2016年08月25日 19:38

子どもを使って「自己実現」しようとするバカ大人

《1581年11月16日のイヴァン雷帝とその子イヴァン》~レーピン画

 なんとも痛ましい事件が起きたものです。名古屋で、親の言うとおりに受験勉強に取り組まない小6の息子を、父親が刺殺してしまったということです。

 今年2月には、相模原で、高校受験に「失敗」したことから、母子が無理心中したというニュースもありました。

 我が子に手をかけるほどの愚か者はそうそういないのでしょうけれども、子どもを自分の思い通りにふるまう人間にしようとしているも同然で、今回の事件の親に一脈通じる親は結構いるのではないかと思います。

 子育ての目標は、子どもを自分の頭で考え行動する自立した人間に育てることです。そんなことも理解できないのでしょうか?まあ、理解できないのでしょう。

 中学受験や高校受験で、子どもの向き不向きを無視して、偏差値やネームヴァリューで受験校を決める親は、こういう人間だと断言しても過言ではないと思いますね。教育ジャーナリストのおおたとしまささんが、塾向けの情報誌のコラムで、このような親のことを「闘鶏や闘犬の飼い主」と評していましたが、まったく同感です。

 こういう手合いは、子どもの幸せや成長を本当に考えているわけではないんですよ、口ではどんなことを言おうとですね。つまるところ、

子どもを◯◯中学(高校・大学)に入れた親

になりたいのですよ。子どもを利用して「自己実現」を図ろうとしているだけなんです。

 理想の頂点は佐藤ママ。この佐藤ママを頂点とするヒエラルキーの少しでも上に入ろうと血道を上げているというわけです。

 「お前は塾なんかやっていて何を言っているんだ」と仰る方もいるかもしれません。「お前ら塾業界が、こういうおかしな親を煽っているんじゃないか」と。

 塾というのもいろいろでして、「中学受験に失敗したら人生終わりだ」なんてことを子どもや親に吹聴している塾も、確かにあると聞きますね、千葉にも。

 しかしながら、私の友人の塾長たちにはそんな人はいません。少なくとも、国語道場だと、子どもの特性を無視した受験を無理に進めようとする親御さんは、塾長に面罵されます。

 大体ですよ、子どもの特性というのは、親御さんとお子さんとの数年~十数年ものかかわりの中で形成されてきたものではありませんか。それを無視して、合わないことを押し付けるなどということは、子どもの人格を破壊しようという行為に他なりません。

 ましてや、己が屈折した上昇志向を満足させんがために子どもを利用するとは何たる恥知らずか!

 本当に、子どもを使って「自己実現」なんておやめなさいと申し上げたい。そもそもそれは自己実現でさえありません。

 何かを成し遂げたいと思われるのなら、自分が何かをすればよいのです。起業されるもよし、団体を立ち上げられるもよし、地域の活動に積極的に関わられるのもよし、大学に入りなおして「源氏物語」の研究をお始めになるもよしです。

 親は、順番から言うと子よりも先に死にます。親は子どもの人生に最後まで関わり切ることはできません。関わり切るということは、子よりも後に死ぬことになりますが、それはなおいやでしょう。

 そうであるならば、親として子どもに対するあるべき考え方の究極は、

生きてさえいてくれればそれでいい (ハヤト・コバヤシ--「機動戦士Ζガンダム」)

ということになるのではないかと思います。

 どのような状況になっても、私の子なら生きていてくれるのではないかと思えるようになるには、自分の頭で行動できる人間になってくれるかどうかです。

 その点で、勉強において最も大切な教科は、国語だろうと思っています。

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