2019年07月24日 23:44

勝負事で一番気をつけなければいけないこと

 また高校野球の話題ですみませんが、習志野高校が奇跡的な大逆転で、決勝進出を果たしましたね。

 国語道場は、私だけでなくて生徒たちにも野球好きが多いので、今日はこの習志野対木更津総合の試合の話でもちきりになりました。中にはマリスタでこの試合を見てから塾に来たという生徒もいました。ここは昭和か(^^)

 試合は終始木更津総合がリードし、習志野が何とか追いつくという展開でした。しかし8回表に決定的と思われた1点が木更津総合に入ります。8回裏から木更津総合はリリーフに剛速球投手の根本君が登場。習志野の反撃を断ち切ります。

 千葉テレビの中継では、習志野高校の選手の保護者からのメッセージがレポーターによってあとからあとから読み上げられ、もはや習高完全敗北ムード。根本君の剛腕から繰り出されるストレートは最速147㎞を記録し、習志野の打者を打ち取っていきます。そしていよいよ9回裏2アウトランナーなし。

 ここで根本君に力みが出たのか、球速が140㎞代前半までガクンと落ち、コントロールが乱れます。そして3人目の打者に四球を与えてしまいます。

 それでも木総の選手たちの表情は明るかったですね。もう勝利は自分たちのものだと確信しているかのように。

 そこからあれよあれよとヒットで繋げられ、先ほどフォアボールで出塁した選手が生還。木更津総合は、土壇場で同点に追いつかれてしまいます。そして11回、習志野高校にサヨナラ勝利を許してしまいました。

 本当に、木更津総合の選手たちからすれば、9割方つかみかけた勝利が、手元からするりと逃げていってしまったという感じだったでしょう。

 試合を見ていて、私は、慢心の恐ろしさを改めて垣間見た気がいたしました。単に慢心が気のゆるみを起こしてしまうことだけでなく、慢心の気持ちは抑えようもなく起きてしまうものなのだということを目の当たりにし、慄然としました。慢心しようと思って慢心する人はいません。人はどうにも抑えがたく慢心してしまうものなのではないでしょうか。

 今日の木更津総合の選手たち。1点差で優位に立っていて、いよいよ最終回。アウト2つが簡単に取れ、あとアウト1つ。そんな状況で、もう自分たちが勝ったも同然だと思ってしまう気持ちが頭をもたげてしまうのは、若い彼らには仕方のないことだったでしょう。彼らには、この経験を糧にしてもらいたいと思います。

 慢心ということで言うと、私自身にも苦い経験があります。

 浪人して迎えた慶応義塾大学文学部の入試。今もそうですが、慶応文学部の一般入試は、国語がなくて、英語と地・歴、小論文が課されます。当時は英語の入試では辞書の持ち込みが許可されていました。内容は非常に長い読解問題が中心ですが、英語の長文読解が得意な私は、辞書を全く必要とすることもなく解答を終了。続く日本史も、あっさりと片付けることができました。残るは得意の小論文だけです。

 もう、休憩時間にすっかり舞い上がってしまいましたね。もう受かったでしょ、と。こういうおごった気持ちというのは、どうしても湧き上がるように起こってしまうもので、抑えることができないのですね。

 さて、小論文の時間になりました。休憩時間の高揚した気分がなかなか抜けず、課題文の内容がなかなか頭に入りません。はっと我に返ったときには、すでに数十分を空費していました。それから焦って書き始めましたがなかなかまとまらず、苦し紛れに字数を埋めただけの小論文を提出しました。終わったときには茫然自失。結果は補欠不合格。

 こんな経験がありますから、国語道場の生徒たちには、日ごろから

「もうこれで受かったでしょ、なんて思った時が一番危ないんだ」

ということは、折に触れて説いています。早い段階で模試で十分合格圏にありなんて判定を出した生徒には、

「よく頑張った。でも、こんなの本番じゃどうなるか分からないからな」

といった感じでくぎを刺します。

 件の習志野高校の小林監督ですが、機会がありましたらこの方がインタビューでどのようなことを言われているか、お読みになるのをお勧めします。

 例えば、先日の準々決勝で勝利した成田高校について、

「成田は1球1球に執念があり、見習うべき野球をされていた」

なんてことを言われています。謙虚であると同時に、勝ち進む者の心に兆す慢心の心を抑えるために、常日頃から言動に細心の注意を払う名将の、まさに我々が「見習うべき」姿勢が表れているように思います。

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