2016年08月10日 17:49

学習意欲を高めるための本質的な方法

 私の母の故郷は、平成の大合併で山鹿市に編入されましたが、以前は鹿本郡といいう地域の一部でした。第23代内閣総理大臣清浦奎吾はこの鹿本出身でした。

 ほとんどの方が、誰?と思われたかもしれません。中学の歴史教科書レベルで「清浦奎吾」または「清浦内閣」が出てくることはありません。

 が、東京書籍版の歴史教科書の195ページを見てください。

 1924年、政党勢力は、第二次護憲運動を起こし、憲政会総裁の加藤高明を首相とする連立内閣を成立させました。

 この時に倒されたのがこの方です。近代日本の政治史上、最大のヤラれキャラと申してよいかもしれません・・・

 この方の実家は、実は私の母の実家の親類がお世話になっているお寺さんなのです。

今夏の旅行でこちらの住職さんとお会いして、お話させていただきました。

 戦後間もない頃、当時中学生だった住職さんの友人たちが外で教師を待ち伏せしてボコった話(^^;など、大変面白いお話をたくさん聞かせていただきました。

 お寺の隣には、清浦奎吾の記念館があり、写真やゆかりの品々、音声など興味深い資料を収蔵しています。

ちょうど来館者が私たちしかいなかったためか、館長さんと思しき方が収蔵品一つ一つについて丁寧に説明してくださいました。

 たしかに、短命内閣ということでネタ的な扱いになりやすい清浦奎吾ですが、肥後(熊本)出身で、薩長の藩閥でもなく、軍閥でもなく、法務官僚としての能力と政治力で総理大臣にまで登りつめたのはすごいことだなという感想を、この記念館を訪れた後だと持つことができます。

 清浦奎吾は若いころ、肥後の隣国豊後(大分)の咸宜園という私塾で単身学んでいたそうです。現在、この鹿本の小学生高学年のための地域イベントとして、大分の咸宜園があったところまで数十キロ歩くというものがあるそうです。

 このように、地域の偉人についての学びを学習の中に取り入れたり、やったことを実際に追体験してみたりするという試みは大変素晴らしいと思いますね。

 学習意欲が低い子どもの特徴として、勉強していることが自分にとって何の意味があるのかよく分かっていないことがあります。逆に、勉強が自分の生活の中で役に立つことが分かっていたり、学んでいることに対して想像力の働く子どもは、学習意欲も高いです。

 レイチェル・カーソンの言葉に、「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない」というものがあります。

 勉強していることが自分にとって何の意味があるのか、何をやっているのか想像も働かない、そのような状況で何を教えても、何を学ばせてもなかなか身にはつかないでしょう。子どもたちには、自分たちの周りにあるものを体感させる工夫が必要です。そういう意味で、この鹿本の小学生たちに対する試みは大変素晴らしいと思うわけです。

 将来、この鹿本の地より、6か月以上続く内閣総理大臣が誕生するかもしれません。

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