理科も国語
いや、なんか今日もたくさんチョコレートをいただきました。
昨日ここでチョコをいただいたことを書いたからでしょうか。くださった方へのお礼のつもりだったのですが、お気を遣わせてしまったでしょうか。どうもすみませんm(__)m
さて、国語道場は、教科としての国語だけでなく、あらゆる学びの基盤としての国語力を伸ばし、そして5教科すべての学力・成績を伸ばすというコンセプトの塾です。
新井紀子氏の『AI VS 教科書の読めない子どもたち』という本が、昨年2018年のベスト本としていろいろなところで高い評価を受けているようです。
ビジネスリーダー1万人が選ぶ、2018年上半期の「TOPPOINT大賞」が決定 大賞に新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
中村 桂子「2018 この3冊」|新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)
私もこの本が発売されてすぐにこの場でご紹介しています。学校の教科書レベルのそれほど長くもない文章に何が書かれているかも正確に読み取れていない。そしてそれを自覚できていない子どものなんと多いことか。
まずそこをどうにかしなければいけないということで、2001年から続けていた塾を今の国語道場に変えたのが2013年。「AI VS 教科書の読めない子どもたち」がベストセラーになったのがちょうど1年前ですから、それに先立つこと5年。私の先見の明に、自分自身驚かされますね(・ω・)ノ
その一方で、相も変わらず1:2とか1:1で教えてもらえばうちの子もできるようになるんじゃないかなんて、ものごとの本質をまだまだ理解できていない親御さんはまだまだ多いようです。国語力が足りないところに、いくら「分かりやすく」「つきっきりで」教えたところで、その場で分かったような気になるだけで、出来るようになんかなるわけないじゃないですか。
例えば理科。いまだに「理科・社会なんて暗記科目」なんてコンコンチキなことを言ったり考えたりしている人はいっぱいいるのでしょうけれども、そういう人がいくら暗記をがんばったところで、成績なんて上がりっこないことを実例をもとに紹介したいと思います。
先日中学2年生と一緒に考えていた問題がいいサンプルなので、これを見てください。
気温が25℃の実験室で、金属製のコップにくみ置きの水を入れて水温を測った後、氷を入れた試験管を入れ、静にかきまわして水温を下げていった。その結果、水温が15℃になったとき、コップの表面が曇り始めた。
気温(℃) 5 10 15 20 25 飽和水蒸気量(g/㎥) 6.8 9.4 12.8 17.3 23.1 この実験室の空気の湿度は何%か。小数第1位を四捨五入して整数で答えなさい。
湿度を求めるためには、計算としては水蒸気量÷飽和水蒸気量×100をやればよろしいわけです。
しかし、「理科なんて暗記だ」ということで、この公式だけを覚えていてこの問題が解けるかというと、まったく別の問題があることがお分かりいただけるでしょう。この問題の文章はちょうど100文字の短い文章ですけれども、これを正確に読めない人にはこの問題は解けないということです。
どうでしょう。実際に中学生にこの問題をやらせて正解できるのは、半数程度ではないかと思います。最近の公立高校の入試問題でも、湿度や水蒸気量を求める問題の正答率は約3割だったりします。
要するに日本語が読めていないんですよ。だから、重要語句の暗記だけで点が取れるような問題しかいつまでたっても得点できないというわけなんです。
上の問題の文章を理解するためには、どのような頭の使い方をしなければいけないのでしょうか。次に、文書読解力のあるお子さんの頭の中を紹介しながら、一緒に問題文を読み直してみましょう。
まず、「金属製のコップ」というところですね。ここで読解力・想像力のあるお子さんはこのようなことを考えられるはずです。「金属製」ということは、熱伝導性が高いから、外気の温度が水に伝わりやすいだろう。
読解力のある人は、このようなことを瞬時に頭の中で考えながら文章を読んでいるのです。
次に、「くみ置きの水」。室温25℃の中に熱伝導性の高い金属のコップの中に汲んで置かれていたのか。ということは、この水は室温に近いところまでぬるくなっているはずだ。
「氷を入れた試験管を入れ」というところで、読解量のあるお子さんなら、「何でそんなことをするのだろう」と一瞬考えるに違いありません。そして次の瞬間には、「そうか、氷を直接コップの中に入れてしまうと、一気に水温が下がって適当な水温にコントロールしにくくなるのだろう」などと思いつくことでしょう。文字を追いながら、同時に様々な状況を考えているのです。
そして、「水温が15℃になったとき、コップの表面が曇り始めた」というところを読んで、はいはい、露点が15℃ってことですね。じゃあ、水蒸気量は表の15℃のところを見ればいいんだね。室温は25℃だから、飽和水蒸気量はそちらを参照すればいいね。
そして、水蒸気量 12.8 g/㎥ ÷ 飽和水蒸気量 23.1 g/㎥ と正しく公式に当てはめることができます。
このように文章中の単語・語句一つ一つから状況を読み取って何を求められているのかまでを正確に判断できることが読解力ということです。ただ漫然と文章を眺め、適当に目についた数字を暗記した公式にとりあえず入れてみるようなこととは雲泥の差があるわけです。
問題文の読解力。こういう文章を読めるようになるためにも、そもそもの基礎的な力である語彙力をつけることも必要です。そして、子どもと問題文を一緒に読みながら、単語や語句の意味をちゃんと理解しているかどうか突っ込んだり確認したりしながら、読解力が身につくように指導していかなければいけないのです。
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