国語の読解は知識の教科でもある
国語の読解の授業で、こんな問題があった。
文学的文章(小説)の読解問題で、時は第2次世界大戦終戦直後、中国戦線から帰ってきた日本軍元兵士たちが、復員列車に乗って博多から故郷へと向かう場面を描いた文章を読んで、設問を解くというもの。
もちろん、国語の読解問題だから↑こんなふうに話がまとめて書いてあるわけではない。シチュエーションをところどころにほのめかしながら、物語が進んでいく。
何十時間も発車せずに留まっていたと思われる汽車には、疲れきった男たちがギュウギュウ詰めに乗り込んでいる。ようやく汽車が走りだした記述が始まり、文章の10行目くらいになってようやくそれが博多を出発したものであることがわかる。男たちは上海で旧敵軍の兵士たちに追い立てられて帰国したとあるので、彼らが第2次世界大戦の中でも、中国戦線で戦っていた者であることが示唆される。
この手の小説は、公立高校入試でも大学入試センター試験でも出題されるけれども、こういう問題を見るたびに、国語の読解における知識の重要性を思い知らされる。
第2次世界大戦というと、日本は米国と戦ったということが特に印象的かもしれないが、全期間にわたって日本が侵略を行ったのは中国だった。
軍人だけでなく、何百万人もの日本人が戦前は外国で暮らしていた。敗戦によって東アジアや東南アジアの国々に住んでいた日本人がそこに住み続けられなくなってまず戻ってくるのは、それらの地域に近い西日本だ。だからこの物語でも、元兵士たちはまず福岡の博多に帰ってきたのだ。
日中戦争は太平洋戦争よりも長期間に渡る泥沼の戦いであったという歴史の知識、博多は日本で最も中国に近い九州地方の福岡県福岡市にある港の名前であるという地理の知識などなど。こうしたことを知っている受験生と知らない受験生との間では、文章内容の理解が断然に違ってくるだろう。いや、知らなければ、全然読めないのではないか、目が活字の上を滑っているだけで。
今年は戦後70年ということで、次年度の入試で第2次世界大戦に絡めた問題は例年になく多いくなるのは間違いないだろう。あさって15日は、日本におけるいわゆる終戦の日。この時期は、テレビでも連日のように先の戦争についての報道や特別番組が多くなる。いい機会なので、それらをじっくりと見てもらいたいと思う。その方が、学校や塾でお勉強として学ぶよりも、よっぽど印象にも記憶にも残るだろう。
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