2019年01月30日 22:50

国語の記述問題に時間がかかって不安な人たちへ

 国語道場では、国語の記述問題は、完ぺきな答案に仕上がるまで、私がダメ出しして、何度も書き直しをさせます(・ω・)ノ

 今日の中学生国語の授業でのこと。授業時間も終わり近くになって、ようやく一人の生徒の記述問題がよいものに仕上がり、まるを上げました。その時、

「一つの問題にこんなに時間かけてるようじゃ、テストが終わっちゃいますね。」

とその生徒が自嘲気味に語りました。

 う~ん、なるほど。テストのことを考えると、こんなことで大丈夫なのかという不安に駆られる気持ちはよく分かります。

 しかし、これでよいのです!

 私は、高校、大学と吹奏楽やオーケストラの一員としてフルートをやっていました。 大学3年の時、有名なスメタナの『モルダウ』を定期演奏会でやることになり、私が1番フルートを担当することになりました。2番フルートやクラリネットとの川の流れを表す音形の受け渡しや、中間部から再び主題に戻るところの、激しい水流を表すようなパッセージが難しい曲です。

 演奏会も近づいてきた頃になっても、この中間部の終わりの激しいパッセージを私はうまく演奏することができませんでした。私は半ばやけになって、ひゃらひゃらこの部分を吹きまくっていた時のことです。クラリネット担当の友人が、

「そんなことをやっていて、出来るようになるわけがないだろう」

と私を一喝したのです。

 友人がこう言ってくれたおかげで、私の中で何か吹っ切れた感じがしました。それからすぐに、メトロノームでそれこそ1拍が毎分40という超スローテンポから練習しなおすことにしました。

 毎分40なら確実にできるようになったところで、少し速さを上げて42、44・・・と地道に練習を続けます。

「こんな遅いテンポで吹けても、本番はできないんじゃないか・・・。」

そんな不安に駆られることもありましたが、とにかくこれはもうやるしかないと腹を括りました。

 分速60くらいなら完ぺきに吹けるようになった頃でしょうか。オーケストラ全体の合わせ練習がありました。全体の合わせ練習ですから、本番と同じ速いテンポのところは速いテンポで演奏しなければなりません。

 ゆったりとした川の流れを表現する中間部が終わりに差し掛かり、問題の激しい水流のようなパッセージのところに入りました。

「あれ?吹けてる!」

練習では、メトロノームで1拍分速60までなら完ぺきに吹けるという状態でしかなかったはずなんですが、本来のテンポでも結構ちゃんと吹けちゃうものなんですね。

 この時の経験は、今でも強く印象に残っています。娘のピアノの練習を見るときも、この話をします。とにかくまずゆっくりのテンポから完ぺきに弾けるようにしよう。そうすればどんなに難しいパッセージでも必ず弾けるようになるよ、と教えています。

 さて、中間部が終わって国語の記述の話に戻りますが、これと同じようなことは大いに言えると思うんですね。

 とりあえず本文の中から目についた重要そうな単語や表現を拾ってテキトーにつなぐ。書いたものを推敲もしないで、言葉のつながりのおかしなところも知らん顔で提出する。いくら速くてもこんなことを繰り返しているようでは、記述の力なんてつくはずがありません。簡単な問題ならたまに当たることはあるでしょうが、ちょっと難しい問題になれば白紙でしょうね。

 まず本文の内容、構造を理解し、その中で言葉をどのような文脈で使っているかを確認する。次に問題の答えになる部分を本文中からチェックする。それから改めて設問を見直して、何を答えろといっているのかを確認する。できれば、どういう答えを書こうとしているか手短に口頭で言ってみるとよい。口頭で言えないものは書けないからです。そして答案記入。書いたら、自分の書いたものを見なおして、日本語としておかしなところがないか確認する。

 こういうプロセスを確実に踏んでいくことが記述の練習です。こういうことをきちんとやらずに問題を解いているとしたら、そんなものは勉強と呼ぶに値しません。

 最初のうちはとても時間がかかると思いますが、それでよいのです。速いデタラメは、どこまで行ってもデタラメにしかなりません。しかし、遅くて正確であれば、その手順に習熟することで次第に正確で速くできるようになるものです。

 まだそんなに速くできない状態でテストを受けなければならないことになったとしましょう。それでも、きちんとした手順で練習してきた人は、多少慌ててもきちんとしたプロセスを踏んで答案を作成することができるでしょう。

 今日紹介したエピソードの主は中学1年生ですが、中2用の発展レベルのテキストで学習している生徒で、解いていた記述問題は某国立大学附属高校の入試問題だったのでした。どんなに時間がかかろうが、今の時点でこれだけの問題に挑み、これほどちゃんとした答案を書けたこと自体を称えたいと思います。

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