なもの・・・と読み進める経験を積んでいます。

 このことについて、私はかねがね子どもたちの世界を広げることになっているのかなと思っていました。

 しかし、「ベータ読み」ということと関連して考えると、子どもたちのこれからの人生のことにとって大変重要な取り組みになっていると思い至りました。自分がよく知らないこと、あまり興味を持っていなかった分野のものでも、読んでみるとそれが実は結構おもしろいという経験を積ませることができているからです。

 子どもたちが、これからの全く不確定な時代の中、自らの力で自分の人生を切り開いていくための力を身に着けることに対し、「ことばの学校」は大いに役に立つのではないか、ということを再認識することができました。

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