松岡修造氏による羽生結弦選手へのインタビューが素晴らしかった
国語道場は月曜日が休校日です。それで、普段は殆ど見ないテレビのオンエア放送を見ていましたら、フィギュアスケーターの羽生結弦選手と松岡修造氏の対談があり、それがあまりに素晴らしかったのでメモして見てしまいました。
中国での大会で大怪我をして、それからわずかの期間で実施されたグランプリファイナル。そこで優勝してしまうのですから、我々も驚いてしまうわけですが、そのことについて、
「中国大会での怪我のおかげで、練習の大切さが分かった」、「本番と同じ緊張感で練習することが出来た」
と言っていました。
普段の練習で、求められていることはそこそここなして、たまに失敗することがあるけどまあいいや、といった感じで取り組んで、本番が完璧に行くはずなんてありませんよね。
私が思ったのは、勉強も同じだということです。
とりあえず試験範囲の問題集をひと通りこなして、まあひとまずテスト勉強終わり・・・。そんなことをやっていて、成績アップを果たすことなんてできるはずがありません。平生の学習から、これが本番のテストだったら・・・といった緊張感をもって一問一問に取り組んでいなければ、まず実際のテストは大失敗するでしょうね。
自分の実感よりもテストの出来が悪いという人は、平生の学習の緊張感の足りなさがあるでしょうね。普段の勉強でできていないところはやはり出来ず、さらに本番はどうしてもミスが起こりますから、結果は「大惨事」になってしまいます。
再び羽生選手ですが、中国大会で大変なアクシデントがあって、グランプリファイナルまで諦めずに取り組んだことについて問われると、
「諦めるか諦めないかという問題ではないと思います」、「『諦めずに』がむしゃらにやっていても無意味だ。大切なのは『何をするか』だ」
と答えていたところも素晴らしかったです。
模擬試験でD判定とかE判定の学校にどうしても進学したいと希望していたり、定期テストの点数を今より100点上げたいと思っていたりするとします。何もする前から諦めるのは論外としても、それでは、「ただ諦めずにがむしゃらにやっていればいい」のかということですよね。
今の成績は、よくも悪くも今までの君の勉強を表しています。だから、今の君のやり方でがむしゃらに続けて行くだけでは、そこから向上するということは基本的に起こらないわけです。羽生選手の言葉は、この辺りを残酷なまでに指摘していますね。
自分の弱点は何か、どこができていないのか丁寧に分析し、ではそれを克服するためにそれこそ「何をするか」を知り、実行していくことが必要です。
その結果、結局目標には届かないということはあるかもしれない。しかし、間違ったことをただがむしゃらにやっていても成功する可能性はゼロですが、「何をするか」しっかりと分かった上で必死に取り組めば、奇跡のような結果を残しうる。そういうことではないでしょうか。
さて、もう一点驚嘆したこと。羽生選手は試合前の公開練習では、通常誰よりも早くリンクに入り、本番直前では、前の選手の得点が発表されている間に、トリプルループを一発決めることにしていたそうです。しかし、今回のグランプリファイナルでは、公開練習は自分の曲が始まる直前にリンク入りし、本番前はトリプルアクセルを一回飛んだそうです。これについてインタビュアーの松岡修造氏に問われると、やはりそれにはそれぞれ意味があったということです。
公開練習で他選手よりも遅れてリンクに出てきたのは、これまでは早い時間からガツガツ練習することで体が早く仕上がりすぎ、自分の音楽が流れてきた時にどうも動きがそれに合わなくなってしまっていて、本番もその違和感を持って臨むことがあったため、それを修正しようとしたのだそうです。
また、本番直前にトリプルループではなくアクセルジャンプを飛んだのは、マンネリの打破だったということです。いつもと違う形で本番の演技を始めるために、あえて緊張感の高いジャンプをやったということのようです。
うーん、これぞ超一流ということですね。平生の練習は本番と同じ緊張感で取り組み、さらに試合の直前まで、絶対にパーフェクトな演技を見せるためにぎりぎりのところまで調整していく。執念とも呼ぶべき精神の壮絶さです。
しかし、しかし、いや~、すごい人はすごいねで済ますこともありません。君たちにも、早速「真似」をして成績アップに結び付けられるところもあるんじゃないでしょうか。
例えば、これまでテストの直前に難しい問題をやっていたら、本番では基本問題を落としまくって失敗してしまったということがあるとする。こういうケースであれば、試験直前のギリギリのところでは、なかなか出来なかった難問を見直すのではなく、基本的な暗記事項を確認するようにするとかしてみるとよいでしょう。またあるいは、これとは全く逆のパターンがいいという人もいるでしょう。
羽生選手のような人でも、本番でベストの結果が出せるようにこれだけ工夫しているのです。それほどの力のない者が何の工夫もなく本番に臨んで、勝負になるはずもありません。
いや、「羽生選手ほどの人でもここまでやっている」と書きましたが、これは真実ではありません。これだけのことを妥協なくやり続けてきたことが、現在の羽生結弦選手を作ったというのが本当です。
これまでの学習やテスト本番での経験から、なにか思い当たることを、妥協することなく工夫してみてはどうでしょうか。君の中にも、君自身をさらにスーパーな存在にするための力があるはずですから、諦めずに自分を見つめていきましょう。
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