平均点は「普通」以下?
更新の間隔が開いてしまいましたが、前回の記事では今年行われた千葉県公立高校入試の結果についてご紹介しました。国語道場は、塾内の自己採点データを千葉学習塾協同組合情報部に提供することで、入試当日のうちにきわめて正確な平均点情報を得ているということもお話させていただきました。
この平均点ですが、われわれ入試情報分析のプロは、テストの難易度を比較したり、受験生一人一人の合否予想に利用しています。そういう意味で非常に重要なデータです。
平均点を、生徒や受験生、あるいはその保護者の方が、ある種の目標のようにとらえていることも、よくあるように思われます。例えば、定期テストが返ってきたときに、生徒たちが「平均を超えられた」とか「平均以下だった」とか言いあっていたり、保護者の方が、「平均も取れていない」とか、「せめて平均くらいは取れるようになってほしい」などと言われたりするのをよく聞きます。
このようなことを言われるのは、多分、平均点=普通の点数だと思っていらっしゃるからなのだろうと想像します。しかし、その認識は正しいものなのでしょうか?私はちょっと危なっかしいところがあるなと思っています。
突然ですが、皆さんは自分が何歳くらいまで生きられると思っていらっしゃいますか?
このように聞かれると、多くの方が平均寿命のデータを参考にお考えになるだろうと思います。最新のデータでは、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳です。そうすると、まあ自分も、男性だったら80歳くらい、女性だったら86~7歳くらいまで生きるのかなと思われるのではないでしょうか。
この寿命に関して、面白い記事がありました。記事の中で筆者の方は、寿命の平均値があるのであれば、その中央値や最頻値もあるのだろうということで、厚労省のデータを使ってそれらを求めています。
ちなみに、中央値とは、データを大きい順か小さい順に並べたときのちょうど真ん中の順位の値のことで、最頻値は、度数の最も高い値のことです。統計は、現在中学生の親という年代の方は中学時代に習っていないのではないかと思いますが、今は中1で教わります。
平均寿命は、世界最高齢で亡くなる方から幼少期に亡くなった人を含めてのデータですから、実際に多くの方が亡くなっている年齢よりも低いことになるようです。上に紹介したブログによると、平成28年の寿命の中央値は、男性が83歳で女性が89歳。最頻値は、男性87歳、女性93歳だそうです!つまり、亡くなる年齢の高い順(あるいは低い順)でちょうど真ん中の順位の年齢は、男性83歳・女性89歳ということで、もっとも亡くなる人が多い年齢は、男性87歳・女性93歳ということですね。
何を「普通」ととらえるかは人それぞれかとは思います。しかし、例えば日本人の寿命に注目してみると、平均の値は、ちょうど真ん中というわけでも、一番の甥というわけでもないことが分かります。こうして考えてみると、平均は本当に「普通」だと言い切れるのか、ちょっと怪しいぞということになるのではないでしょうか。
実は、高校入試の得点分布は、この寿命と同じような傾向を示しています。
上のグラフは、今年の公立高校入試前期選抜の国語の得点分布を表しています。平均点は63.2点で、グラフ上は縦の直線で示されています。
10点刻みの得点分布を表す折れ線グラフに注目しますと、最も割合の高いところ、すなわち最頻値は70~80点で、平均点よりも高いところにあります。国語の得点分布は、日本人の寿命の分布と同様に、平均値は最頻値よりも低いことが分かります。
5教科合計もこんな感じです。平均点は294.3点ですが、最頻値は350~400点の所にあります。ざっと見たところ、ちょうど真ん中の順位である中央値は300~350点の所にあるようなので、真ん中の順位の人も平均点より高そうですね。
どうでしょうか。大学受験レベルになるとまた状況は変わってきますが、少なくとも高校受験レベルくらいまでは、平均点をへたに目標化してしまうのは、少々危うい気がいたします。私としては、平均点のようなものはあまり意識せずに、あくまで自分のこれまでの成績などを踏まえ、自分の目標に向けて頑張ることをお勧めします。
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