2015年09月30日 11:14

女の子はこうして国語ができなくなる

 後期からのご新規の入塾者を募る告知の準備をしているんですが、そう思っていると体験授業のお申し込みが3件たて続けにあって、昨日までに2名の方のご入塾のお手続きがありました。

 ここのところ、お蔭さまで、告知をしようとするとお問合せがあって、実際告知するころにはほとんど募集終了となる状態が続いています。ぱっと見たところ募集しているのかいないのかよく分からない状態かもしれません。申し訳ありませんm(__)m

 もし国語道場にご関心のある方がいらっしゃいましたら、チラシなどをお待ちにならずに、お問い合わせくださるほうがよいかもしれません。

 さて、国語道場の生徒の男女比なんですが、4:3くらいの割合で男の子のほうが多くなっています。「国語」というと男のお子さんのほうが「苦手だ」という認識をもたれる親御さんが多いのではないでしょうか。

 男の子が「国語が弱い」ように見えるのは、やはり女の子に比べて精神の発達が遅い傾向があるということにあるんじゃないかと、私は思っています。大人から、やりなさいと言われていることを聞いていないとか、テストなどの問題を読んでいないとか、学齢が下がれば下がるほど、男の子にはそういう傾向が強くなるように思われます。

 女の子って、そういう点では結構小さいころから「ちゃんとしている」感じがしますよね。大人から言われたことをちゃんとやるのはもちろん、大人ともよく話すし、男の子みたいにワケの分からないことは言わないし、自分から本を読むのも好きなんてことも珍しくない。

 言語とか精神の発達という点では、女の子の発達は同年齢の男の子よりも進んでいる傾向は明らかにありますよね。女の子の親御さんだと、「まあ、うちの子は国語は大丈夫かしら」とお感じなる傾向があるのではないでしょうか。国語道場の生徒の男女比には、こうした背景があると思っています。

 しかしながら、国語道場では小学生だけではなく、中学生、高校生の学習指導も行っているのですが、このような国語についての女子の優位性は、年齢が進むにつれてどんどんなくなっていくのが現実です。いや、それどころか、中学生ころにはほぼ同等になり、高校以降では男子に抜かれていってしまうことも少なくありません。

 今ちょっとググってみたんですが、21世紀にもなって東大の学生って8割以上が男子なんですね。最終的に、学力トップ層は男子ばっかりとなってしまうのはどういうことなんでしょうかね。

 「女性に三角関数なんて教えてどうする」なんていう鹿児島県知事じゃありませんが、社会的な問題も背景にあるのも確かでしょう。なんとなく、女の子はそこまで勉強しなくていいという思い込みが大人の中にあるということは言えると思います。

 しかし、女の子にとってもともと「得意だ」ったはずの国語の伸び悩みは、そうですね、小学校高学年から見られることなんですけれども、これってジェンダー的なものだけでは説明がつかないと思うんですよね。

 それで、結構以前から、どうしてこういうことが起こるんだろうということを、何とはなしに考え続けてきていたんですけれども、最近それについて思い当ることがありました。

 皆様ご存じのとおり、国語道場では「ことばの学校」という読書指導を行っていて、その一環で「読書指数診断」という日本語語彙力読書力テストを年に2回実施しています。そのテストの一部を、「ことばの学校」を受講していない中学生にも今回受けてもらいました。すると、非常に興味深いことが分かりました。

 男子の場合、日本語語彙が少ない生徒は、単純に国語の成績も良くない傾向がはっきりしていました。ところが女子の場合、中学1年生くらいだと、知っている語彙の少ない生徒でも、国語の成績がよいことがよくあるということが確認できたのです。そのような女子生徒に書かせた作文なんかを見ても、大変優れていることが少なくありませんでした。

 日本語語彙力があまりないのに、国語の成績もそこそこ良く、作文で自分の考えを簡潔にまとめることも上手。これはいったいどういうことなんでしょうか。

 これは女子の生活習慣によるのかなという風に考えています。女の子って、小学校に入る前から、友達同士などでの言葉のコミュニケーションが盛んですよね。だから、自分の知っている範囲内の語彙を使って、自分の考えや気持ちを人に伝える訓練が、結果的に早いうちから行われていることになるんじゃないでしょうか。

 だから、知っている言葉は少なくても、その中で自分の意見を上手にまとめられちゃう。したがって、一見作文も上手に書ける。

 ところが、逆にそれが仇となって、ともすると新しい言葉を獲得する努力を怠ることになることもあるんじゃないでしょうか。生活するうえや、友達と付き合う上で特に困ることもないので、新しい語彙やものの考え方を吸収しようとすることもなく、なんとなくその仲間内だけで成り立つコミュニケーションで満足してしまっている。

 「読書が好き」と言っても、自分が好きなジャンルやシリーズの本を読むだけなので、結局日本語の力を向上することにはつながりにくい。これで家で新聞も取っていないとか、テレビでニュースや教養番組も見ないとか、社会や歴史、科学の知識に興味がなければ、まったく語彙力は伸びないですよね。

 「国語が得意」のつもりでもそれもせいぜい中2どまり。入試で出題されるような文明論や哲学的文章はチンプンカンプンになってしまう。そういうことなんじゃないでしょうか。

 女の子の強みは何といっても言語的コミュニケーション能力の高さですから、それを利用していくことが大切でしょう。一緒に家事をするとか、野外体験をする、コンサートや美術館に出かける、本なら、楽しい物語ばっかりじゃなくて、自然科学や社会科学系のものも読むように仕向けるとか、そういったことが重要でしょうね。

 注意が必要なのは、女の子はおしなべて「いい子」が多いので、勉強を押し付けやすいところですね。やれと言われれば、割と素直にやってくれちゃう。これが怖いところでもあります。私は、少し成長して、どうにも動かない勉強嫌いになってしまった女の子をたくさん見てきています。

 ご家庭で努めていただきたいのは、知的好奇心を伸ばすことであって、言うこと聞くのをいいことに勉強を押し付けることではありません。まあ、これは男の子でも同じことですが。

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