2018年03月25日 23:05

子どもの可能性を信じるということ

 24日(土)より春期講習が始まりました。お蔭様で大変な盛況で、講習生の募集はすでに終了させていただいております。悪しからずお含みおきください。

 さて、講習1日目が終わってすぐ次の日曜日にお休みをいただいておりました。毎年最終日曜日には、私にとって年に1度のお楽しみである、千葉県少年少女オーケストラの定期演奏会があります。本来国語道場は毎週月曜日が休校日なのですが、このコンサートに行きたいがために、3月の最終週のみ変則日程で日曜日がお休みになっております(本当)。

 千葉県民が誇るべきこの素晴らしいユース・オーケストラの演奏を聴くことは、私自身の心の栄養となっているだけでなく、教育について深く考える機会にもなっています。なので、彼らの演奏会に行くことは、譲れないスケジュールなのです。

 今年の第22回定期演奏会では、国語道場の生徒の1人も出演していました。自らの役割をしっかりとこなしていましたね。よく頑張ったと思います(^^♪

 今回の演目は、

シューベルト作曲/劇音楽「キプロスの女王ロザムンデ」D.797より序曲

ベートーヴェン作曲/ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58

ブルックナー作曲/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ハース版)

でした。

 指揮者は下野竜也さん。身近なところでは、現在のNHK大河ドラマ「西郷どん」のテーマ曲を振っていらっしゃいますね。

 いや~、毎年のことながら、どれも素晴らしい演奏だったんですが、ブルックナーの熱演は心を揺さぶられました。技術的に大変優れたお子さんたちの演奏なので上手なのはもちろんなのですが、演奏時間約75分になるこの大曲に全身全霊を込めて取り組んでいるさまが見てとれまして、大いに感激致しました。

 演奏後の指揮者と音楽監督の佐治薫子氏とのお話を聞きまして、なるほどこのような思いで子どもたちを指導していらっしゃるのかと感服しました。

 ブルックナーの交響曲というとどれも演奏時間が1時間を優に超える巨大な作品ばかりで、あまつさえ往年の大指揮者の録音がずらりと残っていまして、10歳から20歳の若者が取り組むことに心配もあったかもしれません。

 しかしながら、指揮者の下野さんは、若者だからできる演奏もあるだろうということで、子どもたちの可能性を信じてあえてこの難曲に挑んでもらったということでした。まことにあっぱれな心映えと思いました。

 今回演奏したブルックナーの交響曲第4番の版は、ハース版と呼ばれるものです。詳しいことは省きますが、これはブルックナーの作品全集の古い方の版です。すっきりと編集された新しい版に比べて、旧版は様々な楽想が盛り込まれていて、私の友人のブルックナー廃人の中にも、「ハース版の方が好きだ」という者が少なくありません。

 千葉県少年少女オーケストラの定演の曲目は1年以上前にはすでに発表されているのですが、その時点ですでに「交響曲第4番(ハース版)」と明記されていましたから、この版の決定は指揮者の下野さんの強いこだわりによるのでしょう。

 演奏後のステージ上のお話で、下野さんは、我が国の大指揮者の1人である朝比奈隆のもとで学んでいたことを知りました。また、好きな指揮者がギュンター・ヴァントであるとも。両者とも交響曲第4番ではハース版を主に採用していた指揮者です。なるほど、だからハース版なのかと納得。

 このような、指導者のこだわりを子どもたちに正面からぶつけていく姿勢も素晴らしいなと思いました。現実に、子どもたちは、このような難しい課題に全身で取り組み、見事な演奏をしてみせたわけですから。

 ひるがえって、「子どもだから」出来るとしてもこれくらいのものだろうとか、できるはずがないなどと思いこむのは実によくないことで、子どもの可能性に全幅の信頼をおいて、難しい課題でもまずはやらせてみることが大切なのだなと、改めて考えさせられました。

 また明日から、私も子どもたちの可能性を信じて、多少難しい課題でも与えていって、ともにそれを克服すべく歩んでいきたいと決意を新たにしました。

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