本当に子どもが伸びる教育とは
私は学生時代、東京日仏学院の通信講座でフランス語を学んでいたことがあります。
課題と一緒に毎月ニュースレターが送られてきていました。その中の一つで、なぜか今も覚えているものがあります。その内容とは、講座は自分のフランス語のレベルに合ったものを選んでください、というものでした。どうも自分の実力にそぐわない上級者向けのコースを受講して、ろくでもない答案を送り返している受講者が少なくなかったようです。
勉強して最も効果が上がるのは、本人の学力に合った教材を使うときです。本人の学力に合っていない学習は無意味というか、そもそも学習と呼ぶに値しません。ですから、現状の学力がどの程度のものかを把握することが非常に大事です。しかし、日仏学院の通信講座のケースを見ても、自分でそれを把握することのできず、いたずらに高望みしてしまったり、見栄を張ったりしてしまう大人は少なくないのだろうと推測します。
まあ、自分の勉強ならいいのですが、これが子どもの勉強となると深刻です。
なんだか最近は中学受験についての陰鬱な事件や報道をよく目にする気がします。つい先日もNHKのニュース番組でこんな報道があったとか。
中学受験は年々過熱してきていますからねえ。このまま稲毛高校が高校募集を停止することになったら、どんなことになるのやら(-_-;)
中高一貫校への進学というのは、そもそもそこに6年間通うことで、地元の中学・高校に進むよりも様々な点で人間的に成長することを期待してやるものですよね。つまり中高一貫校は、本来子どもの成長のステップであるはずです。子どもが伸びるのは、その学力に合った学習環境ですから、現在のお子さんにあった学校に進学するのがベストであるのは自明の理です。しかしながら現実には子どもを有名中学に合格させることが目的化して、自分の希望を子どもにごり押ししてしまうようなアホな大人が多いということなんでしょう。
私の塾関係の友人に、都内の最難関中学の入試当日の朝の写真を見せてもらったことがあります。いや、ひどいですね。塾関係者の「応援」なんですが、某体育会系塾の連中なんかは門の前に何人もズラーっと並んでガラの悪い応援団さながらに大騒ぎをしている。これって自分の塾の受験生以外の子どもを明らかに威圧していますよね。宮台真司流に言えばこういう「クズ」が、自分さえよければほかの人はどうなってもいいと思うような人間を再生産しているようで、いやな気分になりました。
川崎の私立小学校の子どもたちが犠牲になる痛ましい事件がありました。本当にひどい話で、殺されたお子さんや遺族の無念、怖い思いをした子供たちの気持ちを考えると考えると、とてもつらい思いがいたします。このようなニュースが流れると、子どもの心身の安全について考えようという機運が高まってくるわけですが、統計上の事実としては、事故や事件で命を落とす子供の数は実際には減少傾向にあって、現在増えているのは子どもの自殺なんだそうです。
子どもの自殺というと、いじめが原因かと思われるかもしれませんが、実は家庭要因の方が多いのだそうです。トップは家族から厳しく叱られたこと、2位は家族の不和、3位は学業不振だということです。加熱する中学受験も、子どもの自殺の増加の背景にあるのかもしれません。
多くの大人が、子どもが伸びる環境はどういうものなのかについて、正しい認識を持つようになることを願ってやみません。
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