2019年06月21日 23:38

数学が得意な人は「ウソつき」が多い

 何度も申し上げていることですが、私の塾は「国語」道場という名称ですが、数学も英語も社会も理科も教えている塾です。国語の専門塾になるつもりは毛頭ありません。

 なぜか。

 どうでしょう。「中学受験は算数で決まる」とか、「大学受験で一番大切な教科は英語だ」などと言った言説、皆さまどこかで一度はお聞きになったことがあるのではないでしょうか。

 こういった言葉をどう考えるかについては、様々な解釈が可能です。しかし、受験についてのデータから考えるならば、このように理解するべきだと思います。すなわち、

難関校受験において、合格している受験生で国語が苦手という者はほとんどいない。合否を分けるのは算数・数学や英語である

ということです。

 難関中学・高校・大学を目指す受験生としては、国語が得意だから得点源にするという発想では合格には不十分で、国語は絶対的にできなければいけない教科で、そのうえで算数・数学や英語で他より抜きんでていなければならないということです。これは、私がこれまで見てきた、様々なテスト業者が提供してくれたデータからまず確実に言えることです。

 そういうわけで、私としては、まずあらゆる学びの基盤としての日本語力、そして教科としての国語ができるようになったうえで、さらに算数・数学や英語ができる受験生に成長してほしいと思っているのですね。こういう理由もあって、国語道場では全教科教えています。

 世の数学好きという人々って、「数学は答えが一つに決まるところがいい」とか、数学は「明快だ」とか「すっきりしている」とか「美しい」だとか、そういうことを言う人が多いですよね。実際の数学教師にもこういう人が多いと思われるんですが、私の感覚だとこういうことを言う人は数学の「教師」には向いていないんですよね。

 私は、個人的には高校で数学は挫折した人です。その後塾講師として働くために中学受験や高校受験のかなり難しいものまで一通りの解法を身につけて今に至ります。私の感覚だと、一度数学で挫折している者の方が、教えるのには適していると思います。まあ、やっぱりこういうところでつまづくよね~というのが分かりますから。

 で、上に挙げた、数学好きさんの言説。「数学は明快ですっきりさ」みたいなもの言いですけど、こういうのが独り歩きするのは本当によくないなと思います。なぜかというと、人類の8割以上の数学が苦手な人にとってはこういう感覚は全く共感できないしよく分からないうえに、こういう感覚が持てない自分は数学に向いていないんだろうなと諦めるきっかけになっていると思うからです。

 私は、子どもたちとともに数学と苦闘しながら、この「数学は明快ですっきり」言説はウソである。それが言い過ぎであるならば、ものごとの一つの側面をとらえたものに過ぎないことを突き止めました。

 塾講師として若かりし頃の私には、担当の生徒たちの授業のために数学の難問と日々取り組んでいた時期がありました。数学の難問と日々格闘していると、だんだん悶々とした精神状態に陥っていきます。常に頭の上に何か重しを載せているような、頭の中に何かボーっとかすみがかかっているような、そんな感じです。私とともに数学の難問に取り組んでいる子どもたちも、鬱々とした気分になっていたり、いらいらしていたりします。

 ああ、「数学は明快ですっきり」なんて気分には全然なれないなあ、やっぱりわしらは数学に向いていないんだろうかと思いながら、諦めずに頑張っていました。

 そうした努力を続けていると、ある時から、何となくやってみた解き方が好手で、するすると正解にたどり着けることが多くなっていきました。こうやって正解に至ると、本当に「すっきり」といった気分になります。でもまあ、またその後からは難問に次ぐ難問で、再び鬱屈とした気分に戻っていくのですが。

 つまり、「数学は明快ですっきり」なんて感覚は、頑張りに頑張った末にたま~にご褒美のように与えられる奇跡のような一瞬のもので、数学に向かう限りほとんどの時間がどんよりと重苦しい時間なんじゃないかということに、私と生徒たちは思いいたりました。

 その後、理数系専門の塾の先生やずば抜けて数学のできる大学生など何人も信頼のできる数学が得意な人に、「数学が明快ですっきり」なんて感覚は本当にたまに感じることで、ほとんどがつらいときばかりじゃないですかなんてことを尋ねてみました。すると、

「ええ。そうですよ。」

なんてことをいけしゃあしゃあと言われるわけです(-_-;)

 ということで、数学が全然解けないとか、ちっともすっきりした気分になれないなどということで、「やっぱり自分は数学向いてないんじゃないかなあ」なんて思い始めているアナタ。諦めないでください。あなたのそのどんよりとした感覚は、正常です。その重苦しい気分を経験しているアナタは、確実に数学で成長していると思ってください。

 最後に、こんな記事がありましたので紹介しておきます。日本人は自分で「数学ができない」と思っている人が多い。でも、国際調査だと世界トップレベルの数学の学力を持っているということです。恐らく、教育のレベルが高いことと、教えている教師に数学が「得意な」人が多いことが問題なのかもしれませんね。

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