2018年08月19日 21:51

小学校低学年での言語能力の低さが一生たたるかもしれないという話

 うちの小5の娘ですが、轟町にある自由保育の幼稚園に通わせていました。

 入園式の時、確か園長先生が

「自分の気持ちを人に伝えられるようになりましょう」

というようなことを言われていたのを覚えています。そのほかにも、幼稚園生活の中で「自分がどういう気持ちなのか、どうしてほしいのかを言えること」の大切さが強調されていたように思います。

 当時は私にあまりその点についての問題意識がなかったのですが、今振り返ってみると、とても重要なことを言われていたのだなと思い知らされます。

 国語道場には、小学1年生から中学3年生までのお子さんたちが通っています。その中で、自分がどうしたいのかということを伝える言葉の能力の差が個人の間で最も大きいのは、小学校低学年のお子さんたちです。

 女の子は総じて言葉で自分の言いたいことを伝える能力が高い傾向がありますね。「つぎ、なにするの~?」なんて気軽に話しかけてきて、どんどん私たちスタッフともの仲良くなっていきます。一方で、こちらが話しかけても、「あ゛~」となかなか言葉が出てこないお子さんもいます。たいてい男の子です。

 このようなことは、どの子が優れていて、どの子が劣っているという問題ではありません。お子さんによって立って歩くことやしゃべり始めることが早かったり遅かったりするのと同じような問題なのだろうと思います。

 しかしながら、小学校低学年時における言語能力の差は、お子さんのその後の学習歴にかなり大きな格差をもたらしていると実感します。小学3年時点での子どもたちの語彙力、読解力の格差はすでに大きく、その差は算数などの学力と結びついていて、高学年や中学でその格差を逆転していくのは多くの場合困難です。

 国語道場では、全国規模の学力テストのほかに、「読書指数診断」という語彙力と読みの正確さを測るこれまた全国規模のテストを実施しているのですが、両者の成績は互いに密接な関係があります。勉強は、教わる段階では教科書の記述や先生の説明も言葉で行われ、自分で理解し、習ったことを実際に使ってみる段でも言葉を用いるものですから、言語の能力が学力に大きく関係するのは当然といえば当然でしょう。言語能力の高いお子さんは、算数など国語以外の教科を含め全般的に成績がよく、言語能力が低いお子さんは成績がよくないということになります。

 最近読んだ教育関係のブログで、このようなものがありました。

 同じ学年でも生まれた月によって結構な学力差があり、4月生まれは統計的に成績がよく、2月・3月生まれのお子さんは成績がよくない傾向があることが明らかになっているそうです。さらに恐ろしいことに、この記事によりますと、その傾向はなんと中学2年生においても確認できるということです。

 小学校低学年時点における個人間の言語能力の差とそれに相関する学力の格差は、私が日々実感するところでありますが、その格差が実に中学においても解消されずに残るということです。ブログの筆者の方は、低学年時点での学業不振のために、「自分はどうせできない」という否定的な自己評価が形成されているのではないかとも言っています。私は、恐ろしいなという感想を持ちました。

 繰り返しますが、子どもたちの個人間に言語能力の差があること自体は、その子どもたちの能力の優劣を示すものではありません。本来的には、言語能力が早くに高いお子さんは、先にどんどん学習を進めていき、言語能力の成長がゆっくり目のお子さんは、それが一定になるのを待って学習を始めていけばよいという話です。

 しかし、不幸にして、我が国の学校教育は、決められた年齢になったら一斉に同じ学習を始めなければならないことになっています。それぞれに合わせたスタート時期を選べればいいものを、迷惑な制度になっているものです。

 米国やドイツ連邦などでは、子どもたち個人の成長に合わせて、入学時期を遅らせることができるのだそうです。これが本来あるべき姿ではないかと個人的には思います。

 しかしながら、先の大戦においても、こうするべきではないか、こうしたほうがいいのではないかということが明らかなのに、責任ある立場の者がそのように判断しない、決められないといったことがわが国では非常に多い。子どもの就学開始年次が1~2年遅れることなど、「人生100年」などと言われる時代においてまったくたいしたことではないので、そんなもの個人の成長に合わせて決められるようにすればよいのではないかと思いますが、なかなかそのように制度を改めるのも難しいのではないかと思われてしまいます。

 そうすると、各家庭において何らかの対応をするしかないということになります。国語道場が西千葉地区で独占的にご提供する読書指導「ことばの学校」は、お子さん一人一人の言語能力に合わせた本を読ませ、そこに出てくる語彙や表現のワークを通して、個別進度で言葉の力を効果的に伸ばすことができます。お子さんの言葉の力にご心配のある方のお力になれるのではないかと思っております。

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