2016年06月09日 11:26

目の触れるところに活字を置いておく

 先日の記事では、子どもたちの関心の領域を広げていくことの重要性について申し上げたのですが、では国語道場では具体的にどのようなことをしているかという一例をご紹介したいと思います。

 国語道場では、教室に入ってすぐの待合スペースに書棚や新聞スタンドがありまして、「朝日小学生新聞」のほかに、「ことばの学校」のラインナップに以外の本、伝記や歴史漫画、図鑑などが子どもたちの目に触れるように置かれています。子どもたちが、授業時間外にこうした図書や新聞をいつでも読めるようにしています。

 最近では、授業が始まる30分40分前に来て、これらの本や新聞を読んでいる生徒もいます。

 このような、ある種の指導では、子どもたちに「読め」とは原則として言わないことが肝心です。とにかく、目に触れるように置いておくことです。

 「原則として」といいますのは、例えば受験生に対して「新聞くらい読め」ということはあるということです。

 新聞と言うと急激に購読者数が減っているようですね。NHK放送文化研究所の調査結果を非常にわかりやすいグラフやコメントでまとめたサイトがありましたので、ご覧になるとよろしいかと思いますが、30代では20%、20代では10%をそれぞれ切る勢いで読者が減少しているようです。

 ご家庭で新聞を購読しない理由としては、なんといってもインターネットの普及が大きいでしょう。また、そうでなくとも、「どうせ読まないから」とか、「テレビ欄やマンガしか読まないから」もったいないといったものがあるでしょう。

 しかし、こと子どもを活字に親しませるという点では、むしろそれでよいと開き直る方がよいです。「ちゃんと」読まないことをあげつらわないことです。「せっかくとっているんだから」とか、「マンガばかり読んでいないで」などと言わないことが大切です。とにかく茶の間などに目に触れるところに置いてあることです。

 子どもが新聞を読むようになる進化なんて、次のようなものじゃないでしょうか。まず、テレビ欄や4コマ漫画を見る。そうすると自然と周辺の記事が目に入るようになります。漫画が載っているのは社会面なので、テレビなどで聞いたことがあるニュースを目にするので、ちょっとでも読むようになる。新聞の真ん中辺にはスポーツ欄がたいていありますから、そのうちにページをめくって中のほうも見るようになる…

 かように、新聞を読むといっても、あまり興味も持てない一面から読み進めさせるというのはあまり現実的ではなく、それこそ年単位で、少しずつ興味を持てるところから読めるところが広がっていくというものではないでしょうか。

 しばしば、お子さんが「問題を読まない」とか、「書いてあることをちゃんと理解しないで答えを書こうとする」などといったご相談を承ることがあります。

 こうしたことに対し、勉強として指導することももちろん大事ですが、しかしそもそも日常的に読むべき活字に触れる機会が少ないということはないでしょうか。

 お得なイベントなどの情報や、知らないとまずい重要連絡事項を、「聞いていなかった」、「知らなかった」と、重大な機会損失をしてしまう人がいます。告知する側の問題もあるのかもしれませんが、やはり根底には、そういう人は自分の周囲に書かれているものを読む習慣が足りないのではないか、そういうことも考えられると思います。

 今はまだ、テストの問題をよく読まなかったために2点3点の失点で済んでいるものが、将来の重大な機会損失につながらないためにも、お子さんの周囲の目の触れるところに、何らかの活字媒体が日常的に置かれているということは、なかなかに大切なことであるように思っています。

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