勉強嫌いは低学年で決まる。大人も学び続ける必要がある令和の時代、勉強嫌いは一生祟る!
30年も塾をやっておりますとそれこそ数えきれないほど多くの保護者の方々とお話をさせていただいているのですが、ときおりこのようなことを言われる方がいらっしゃいます。
「まあ、私も勉強は嫌いでしたけどね。勉強なんて好きな人はいませんよね。」
(゜_゜)うーん。そう仰られてもなあと。
国語道場のホームページをご覧になっている方々にはこういう感覚の方はあまりいないのかもしれませんが、もしこういう「勉強嫌いは当たり前」なんて感覚が普通だと思っている方がいらっしゃいましたら、
そんなの全然フツーじゃありませんから
ということを肝に銘じてほしいと思います。「勉強嫌いが当たり前」なんていう自分の感覚を、ちょっと疑ってみてほしいんですね。
こんなことを書こうと思い立ったのは、このような記事を最近読んだからです。
筆者の舞田敏彦先生(教育社会学者)の分析によると、「リカレント教育は、子ども期に高い教育を受けられなかった人が後からそれを受けることで、教育格差を縮小させる機能も期待されている。しかし現実はその逆で、教育格差の拡大再生産が起きてしまっている可能性がある」ということです。
リカレント教育とは、大人が教育機関で学びなおすことです。日本では、職業上必要な知識や技術を学びなおすだけでなく、心の豊かさや生きがいのために学びなおすことも含むことが多いと言われています。
この大人の学びなおし。現実は、すでに相応の教育を受けてきている高学歴の人々ほど熱心で、そうでない人たちはあまり参加したがらない傾向があるということです。その結果、学びなおしに積極的な、もともと高学歴で地位も高い人たちがますます有利になって、そうでない人たちとの格差が広がってしまっている。若い時の学業であまりうまくいかなかった人たちにとって、大人の学びなおしが学歴社会で優位な社会的な位置にある人との格差を縮めるチャンスなのにです。
でも、これは心情的には理解しやすいことですよね。高学歴の人は、もともと勉強が好きであるとか、得意であるとか、勉強に関して自信のある人が多いでしょう。一方、子どものころから勉強が嫌いという人は、勉強に関して苦手意識を持っているでしょう。そういう人たちなら、学校を出た後も何か学べなんて言われても、拒否反応を示すのではないでしょうか。
しかし、現代のように長寿が当たり前で、なおかつ技術の進歩が日々目覚ましい時代、常に新しいことを学んでいこうという人でなければ、社会的に成功することは難しいことになるでしょう。
学校を出たらもうお勉強はおしまいなんて発想ではダメ
です。科学・技術だけでなく、語学、統計学、会計学などなどキャリアアップにつながる学問や、それを身に着けるために必要な初等教育の内容を、大人になってからでも積極的に学びなおす心構えが必要です。勉強に関して苦手意識が強く、勉強嫌いなまま大人になってしまうと、これからの時代はますます生きづらい状況に陥る危険性があります。なぜなら、勉強嫌いで自ら進んで学びなおしにも参加しない人は、学校にいる間だけでなく、大人になってからもますます学力上位層と差をつけられてしまうことになってしまうからです。
それでは、いま子育て中の親御さんとしては、まず何が大切かということが明らかになってくると思います。それはすなわち、いかに子どもを勉強嫌いにさせないかということです。
子どもが勉強嫌いになることを防ぐのに一番大切な時期は、小学校低学年です。なぜなら、大体小学3年生までに低学力層は形成が完了するからです。これまでにたくさんのお子さんの成績処理を行ってきましたが、これは断言できます。
しかしながら、小学校低学年に勉強なんてそんなにまだ力を入れなくても大丈夫じゃないかと思われている親御さんは多いですよね。お勉強ならとりあえずKUMONに行かせて計算練習でもさせておけばいいなんて認識ではないでしょうか。
見当違いもはなはだしい!
小学校低学年の時点で学力の上下を決定しているのは、日本語語彙力です。小学1・2年のころは、算数なんてそもそも大して難しいことをやっていませんから、そこで差はつきません。決定的に違うのは語彙力です。
語彙力のあるお子さんは、学校の先生の言うことも、教科書に書いてあることもよく理解できるので、すぐにできるようになります。一方、語彙力のないお子さんは、先生の言うことも、教科書に書いてあることもよくわかりません。小学校低学年の成績の違いは、ほぼ語彙力だけで説明がつきます。
この語彙力のないことの恐ろしさは、ひとえにその時の成績が悪くなることだけではありません。語彙力のないお子さんは、人が話すことや文章にい書いてあることがよく理解できない状態に慣れてしまいます。分からない状態に慣れることの恐ろしさは、物事をちゃんと理解しなくなる習慣がついてしまうことにあります。それはそうですよね。その子にとって、人の話はよく分からないのが「当たり前」なんですから。人の話は分からないものだという感覚が普通になると、ますます人の話もきちんと聞かなくなってしまうし、文章もまともに読もうとしなくなってしまいます。このようなお子さんがまず低学年の時点で低学力層を形成することになります。
語彙力不足は即低学力層予備軍といって差し支えありません。このようなお子さんは、ちょっとやそっと勉強をしても、なかなか理解出来ないしできるようになりません。成績も当然悪い。そして親にも「やる気がない」などと言われて怒られる。もう、こうなったら勉強は苦痛でしかありませんよね。こうして勉強嫌いの人間が誕生してしまいます。
これからの時代を生きていく子どもたちを育てているわれわれ大人は、子どもたちが勉強嫌いになることを何とか阻止しなければなりません。これは、上にも述べたように、学校に通っている間だけでなく、大人になってからも学ぶ意欲のある人間だけがどんどん成長していってしまうような世の中であれば、ますます緊急の問題だと言えましょう。そのために最も有効なのは、小学校低学年の時点で日本語語彙力を子どもたちにしっかりと身に着けさせることです。国語道場は、当然その対応が可能です。
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