2019年02月17日 17:09

本質を知ろうとすれば、勉強はもっと楽しくなる

 今日は、定期テスト対策学習会「日曜道場」でした。

 緑町中学校や幸町一中の第4回定期テストが先週終わっているので、今日の参加者は少なめでしたが、公立高校前期選抜の結果待ちの中3生や小学生も自主学習に来てくれました。

 それにしても、国語道場生はよく勉強しますね。塾長の私が言うのもなんですが・・・。朝、開校とともにやってきて、夕方まで5時間・6時間と集中して勉強する子どもたちがざらにいます。あんまりよく勉強するので、

「君たちよく頑張ってて偉いね。俺は中学のときなんてゲーセンばっかり行っててちっとも勉強しなかったから。」

と言ったら、

「いやあ、周りにつられてやってるだけです。」

との答え。

 まあ、これが塾のよいところじゃありませんか。周り仲間が頑張っているから自分も頑張らざるを得なくなる。お互いがお互いを高めあっているんですね。

 「日曜道場」で解く問題は、定期テスト本番向けの実戦的なものも多いので、自力ではすぐに解けないこともありますが、そういう時は塾長や講師の先生たちがどんどん教えます。

 教えるときは、単に表面的な事実を教えるだけではなくて、本質的なことを理解させるように努めています。例えば、今日指導したものの中にこんなものがありました。

中1の理科です。半円形ガラスの中心に光を斜めに入射すると、曲面から抜けていく光は屈折せずに直進することについて。

 これをまたちゃんと質問に来てくれる生徒も偉いなと思いましたけどね。

「半円形レンズに光を通したら、出ていく光はいつも直進するんですか?」と。

 それは違います。半球の中心を通らなかった光は、レンズから出ていくときに屈折します。中心を通った光だけが直進するのです。

 で、こういう事実だけをただこうなるんだから覚えろ、というのでは教育としてどうなのかなと常々思っているわけです。なんでそうなるのか。できるだけその辺も理解させながら、勉強させるべきなんですね。

 半円形ガラスを通る光についての例だと、こんなことがヒントになります。同じく中1の数学です。

 円周にただ一つの点(接点)で交わる直線のことを接線と言いますが、円の中心からその接点を結ぶと、接線に対し垂直に交わるということを数学では教わっています。

 ここで先ほどの上の図を見ていただきたいんですが、半円形ガラスの中心を通った光の跡は、ちょうど円の半径を示す線分のようになっていますね。この線分と円周が交わるところに、今度は数学で出てきた接線を引いてみてほしいんですよ。そうすると、接線についての定理から、光の跡を表す線は、接線に垂直に交わりますね。

 つまり、半円形ガラスの中心をとおって外に出ていく光は、垂直にガラスの曲面を抜けていくことになります。その時入射角は0度になりますから、したがって光は屈折しないということになるわけです。逆に中心を通らずに半円形ガラスを抜けていく光は、局面に対して垂直に通り抜けるわけではないため、入射角ができます。よって屈折します。

 言葉ばかりで分かりにくいかもしれませんが、疑問を抱えている子どもたちに教えるときは図解しながら納得のいくように説明します。

 「そんなまどろっこしいことはいいから、解き方だけ教えればいいんじゃないの」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは中長期的に見て正しくありません。千葉県の公立高校入試の問題を解いたことのある方ならお分かりいただけるかと思いますが、ただ解き方だけを覚えるような勉強をしてきたか、それともその解き方にはどのような原理が働いているのかまで日々考えながら勉強しているかどうかは、バッチリ試されているのです。

 今日は、この半円形ガラスを通る光の進み方を子どもたちと一緒に勉強していたのですが、学生時代に読んでいたアンリ・ベルクソンという哲学者の本の中の一節が思い出されました。フランス語の原文で読んでいたので正確ではありませんが、このようなものでした。

数学が自然科学に適応できるということは、実はとても不思議なことなのだ。

 半円形ガラスの中心を通った光が屈折せずに直進することについて、数学の接線の定理をヒントに理解したのですけれども、それでは「なぜその数学の定理が光の進み方に応用できるのか」については、実は説明のしようがありません。

 物が落下するときの加速するときの割合や、物が動く速さとエネルギーの大きさとの比には、二次関数で表される関係があります。そうなることは分かっているのですが、ではなぜそうなるのかは説明できません。我々の身近な現象から、宇宙の成り立ちに至るまで、数学的な法則が当てはまることは分かっていますが、数学の定理や計算法則がなぜ自然科学に応用可能なのかを保証するものは何もありません。ニュートンは神の摂理と考えたでしょうけれども、今どき神がそのように創ったなどと考える人はいないでしょう。

 学生時代にベルクソンを読んでそんな事を考えたことを、子どもたちと一緒に勉強しながら考えました。まあ、塾というのは幸せな仕事だと思いました。

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