2017年06月19日 15:29

今の中学生は英語を書く練習が圧倒的に不足している

 昨日で前期中間テスト・第1回定期テスト対策が終了した。

 テスト直前期は生徒たちの弱点を洗い出すために様々な角度から課題を出すのだが、特に今年顕著だったのは英語のスペリングができないこと。

 中学生の英語スペリング能力の低下は、ここ数年ひどくなってきている気がする。千葉県公立高校入試では、リスニング問題の次に虫食いで正しい英単語の綴りを書かせる問題が毎年出ているのだけれども、どうもこの正答率がこの2・3年悪くなってきているように感じる。

 もっとも、今年度平成29年度入試は易しかったのでそれほどでもなかったが、27年度、28年度とスペリングの正答率が急激に下がっていた。特に、28年度の前期入試はスペリング問題の無答率(解答欄に何も書かれていない割合)が半数近くに上った。

 その単語の一つが continue 。こんなのゲームやっていても頻繁に出てこないか?というものだった。最近のゲームはコンティニューってあんまりないのかな?

 現行の、「脱ゆとり」学習指導要領が施行され、それに基づいた中学校教科書が使われるようになって5年、それが改訂されて2年目になる。英語は特に、従来の「読む・書く・聞く」中心から、「読む・書く・聞く+話す」の4技能を重視したものになったとされている。コミュニケーション能力重視というやつだ。

 やらなきゃいけないことが増えたのに学校の学習時間は増えていないので、そのしわ寄せはどこかに行くだろう。それが、英語を書くというところにいってしまっているんじゃないだろうか。平成28年度前期入試で、無答率46パーセントに到達した単語が communication だったというのは何とも皮肉な話だ。 

 昨日までやっていた定期テスト対策だと、中1の時から今の教科書を使っている中2のスペリング能力の惨状が目についた。私に言わせれば、全然正しいつづりで英単語が書けないじゃんというレベルなんだが、へらへらしている。実際それでもテストでは80点・90点取るやつは取れてしまっている。どうも、定期テストではそれほど正しいつづりで書けなくても、相当に点数が取れるような問題になっているようだ。

 中2にもなって、発音と綴りの関係もつかめていない生徒がいる。例えば、英語で「コミュニケーション」とかの「~ション」は、 -tion になるけれども、どうもこういう法則性みたいなものも分かっていない。もっとひどいのになると、 f や v 、 s ・ z や th といった文字と読み方も分かっていないのがいる。いったい学校で何をやっているんだろうか。

 国語道場では普段の授業でも毎度英単語の口頭チェックは行っている。ここでちゃんと発音できる生徒なら、以前は綴りもちゃんと書けていた。以前というのは現行の教科書の前の世代だ。どうも今の学校では、英語の読み方の練習と合わせて、書かせるという練習が圧倒的に不足しているんじゃないかという気がしてならない。

 たしかに、現行の学習指導要領でも、そして2020年度に施行される新指導要領でも英語によるコミュニケーション能力がますます重視される傾向にあり、話せる英語に力点を置いている。しかし話すことに重点を置くばかりに、正しく書けなくなるというのでは何の意味もないだろう。両方出来るようにしていかないと。

 今の中学3年生から影響を受ける大学入試制度改革では、英語に関しては、高校在籍中に自分で英検などの試験に合格して、自らの英語力を証明する必要が出てくる。名門大学に入るためには英検2級や準1級に合格しておく必要があるが、1次試験でライティング(長い自由英作文)テストがあるから、先々のことを考えても、正しく英語が書けないというのは大問題だ。

 生徒たちに、これまで以上にしっかりと英語を書かせなければ。早速明日から英語の授業を変えていくつもりだ。

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