2020年01月17日 17:56

正しく恐れる人は救われる

 今日で阪神淡路大震災発生からちょうど25年になるんですね。朝から報道番組では関連イベントの様子が流れたり防災への備えの啓発が行われています。

 大震災当時、私はちょうど大学4年生でした(一浪して1年留学しているので、2年ダブっている)。当時、ロシアではチェチェン紛争という内戦が起きていましたから、朝起きて茶の間に流れていたテレビの映像を見たとき、それが日本のものと理解できず、またロシア軍が無茶苦茶やったのかなと一瞬思ったのを思い出します。特に衝撃的だったのは、横倒しになった高速道路の映像でした。自分の中で、世の中こんな風にできていると思い込んでいたものが、もろくも崩れ去ったような感覚を持ったものです。

 震災発生からおよそ3か月後、大学の卒業式の日、指導教官の一人が卒業生に贈る言葉としてこのようなことを言いました。

日本の建物は、震度7の大地震が起きても大丈夫だなどと言われていました。私は愚かにもそのような話を信じていたのですね。「信じていた」という自覚もないくらいに。皆さんは哲学科の学生です。ぽっと出の軽薄でケチな「学問」をやっていたんじゃありません。どうか自分の頭で考えて生きていってください。

だいたいこのようなことだったと思います。

 今から考えると滑稽ですが、当時は日本の建築物は震度7の地震が起きても大丈夫なようにできているなどと本当に言われていました。今の子どもたちが聞いたらあきれ返るでしょうけれども、安全神話なんてものがあったんですね。とにかく日本は安全だという。

 ちなみに、私の大学卒業式が行われていた1995年3月20日は、地下鉄サリン事件の当日でした。

 翻って、今の子どもたちは、私たちが経験してきた以上の波乱にあふれた時代を生きていくことになるのだろうと想像されます。とにかく人口が減っていく。その上に、高齢化した我々世代がのしかかっていくことになるわけです。子どもたちに対してなんだか申し訳ない気分になることもあります。まあ、せめて、何が起こっても自分の頭で考えて困難を切り抜けていけるような知力・体力を授けていってあげたいものだと思うところです。

 こういう観点から見てみると、まだまだのんきな大人って多いなあと思います。学力テストの結果などから、ちょっとまずいかなということが明らかになっていても、一生懸命に勉強をさせるという方向に行かない方は、案外多いものなんですよね。子どもに勉強を頑張らせることが、何かいけないことのように感じている方もいるような。もちろん、親のほうだけが一方的にのぼせ上って虐待的に勉強をやらせるのはとんでもないことですが、子どもにしなやかで力強い知力を身に着けさせることをためらうべきでないと思いますよ。

 我々の知る由もない子どもたちの将来についてただただそれを怖がって何でもかんでも詰め込むというのはよくありません。かえってそれでは我々大人の想像が及ぶ範囲内だけの対策になって、未知の未来においては役に立たないなんてことになりかねません。どんな事態にも柔軟に応用が利く基礎学力・基礎強化を、しっかりと身につけさせること。これが子どもたちにとって最も正しい備えになります。

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