小さくまとめないで
今日は、青葉の森芸術文化ホールに、千葉県吹奏楽コンクール中学生C部門を聞きに行きました。
緑町中学校吹奏楽部の皆さん、
みごと金賞受賞、おめでとうございます!
国語道場塾生の部員たちが頑張っているところがみられてうれしかったのですが、さらに彼らが金賞を獲得したので、私としては1回で2度うれしい経験が出来ました。
他校の状況などを考えると、上位での金賞受賞だったのではないかと推察します。来年以降はB部門などに挑戦するのもいいのかなといった印象を持ちました。
今日入手したプログラムに、1959年に行われた第1回コンクールの出演順が掲載されていました。
なんと第1回千葉県吹奏楽コンクールにおけるいっとう最初の演奏団体は、緑町中学校だったんですね。緑中、吹奏楽コンクールの伝統校じゃないですか(^^)
夏の風物詩ともいえる吹奏楽コンクール、この日のために頑張ってきた子どもたちの健闘を大いにたたえたいと思いますが、パフォーマンスを見ていて気になることがあるのも事実。
それは、コンクール向けに小ぢんまりとまとめられた演奏がどうしても多いなということです。これは指導者側の問題です。
「コンクール向けに小ぢんまりとまとめる」というのは、主に音量バランスや音程に関して行われます。
音量バランスを小ぢんまりとまとめるといっても、メロディーのパートよりも伴奏パートが極端に大きく聞こえてしまう場合、突出した伴奏を抑えさせるのは当然です。問題なのは、楽器の技術が未熟な奏者が多いバンドで、そこそこ吹ける子が音量を抑えさせられてしまうようなケースです。
また、音程を小ぢんまりとまとめるとは、楽器本来の音色がまだ出ていない奏者に対し、口先だけで音程をコントロールさせてしまうようなことを言います。
小ぢんまりとまとめさせてしまえば、「アンサンブル」としてはバランスが良いということになるだろうし、音程も問題はないということになるのでしょう。
しかし、その結果、そのバンドの音色は貧弱で硬く、音楽の表情も縮こまったものになってしまいます。
このようにコンクール向けに演奏者を押さえつけるような指導を続けていく最大の問題点は、子どもたちの楽器の技術が上達しないことです。ほとんどの場合、のどや唇などにムダな力をかける悪い癖がついてしまいます。
本来的に楽器が上手になるためには悪い癖をなくす必要があるのですが、一度変な癖がついてしまうと、これを取り除くために膨大な時間と労力が必要になります。たいていそれを直す前に、楽器が嫌になってやめてしまうでしょう。
子どもたちに吹奏楽などで楽器に取り組ませる意義は何でしょうか?いろいろありますが、一つには、長い人生の中で音楽を愛する人間を育てるということは間違いないでしょう。しかし、間違った指導で楽器に対する愛着を失わせてしまうようなことをしているようでは、教育として失敗だと言わざるを得ないところがあると思います。
勘違いをしてはいけません。楽器は、正しい吹き方でよい音色が出せれば、自然と音程が合うようにできています。だから、正しい音程で楽器を演奏しようと思ったら、まず良い音色を出すように練習すればよいのです。
楽器本来の音がまだ出せていない子どもに対し、コンクールでよい評価を得るために口先を使って音程を合わせるようなことをさせる学校は、残念ながらまだまだあるようです。しかし、これではわざわざ音程の合いにくいような吹き方をさせたうえで、「音程を合わせろ」と強要しているようなものです。
今日のコンクール、最高賞の理事長賞を受賞したのは、稲毛中学校でした。私も完全に同意の結果でした。
なんといっても各奏者がそれぞれの楽器本来の音を出せていました。楽器本来の音が出ているから音程もよかったです。また、楽器本来の音が出ると、大きな音から小さな音まで音量の幅が広くなります。よって表現の幅が広がるので、演奏が表情豊かでした。最高賞受賞は当然の結果と言えましょう。
吹奏楽の指導者の先生方には、合わせの練習以上に、個々人の音色をよくする練習をさせてほしいと思います。吹奏楽部というと、合奏練習に膨大な時間を費やしているところがまだまだ多いのではないかと推察しますが、まずは個人の楽器の技術向上のための練習を第一にしていただきたい。そして、高い技術を持った個々の奏者の音色がまじりあうような合奏を目指してほしいと切に願います。
まあ、塾でも、あらゆる学びの基盤である国語力をなおざりにして、その場しのぎの点とらせなんちゃって「学習指導」が幅を利かせているところがあります。国語道場はそういうことを子どもたちにはやらせないぞという思いを新たにいたしました。
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