男の子が「読まない」のは正常な成長
児童文学者の角野栄子さんが、「児童文学のノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞作品賞を受賞したそうですね。
角野栄子さんと言えば、なんといっても「魔女の宅急便 」ですね。国語道場の読書指導「ことばの学校」でも「魔女の宅急便」は1と2が収録されています。子どもたちも大好きな本です。
そのほかの角野さんの作品としては、「みにくいアヒルの子」の再話、「おそとがきえた」、「ハナさんのおきゃくさま」が収録されています。読書指導「ことばの学校」のすばらしさの一つは、その収録作品のよさにあります。子どもたちには、いい言葉をたくさん吸収していってほしいものです。
さて、男の子という生き物は、女性であるお母さん方にとっていろいろと不可解な行動をとるもののようです。
本でも漫画でも、絵を眺めているだけで字を読んでいないとか、何が面白いのかさっぱり分からないところでゲラゲラ笑い転げているとか、そういうところがありますよね。
ご主人に相談されても、「そんなもんだろう」と取り合ってもらえないことが多いようですね。私も男性ですので、「男の子なんてそんなものですよ」とお答えするのですが、やはり生まれたときからちゃんとした人間である女性からすると、地球人のルールを知らない宇宙人か何かのように思われるところがあるかもしれません。
この絵、学研の古い歴史漫画シリーズのものなんですが、この絵のおかげで私は歴史だけは常に得意科目になったと言っても過言ではないです。
こういう方はたくさんいらっしゃると思うのですが、子ども向けの歴史漫画シリーズを読み込んでいると、高校入試レベルくらいなら勉強時間ゼロでも満点が取れてしまいます。私もそんな感じでした。
といって、私は最初から歴史漫画をお利口ちゃんに読み込んだわけではありませんでした。きっかけは上の絵。この徳川家康の「ニカ~ッ」といういやらしい顔がドツボにはまったんですね。イヒヒイヒヒ体をよじらせて笑って、親にこの絵を見せに行った覚えがありますよ。
徳川家康は、ご存じの通り、三河の小大名の子として生まれ、幼少の頃より今川氏のもとで人質として育ち、桶狭間の戦いを機に独立、織田氏と同盟関係になるも、その織田信長から長男と正室を殺すよう要求されて失ったり、三河・遠江・駿河の経営が順調にいってきたところで、豊臣秀吉から関東移封を命ぜられたりと大変な苦労を重ねてきた人物です。豊臣秀吉が死に、ライバルの有力大名の寿命も尽きて、いよいよ自分の天下が来たということで上の表情なんですが、当時の私はそんなことは全く関係なし。ただただこの変な表情がおかしくてしょうがなかった。そもそも徳川家康なんて名前も知っていたかどうか怪しいですね。しかし、この絵から始まって、何となく何回も歴史漫画を読んでいるうちに、大概のことは頭に入ってしまった、そんな感じでした。
私のことはともかく、総じて男の子の「読書」なるものは、
とりあえず絵を眺める
↓
ツボにはまると何度も見るようになる
↓
そのうち話の内容を覚えてしまう
↓
文字をちゃんと読むのはそれから・・・
こんな流れかと思います。まずちゃんと文字を読んで内容を理解してという流れではなく、内容が先に頭に入って、それから文字が分かるようになる。そんなところかと思います。
私自身が世の男の子に一般的な「読み方」の成長をたどってきた経験から、その辺お母さま方も頭の片隅にでも置いておいていただいて、生暖かく息子さんの成長を見守っていただけたらと思う次第です。
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