2016年11月29日 10:48

作文指導はかんたん

 国語道場では、小学生の作文指導は通常カリキュラムの一部として実施していますが、作文専科の授業は実施していません(中学生は月1ペースで実施しています)。

 なぜかというと、10分程度で終わってしまうので、時間割や授業料の設定がしづらいからです(^^;

 それくらい作文指導そのものは簡単です。そんなことにたくさん時間をとって注力するくらいなら、語彙のインプットや丁寧に文章を読解して答えを記述させるトレーニングを積ませるべきです。この方がよっぽど頭もよくなるし、応用がきいて、将来本当に大切な文章を書かなければいけなくなった時に役に立ちます。

 それでも、ご新規の方のお問い合わせでは、しばしば「作文指導はやっていただけるんですか」といったご質問は頂戴します。

 やっぱり需要はあるんですかね。だったらやろうかな・・・。

 お子さんが作文が書けない、ということを多くの親御さんが気にされるのは、これ単純に学校でやらされることが多いからだと思うのですね。

 しかしながら、作文とは何をどうすることなのかということを指導している学校は、ないのが普通です。運動会があったとか、移動教室があったとかいうと、お約束のようにそのあとで「はい、では作文を書きましょう」となることが多いと思いますが、それじゃあその作文とは何をどうやったらいいのかということは教わらないですよね。自由に書いていいと言われる。

 そりゃあ書けないでしょうね、子どもたちは。でもってお母さん、お父さんに相談する。

 そんなこと聞かれたって、保護者の皆さんも困っちゃいますよね。

「ええ?何を書きなさいって言われたの?」

「運動会。」

「何を書きたいの?」

「分かんない。」

こんな会話が繰り広げられているのかと推察します。

 こういうことがたびたびあるものだから、なんだかうちの子は作文が全然書けない、作文が苦手だ、どうにかしてほしいとお感じになる方が多いのかなと想像します。親御さんがそのような思考回路にはまってしまうと、子どもの方も、自分は作文が書けない、作文が苦手だと思い込むようにもなります。

 少しだけ皆さんに冷静になっていただきたいのは、学校でやらされるからといって、それが本当に大切だとは限らないということです。学校でやらされるからといって、さほど重要でもないことを過大に思い込んだり、学校で求められないからといって、生きていく上で大切なことをおろそかにしているようなことは多々ありますが、出来るだけそうしたものの軽重を、親御さんがご自分で判断なさるようになってほしいなと思います。

 この間は、ねじ回しをどちら向きに回すと締まって、どちら向きに回すと緩むかということを知らない中学生に出会って、驚いたことがありました。中学理科の電流と磁界の単元で、「右ねじの法則」というものを習うので、ねじ回しくらい知っておいてほしいのですけれども、小学校では全くそんなこと要求されませんからね。かように、学校で要求されなくても大切なことはいくらでもあります。

 そんなわけで、小学校で課題として出される作文なんか、そもそものノウハウの指導もいいかげんで何の役に立つというものでもありませんから、お子さんができないとしてもそれほど気に病むことはありませんよ。そんなことよりも、言葉のインプット、ていねいに読む習慣を身につけさせた方がはるかに有効ですよ、ということを申し上げておきます。

 そうは言っても、現実には学校から作文の課題が出されるので、これではらちが明かないと思います。そこで、簡単に作文を書かせられるポイントを、昨日の私と小3の娘とのやり取りを例とともに書いておきますので、どうぞご参考になさってください。

 まず、ポイントとしては3つ。

①子どもの言うことはいちおう否定しない

②具体性

③前向きにまとめる

この辺を抑えておけば、誰でもお子さんに簡単に作文を書かせられると思います。

 次に、昨日の私と娘とのやり取りは次のような感じでした。

「もー、算数で感想を書けって言われてるんだけど、何書いていいか分かんない」

「ふーん、算数で感想文なんてあるの?」

「そう。今まで習ったことについて感想を書くんだって。」

「ほー。で、どう思ってんの?」

「うーん、『算数、ダルい。』」

「じゃあ、そう書けば。」

「え~。」

「それじゃあ、『ダルい』ってどういうところがダルいのよ。どういうことを習ったの?」

「(教科書を見せながら)んとね、23×4の23を20と3に分けてね、20×4=80をして、3×4=12を出して、最後に80+12をして92って暗算するの。」

「ふん、まあよく分かってんじゃん。要するに、数を10の位と1の位に分けてそれぞれかけてから最後に足すのがめんどくさかったわけね。」

「そうそう。」

「感想はそう書けばいいじゃん。」

「え?」

「でも、『ダルい』とか『めんどくさい』とか書くと先生もお喜びにならないかもしれないから、『最初は難しかったけど、最後にはできるようになって、うれしかったです』とか書いておけばいいよ。」

「おお。」

 このような感じで、この後すぐに百字ほどの作文を仕上げておりました。県立高校入試国語科の作文は200字ですから、これくらいで上等でしょう。

 子どもたちにとって一番の難関は、字数が書けないというところでしょう。しかしながら、何をどうしたというところで具体的に書かせれば、あっという間にそれなりの字数になるはずです。具体的に書けば、字数なんて簡単にクリアできて、しかも読むほうも話が分かりやすくなっていいんだよ、という感覚をつかんでもらえると、そんなに作文って大変じゃないなと思ってもらえるのではないかなと思います。

 前向きにまとめさせるのも大切です。子どもは、「めんどう」だの「ダルい」だのということがあると思いますが(うちだけ?)、基本的にはそれなりにちゃんとまとめたいなとも思っているものです。いったん子どもの「めんどうくさいな~」といった気持ちは受け止めておいて(というか受け流しておいて)、前向きに、ちゃんとした感じにまとめるアイディアを提示してあげれば、お子さんも多少積極的に作文課題に取り組んでくれるのではないでしょうか。

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