2019年06月13日 20:14

成績上げたきゃ、はっきり話そう

 かねて申し上げているように、塾というところはたんに勉強をするところではなく、成績を上げるために通う場所です。しかしながら、それでは「分かりやすく」勉強を教えれば、子どもたちの成績が上がるのかというと、ことはそれほど単純ではありません。

 お子さんの中で、教わっていることをちゃんと理解し、記憶にとどめ、そしてさらにそれを問題演習やテストでアウトプットできるだけのアタマとカラダの準備ができていなければいけないからです。それができていない限り、どれほど「上手に」教えようが、1対1でべったりくっついて教えようが、学力・成績についてはよいことは何も起こりません。

 したがって、ただ勉強を「分かりやすく」「上手に」教えるだけでなく、子どもが勉強を身につけられるような試みをしていかなければなりません。それには様々なものがるわけですが、国語道場の私はその一つとして、はっきりしゃべらせるということをやっています。

はっきり話す はっきり話す

びくびくせずに はっきり話す

困ったときは あわてずに

人間について よく考える

考えたなら はっきり話す

 ご存じの方も多いかと思いますが、↑は岩手県の釜石市立釜石小学校の校歌の2番の歌詞です。作詞は井上ひさし。前期中間テストの中3国語の範囲だった『握手』の作者ですね。

 本当に素晴らしい歌詞で、教育が目指すべきものはまさにこれなんではないかと思わされます。

 これもまた有名な話ですが、東日本大震災の際、この釜石小学校の子どもたちはそれぞれ自分たちの判断で避難し、一人の犠牲者も出なかったそうで、これを「釜石の奇跡」と呼ぶそうです。子どもたちがこのような言葉で育てられてきたことも関係があるのではないかと思ってしまいます。

 しかしながら現実には、発話のはっきりとしない子どもって多いですよね。学校における学級のように固定化された人間関係の中で自分を卑下していたり他の上位のメンバーの意向を忖度したりしてしまっているのか、はたまた周囲の大人の考えの押し付けが強すぎるのか、本当に短い簡単なことでもはっきりと話せない子どもは少なくないと思います。自信がなくてはっきり言わないクセがついてしまっているのか、たどたどしく話すことでクラスの中であまり突出しないようにしているのが本当にそういうしゃべり方になってしまっているのか、どうしてなんでしょうね。

 そもそも学校のように、同じ年度生まれの子どもたちが同じペースで一斉に同じことを学ばされるようなシステムの中で、自分の思ったことをしゃべらせるような訓練をなされていないのだから、当然と言えば当然なのでしょう。

 塾という立場で言いますと、発話があいまいだと勉強がなかなか伸びない。ここが問題だと思います。

 まず、発話があいまいだと、暗記ができません。暗記するのにもやもや喋って練習しているようだと、まずその段階で覚える言葉があやふやになってしまいます。何となく覚えているつもりにはなるかもしれませんが、そのような不確実な用語知識ではテストではまず使い物になりません。鮮明この上ない明確な知識を身につけるためには、はっきりとした言葉で練習をしなければなりません。

 また、発話のはっきりしない人は、記述も苦手なはずです。そもそも、記述式の答えが書けないというお子さんですが、それでは口頭で自分の思う答えを言ってごらんと振られても、まずそれができません。たいてい、「分かってるんですけど、説明しろと言われると言えません」なんてことを言うでしょう。

 しかし、これは知識も考えも実はしっかりとしたものができていないという証拠でしかありません。ちゃんと理解できている人はそれなりに簡潔に話せるものです。

 こうしたわけで、国語道場としては、記述につまづいているお子さんに対しては、まずはっきりと口頭で説明させるように仕向けています。ちょっと生徒には負荷が大きいかもしれませんが、確実に記述力が上がります。

 しっかりと話せるようになると、おのずと学力・成績はよくなっていきますから、普段の生活の中でも大人は子どもたちがはっきりと自分の考えを話せるような環境を整えてあげてほしいものです。

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