早口言葉は読解力
早口言葉と聞くと、なんと言っても志村けんを思い出しますね。
〽ドデッドデ、ドデッドデ、ドデッドデドデドデッダーという音楽に合わせて滑稽な踊りを踊る志村けんが早口言葉を言うのが本当に面白かった。当時の小学生は、自分も含めてみんな一度はあのマネをやったことがあるんじゃないでしょうか。
そんな志村さんの活躍もあってか、私たちちょうど親の世代は早口言葉を結構やったことがあるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。それから考えると、今はあんまり早口言葉って聞かないなあという気がします。
それがどうした、そんなことどうでもいいだろと思われるかもしれません。私も、ある経験がなければ、今頃そう思っていたかもしれません。
「ある経験」とは、先日もちょっとお話しましたが、私がロシアのモスクワ大学予備学部でロシア語を学んでいた時のことです。ある時の授業で、担当のロシア人教師がいくつかのロシア語の早口言葉を紹介して、私たち学生に練習させたのです。
最初は遊び半分の感覚だったのですが、少し練習してみると、いやこの早口言葉は言語の習得において有効なメソッドなんじゃないかという気がしてきました。
それで、まあ、しつこいようですが、私は今ポーランド語を勉強しているんですけれども、そのテキストにも早口言葉が出てくるんですね。どうもこれは、早口言葉は言語学習における非常に効果のある練習であると考えられていて、指導の中にしばしば採用されているのではないかと思います。
需要はないと思いますが、一つ覚えたのがこれ↓
Mam szare szarawary i czerwony kaftan, turbany wyszywane szczerozłotym haftem.
マム・シャレ・シャラヴァリ・イ・チェルヴォンヌィ・カフタン、トゥルバヌィ・ヴィシヴァネ・シチェロズウォティム・ハフテムという感じ。意味は、<グレーのズボンに赤い上着、純金の刺繍を縫い付けたターバンを持っている>。
早口言葉上達のコツってご存じですか?それは、まず言葉の意味を理解すること、そして噛まない速さでゆっくりと言うことです。
早口言葉がヘタな人って、とにかく速く言おうとする傾向があります。早口言葉なんだから速く言うのが当たり前と言えばそうなんですが、十分にしっかりと言えるようになる前から速く言おうとすると、なかなか完ぺきに言えるようにはなりません。この辺は、楽器の練習に似たところがあります。
それから意味を考えていない人ですね、下手なのは。「すももももももも・・・」という有名な早口言葉がありますが、特にこれは簡単に言える人と、途中で分からなくなってしまう人に分かれます。頭の中で「李(スモモ)も桃も・・・」と考えられている人は上手です。
そうです。実は早口言葉は、初歩的な読解力と関係があるということです。早口言葉を上手に言う練習をさせることで、自分が言おうとしている文章がどういうことなのかを考えるように仕向けることができるのです。ロシアやポーランドのよく工夫された語学テキストに掲載されているのもむべなるかなです。
実は国語道場が採用している国語のテキストにも、早口言葉が掲載されています。おもに「ことばの学校」でBグレード程度のお子さんが対象ですが、とてもいいですね。もちろん、上に申しましたように、「早口言葉」ではあるけれどもゆっくりと正確に言うようにすることと、意味を考えるようにアドバイスして練習させています。
お子さんが読解力がないなあと思われるようでしたら、ぜひご家庭でもやってみられるといいと思いますよ。
—————
お問い合わせ先
国語道場(西千葉)稲毛区緑町1丁目27-14-202
千葉市
263-0023
043-247-7115
お電話のお問い合わせは、火~土曜日の午後3時~9時
メールは24時間承っております。