2016年06月04日 09:14

子育ては間違えるもの、子どもはそれでも育つもの

 いや~、しかし大和君。よかったですね、無事発見されて。

 11女の親の私の感想は、親の一度の失敗が取り返しのつかない結果にならなかったのが何よりだなあというものです。

 たしかに行き過ぎたしつけではあったかもしれませんが、最悪の結果になっていたら、あまりに厳しすぎる運命であったなあと思います。

 もちろん、自然災害とか事件とかで理不尽と思われるまでに厳しい宿命を引き受けなければならないケースは多々あるわけですが。

 結構国際的にも注目を集めていたようで、英国やロシアでも発見のニュースは速報が出たそうです。

BBCなんかは「子育てに悩む日本」という分析記事まで出しています。

でも、まあこれだけ国際的に注目を集めたのは、日本に限らず子育ての難しさが世界中の親に共有された感覚であるからなのでしょう。

 2か月以上前になりますが、アルファ碁という人工知能が、イ・セドル九段という当代随一の棋士と対戦し、41敗という成績を残したというニュースが世界中を駆け巡りました。

 その時、高尾紳路九段というこれまたトップ棋士が、あるインターネットマガジンに記事を寄稿していて、そこになかなか味わい深いことを書いていました。

 囲碁においては、終局までに200手を超えることが普通だ。・・・1919の碁盤はあまりにも広く、・・・人間にとって囲碁は、ミスなしで乗り切るにはあまりに長過ぎる競技だからだ。

 ほぉ~、そうなんですか。トッププロといえども対局中にミスをやらかしてしまうものなんですね。

 囲碁というと定石もあって、組み合わせが膨大とはいえ19×19という有限のマス目の中で行われるゲームですよね。

 そのゲームのトッププロでさえ、対局中にミスをしないことは不可能だと言っていることに、大変興味を覚えました。ミスをしても、それを何とかしのぎつつ打っているのですね。

 ひるがえって子育て。定石なんてあってないようなものです。ある子どもに合ったことが、自分の子どもにも合うかどうかもわかりません。

 今回の大和君のケースについてもそうでしたが、1つの事柄についても人によって言うことが全然違います。何をすれば絶対にうまくいくなんてことが全く言えない世界。

 まして、親というのはほとんどの場合「初心者」。今の世の中であれば多くても3人分くらいしか子育ての経験を積む機会さえありません。何百、何千と対局を経験するプロ棋士とは全く条件が違います。間違えを犯すことは当然と言わざるを得ないでしょう。

 囲碁のトップ棋士でも対局中にミスを犯す。肝心なのは、そうしたミスを犯しつつも、それをいかにリカバーしていくかということだというのは、私たち親にとっても示唆に富むように思われます。

 そして何よりも、子ども自身の力をもっと信じたほうが良いかもしれません。

 親が多少子育てで下手を打ったとしても、子どもはそれを受け止めて、さらに成長してくれるものなのだ。今回の大和君無事発見という出来事は、そういう子どもの力を私たちに示してくれているように思われました。

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