2015年11月25日 10:37

子どもが元々持っている力を利用した教育法

 私は、塾長対象の勉強会によく出かけます。

 子どもたちにものを教える立場の人間として、自分自身が勉強して向上していかないなんてことはあり得ないですよね。とはいえ、たくさんの塾生に来ていただけるようになって日々多忙の身、ポイントを絞って出かけます。

 最近出かけた勉強会のうち、2つは偶然共通のテーマのものでした。それは、アクティヴラーニングについてです。

 1件は、小林昭文先生という、アクティヴラーニングを長年実践してこられた元埼玉県立高校の教諭の方で、すでにいくつもの著書もある方の講演でした。もう1件は、東進ハイスクール英語講師の安河内哲也先生のもので、こちらはこれからの時代の英語教育というテーマでしたが、内容はアクティヴラーニングに関するものでした。

 まともな問題意識のある教育者であれば、今の時点でアクティヴラーニングに関心を持っていないなんてことはあり得ないということでしょう。

 「アクティヴラーニング」という言葉について、あるいは一般の方々にはちょっと耳慣れないということがあるかもしれません。

 しかし、来年度からまた中学校の教科書が変わるんですが、アクティヴラーニングについてのページが増補されたものになるはずで、それはこれからの時代の標準的な学習指導法と言っていいでしょう。

 アクティヴラーニングとは、従来の一般的な学校の授業のように一方的に指導内容を言って聞かせる授業だけではだめですよ。また、悪い意味での「個別指導」ですね。つまり、子どもに何から何まで手取り足取り教え込んでしまうような授業のように子どもがちっとも自分の頭を使わなくなり、依存心ばかりを育ててしまうような学習指導は順次やめましょう。代わりに、指導者は子どもたちにポイントを教えて、子どもたちにはそれを活用させ、自分たちの頭を使わせて問題を解決して行くことができるように指導しましょうということです。

 まあ、国語道場が3年前から実践しているようなことですね(笑)。ようやく時代のほうが私に追いついてきたということでしょうか(-_^) 文部科学省がアクティヴラーニングを公式な学習指導方針に掲げるようになったというのは、なかなか感慨深いものがあります。

 国語道場は個別指導塾ですが、それはアクティヴラーニング的な意味です。つまり、子どもが習ったことを使って、自分の頭をフル回転して問題を解決できるように個別に指導する塾だということです。

 だから、習ったことをろくすっぽ参照することもしないで、「全然わかりません」などと言ってくる生徒については、基本的に「もう一度さっき教わったところをよく見直して考えてこよう」と突き放されます。

 それで面食らうことがあるかもしれませんが、ちょっとくらい面食らったほうがよろしい。勉強というのは、自分の頭を使った者にしか身に付かないものだからです。

 とはいえそこは塾ですから、生徒一人一人の力量に合わせて、これは無理そうだというものについては最終的には懇切丁寧にさらりと教えてあげます。

 ただ、「まずは自分で考えてみよう」というプロセスなしに手取り足取り教え込んでしまう、これがいけないわけです。

 こういうプロセスを挟むか挟まないかが重要で、「さっきは全然分からないと思ったけど、確かに見直して見たら意外に簡単に自力でできた」という経験を子どもたちに積ませることができます。「自力で考えたら解けた」という成功体験が大切で、こういうことを繰り返させることで自ら学ぶ人間に個別に指導して育てて行くというのが国語道場の個別指導だとお考えください。

 もちろん中には、うちの子はべったり教え込んで欲しいという方もいらっしゃるでしょうから、そういう方はそういう塾ならそこいら辺に星の屑ほどもありますから、そちらをお選びになれば良いのだと思います。議論も説得する気もありません。

 昨日の記事にも書いた通りで、国語道場のやり方でじっくりと取り組んでくれている子どもたちは、しっかりと結果を出してくれていますから、私は国語道場のやり方を貫いていくだけです。

 先程紹介した元埼玉県立高校教諭の小林先生の講演で、このようなやりとりがありました。

 小林先生は、授業の最初15分間でその日に学ぶ内容を一気に説明されるそうです。それに対し、15分の説明で生徒たちに全て理解させることが可能なのですか、という質問が上がりました。

 小林先生の回答は明快でした。

「私はこの説明で生徒に理解させようなんてまったく思っていません。」

 それはどういうことかと言うと、

「本当の意味で子どもたちが学んだことを理解するのは、テスト前に喫茶店で友達と勉強して、自分で考えたり、友達と教えあったりしているうちに、『あっ、分かった』という時だ」

と言われました。

 とてもユーモラスな表現ですが、まさにその通りだと思います。子どもたちが本当に理解できたと言えるのは、彼らが真正面から問題に向かっていって、自らの手でそれを克服した時であるということです。

 稲毛・西千葉界隈でしたら、テスト前にイオンのフードコートで必死こいて高校生たちが勉強している光景を思い浮かべればよいでしょうか。このような本当の意味で身になる勉強を教室で実践する。子どもたちだけでは時間を無駄にしてしまうこともあるので、指導者の管理下で効率的に行う。それがアクティヴラーニングの実相と言ってよいでしょう。

 つまるところ、アクティヴラーニングの根本思想は、子どもには自力で問題を解決する力があるということについて最大限信頼するところにあります。

 アクティヴラーニングで指導されている生徒は、学力・成績が向上するばかりでなく、学習に対して積極的になると言われていますが、それは指導者側の子どもの力を信じるという精神や態度にもよるのでしょう。

 一方で、手取り足取り教え込んでしまう悪い意味での「個別指導」が、受身的で依存心が強く、自ら責任を持って行動するような人間を育てにくいのは、そのシステムの問題もありますが、それを支える側の大人の感覚、「うちの子は手取り足取り教えてもらわないとダメだ」という子どもに対する不信感に根ざすものであるからだと言えると思います。

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