2019年09月13日 19:21

大学入学共通テストに対応できる力を今から身につけるポイント

 今日午前中は、国語道場が加盟している塾団体、千葉学習塾協同組合の勉強会に参加してきました。テーマは、2021年より始まる新大学入試制度についてと、その目玉の一つである大学入学共通テストについてでした。

 今年度まで行われる大学入試センター試験は、基本的に高校で習った知識や解法を身につけているかどうかを見るテストです。それに対して新しい大学入学共通テストは、かなり趣の違ったものになるということを、過去2回行われた思考問題の分析を通して確認しました。

 あれ?そもそも国語道場って高校生は指導していないんじゃなかったっけ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 その通りなのですが、大学入試の変革は、必ず高校入試や中学入試に大きな影響を及ぼします。そのために、大学受験指導は塾としてやっていなくても、将来の高校入試・中学入試の姿を予想する上でも知っておかなければなりません。また、国語道場の日々の指導の中に、中学受験・高校受験までしか役に立たないものではなく、大学受験、そしてできれば一生にわたって役に立つようなものを入れていきたいという考えもあります。

 さて、従来の大学入試センター試験が主に知識を問うものであったとするならば、大学入学共通テストは大まかに言ってどのような力を問うものだと言えるでしょうか。

 それは今日の結論としては、読解力推理・推論力ということでした。

 大学入学共通テストの問題文は、センター試験と比べて非常に長くなっています。それだけに、何を聞かれているのかを正確に読み取る力が重要になってきます。センター試験では、問題を見れば、何をするのかははっきりしていましたが、大学入学共通テストでは、まず何を聞かれているのかから読んで理解しなければいけなくなっています。その点で読解力がこれまで以上に重要だということは、ご納得いただけるのではないでしょうか。

 そしてもう一点の推理・推論力。これはどういうことかというと、与えられた情報から、そこに書かれていないけれども確かに言えることを論理的に考えだす力です。今日の話の中で出てきた例を挙げると、「夏至は、一年の中で最も昼の時間が長い日だ。」という文を読んで、そうすると夏至は一年の中で最も夜の時間が短い日なんだなといったことを考えられる力だということです。

 それで、この推理・推論力ですが、小・中学生を指導していて、これは本当にみんな弱いなと思います。弱いというよりも、そのような力について学校でも自覚的に学習すらされていないのではないかという感じがします。

 このことは、日々小・中学生の国語の指導をしていて思うのですが、分かりやすく、ちょっと例題を作ってみました。

 キーボードクラッシャーは、学校から帰ってくると、わき目もふらず自室に駆け込み、パソコンの置かれた机に座りました。学校にいる間から、昨日のネトゲの続きがやりたくてうずうずしていたのです。

 パソコンのスイッチを入れます。しかし、なかなか起動が完了せず、ゲームの画面になりません。キーボードクラッシャーは、両手でキーボードをつかむと、それを激しく机の天板に繰り返し叩きつけました。

問 キーボードクラッシャーがパソコンのキーボードを机にたたきつけたのはなぜですか。

 どうでしょう。このような問いに対して、どのような答えを書きますか?

 まず、10人中9人が、「パソコンがなかなか起動しないから」とか、「パソコンの起動が完了してゲームの画面になかなかならないから」などと書きます。残念ですが、これらの答えは不正解です。

 なぜか。パソコンの起動が遅いからと言って、キーボードを机に激しくたたきつけるようなことをするかどうか。そんなことは人によります。というかほとんどの人はそんなことはしません。私はパソコンの電源を投じたら、起動するまでの間にお湯を沸かしに行きますね。ですから、「パソコンの起動が遅いからキーボードを叩きつけた」なんて答えは、短絡的な考えだと言わざるを得ないわけです。

 このような問題の考え方は、

パソコンの起動が遅い →  → キーボードを叩きつける

のように、もうひと段階文章の中に書かれていないポイントがあると想像することが必要なんです。これが推理・推論の力です。

 正解の例は、「パソコンの起動が遅く、とてもイライラしていたからなどといったものになるでしょう。

 国語の問題を皆さんもよくご覧になってみてください。実はこのような推理・推論力が求められていて、書いてあることをただまとめるだけでは正解にならない問題は、それなりにあるはずです。

 しかし、この推理・推論力というものが大切なんだよという認識があまり広まっていないためか、上の例であれば、なんで「パソコンの起動が遅いから」じゃ×なの?なんていうレベルからなかなか成長できないお子さんが少なくないように思います。

 国語道場では、将来の大学入試に向けて、小中学生にもこの推理・推論力の重要性を理解してもらい、そのうえで問題に取り組ませるように努めてまいります。

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