2019年07月01日 16:52

男子はボーっとしているから後伸びする

 毎年夏の面談シーズンには、塾生とご新規の方のご相談を合わせると大体100名前後の親御さんとお会いしていることになります。お父さんのご参加も多くなっているとはいえ、まだまだ面談にお越しになるのはお母さま方が中心です。

〽男と女の間には、ふかくて暗い川がある・・・

 お母さま方とお会いしていると、たまにこんな歌を思い出してしまうことがあります。女性からすると、男の子のボーっとした感じは、ちょっと理解しがたいものに思われることが多いようです。

「こんなにボーっとしていて大丈夫なのか心配です」

「忘れ物も多いし、勉強もできないし。どうしてこんな風になっちゃったのかと思います」

などなど、男のお子さんについてのお母さま方のご心配は尽きないようです。

 確かに。私のうちの子どもは1人目が男で2人目が女なんですが、上の息子は幼少期、ナゾ行動が多かったですね。鉄道が好きだったんですが、プラレールで遊ぶとなると線路を敷いても、電車を走らせるのではなく、車両に並ぶように寝そべって顔を近づけて目の前で電車を前後に行き来させるようなことをしていました。公園で遊ぶときは、「ウィ~ン」と声を出しながら両手の人差し指と中指を立てて地面に当て、公園の地面に平行線を引きながらあちこち行ったり来たりしていました。なんか自分自身が電車になっていたみたいです(。´・ω・)?

 小学生の男子同士の「会話」なんて、言語になっていないですよね。

「◎△$♪×¥●&%#?!」

「アヒャヒャヒャ・・・」

実際こんな感じですよね。

 それに比べると、確かに娘のほうは、幼稚園の頃から仲の良い友達とは言葉でちゃんとコミュニケーションをとっていました。親がああしなさい、こうしなさいということに対しても、物分かりがよかったです。まあ、これは大きくなるにつれて聞きわけは悪くなっていきますが・・・。

 お母さま方は女性ですから、おそらくこんな感じで幼少期からすでに人間らしく言葉を使ってコミュニケーションをとるとか、親や先生が言うことはちゃんと理解して、その通りに行動することができていた方が多いのだろうと推測します。それで、「こんなこと」もできない男の子を見て、ご心配になるのではないでしょうか。

 面談では、男の子がボーっとしているのは決して異常なことではないし、心配に及ぶようなことではないから大丈夫ですよと、しばしばお話をさせていただいております。

 ところが最近、このような記事を見つけまして、むしろ男の子がボーっとしているのには積極的な意味があるのではないかと思うようになりました。

 記事によると、「女子は6歳になるまでに、自分は『本当に頭がいい』と思わなくなる傾向が男子より強いことがわかりました。こうした自信喪失の感覚は、親や教師、仲間、文化的規範、メディアなどを通して送られる『列から外れてはいけない。おしとやかにしていなさい。目立ちすぎてはだめ。失敗してはいけない』というメッセージを通して女子に染み込んできます」ということです。

 女の子は幼少期から言葉によるコミュニケーションをしっかりととることができ、人間関係を作ることができる。しかしだからこそ、自分が所属するグループの中で自分の立ち位置を決めてしまおうとする傾向があるのかもしれません。

 そういえばうちの娘も、小学校の中学年の頃になると急に「私はバカだから」というようなことを言うようになりました。

 「そんなことないよ。どうしてそんなこと言うの?」というと、クラスの中で算数の問題を解くときなど、「◯◯ちゃんはすぐにできるけど、私は遅い」などなど、ありとあらゆる自分についてのネガティヴな事柄を挙げることがありました。こういうのの対応はなかなか難しいですね。「そんなに早くできなくても、ちゃんとわかっていればいいんだよ」などとフォローしても、「私はわかるのも遅いもん」といった感じになってしまいます。

 やっぱり集団一斉指導の学級の中で、否が応でも順番がついてしまいますからね。問題を解く早さとか、発表するために手を上げられるまでの早さとか・・・。何かを成し遂げるための学力という意味ではほとんど何の意味もないようなことにも、学級の中では順位が何となくついてしまいます。なまじ「コミュニケーション能力」の高い女の子は、日々こうした序列形成の環境にさらされているのかもしれません。その中で、人生のうちのかなり早いうちに、「自分の能力はこんなもん」というメドをつけてしまっているのでしょう。

 この小学生低学年~中学年の時期、男の子はどうですか?もうボケボケの最盛期でしょう。でも、こうしてみてみると、このことってそんなに悪いことでもないなと思われてきませんか?

 男の子の言葉や規律の成長は、女の子よりもふつう遅いです。それ自体何の問題もありません。今現在お子さんがボーっとしているとしても、それはそのうちよくなりますし、さらにそれ以上に、この時期にムダに自己肯定感を失わなくて済むことになっているんだと肯定的にとらえてみてはいかがでしょうか。

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