千葉県公立高校前期選抜、久々の「鬼畜国語」出ました
ご存じの通り、今日は千葉県公立高校前期選抜学力検査の第1日目でした。
国語道場は、千葉学習塾協同組合に加盟しているため、今日の昼前には国語や数学の問題を実際に見ることができました。それから英語、理科、そして4時過ぎには最後の社会の問題と一通り解きました。
いや~、1教科目の国語。けっこう難しかったんじゃないでしょうかね。2015年度前期を最後に、平均点40点台ということはここのところしばらくなかったんですが、今回はどうでしょうという気がします。
最初の聞き取り問題や言語知識問題には、特に難しいところはなかったように思いますが、問5の評論文がくせ者だったのではないでしょうか。
文章の最初に、「対話とは何か」という中心的なテーマが表れるのですが、ここからがひどい。その「対話」が何であるかという端的な説明が延々と出てきません。やっとそれらしいものが出てくるのは、なんと2ページ目の最初の行。そこまでの2段組みのまるまる1ページ、40行以上にわたって、はぐらかすような文章が続きます。これだと、「対話とは何か」ということが書かれているところまで冷静にたどり着けた受験生は、日ごろからある程度の難しさの文章を大量に読みこなしてきた者だけだったのではないでしょうか。
話の核心がなかなか出てこないだけでなく、「ダイアローグ」とか「モノローグ」とかいうちょっと難しそうなカタカナ言葉も出てきました。前者が「対話」、後者が「一人語り」というだけの言葉ではありますが、あまり本を読んできておらず語彙力のない子どもたちからしたら、もうこの辺を読んだところで、「ワケが分からない」と頭が完全フリーズしてしまったことでしょう。
読むだけでなく、記述問題もやりにくく感じた受験生が多かったのではないでしょうか。千葉県公立高校入試の記述問題は、短いまとめの説明文が虫食いになっていて、そこに当てはまる適切な言葉を書くという形式です。例年、文章中の言葉をそのまま抜き出させるか、指定された言葉を使わせるかというものが多かったんですが、今年は、「自分の言葉で」という指定が入りました。こういう指示って過去にありましたかね?私の記憶の範囲では、ちょっと思い当たりません。しかし、これは注目すべき事象であるように感じました。
どういうことか。「自分の言葉で」書けということは、意味内容があっていれば、文章中で使われている言葉はそれほど気にせずにどのような書き方をしてもいいという意味です。例えば、「織田信長は家臣の明智光秀に討たれた」という文も、「明智光秀は主君の織田信長を討った」という文も、書かれている内容は同じですね。「織田信長は家臣の明智光秀を討った」のように、内容が間違っていない限り、どのように書いてもよいということです。だからどうしたと思われるかもしれませんが、実は、読んだり聞いたりしたことを自分の言葉でまとめるのが苦手という子どもは非常に多いのです。
書くことが苦手なお子さんは、とにかく文章中にある言葉でもっともらしいものを手あたり次第くっつけて答案を作ろうとしたり、とにかく文章中の言葉をそのまま抜き出して書こうとしたりしてしまいます。それで、見当違いなところを抜き出してしまったり、意味不明な単語の羅列を書いてしまったりしてしまうのです。それほど難しいと思われないようなことでも、自分の言葉でまとめるのは苦手。そうではないでしょうか?
ちなみに、例の問題に対する今回の県教委発表の解答例は、「違いを認める」というものでした。非常にシンプルですが、本文中には全く出てこない言葉でした。正答率は相当低いと予想します。
国語道場では、読書指導「ことばの学校」を通して、日本語語彙力を増強し、文章にきちんと向き合って読める心の強さを鍛えています。また、読んで理解したことを自分の言葉でまとめるトレーニングとして、国語記述というコースを設けています。こうしたことは、一朝一夕のことで身につくものではありませんから、できれば小学生の時から地道に積み上げていきたいものです。
今回の入試問題はなかなかいかしていて、勉強の仕方についてのこんなアドバイスが問題文の中に含まれていました。それを最後に紹介します。問4です。
「記号だけわかっても理解したことにならないでしょう。」
「私の好きな言葉に、『魚を与えれば一日は食べられる。魚の捕り方を教えれば一生食べていける。』があります。その場しのぎではだめということです。」
「しっかりできるようになるこつは、基礎をおろそかにしないことです。『木の長さを求むる者は、必ずその根元を固くす。』というでしょう。」
明日の新聞に掲載される問題を、ぜひお子さんと一緒にご覧ください。
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