私立、ダメですか?
台風10号は関東をそれていったものの、東北地方を直撃、北日本に大変な被害をもたらしているようです。学生時代の友人が岩手に住んでいるのですが、職場が床上浸水の被害にあったそうです。被害に遭われた皆さんが、早く平生の生活に戻れますよう祈念いたします。
さて、秋になりますと、私立高校の学校説明会がひんぱんに行われるようになります。夏休み中のイベントにすでに参加たという方も少なくないでしょう。ともかくも、受験校の決定の一助としまして、こうしたスクールイベントには積極的に参加されることをお勧めします。12月ごろになって、「私立はどこを受けたらいいでしょう」などと慌てることのないようにしたいものです。
国語道場は、千葉学習塾協同組合の一員として、私立中学・高校の合同進学相談会「スクールフェア」に参加しています。今年は10月16日(日)、幕張国際研修センターにて開催します。
「スクールフェア」には、千葉県内のほぼすべてと東京都内の一部の私立中学・高校の入試担当の先生方がお集まりになります。「私立と言われても、そもそもどこに行ったらいいのかよく分からない」という方は、「スクールフェア」にご参加になり、実際にいくつかの高校の先生方とお話になることをお勧めします。
国語道場生には近く案内を配布しますが、塾生以外の方もご参加になれるイベントですので、どうぞふるってお出かけください。
今の入試では、公立高校が第1志望でも、併願で私立を受ける人がほとんどでしょう。併願校は、万が一の場合に進学する学校ですから、第1志望校と同じくらい慎重に決める必要があります。
そんなわけで、私は、生徒たちにしばしば「私立はどこ受けるの?」とか、「私立の説明会はどこか行った?」などと声掛けをします。
そうすると、「私立は全然考えてないんで」とか、「私立ってすごいお金かかるじゃないですか」などと、半ばキレ気味に答えられて、困惑することがあります。
ふと、高校野球のダイジェスト番組で、敗退した公立高校チームの監督と選手が「俺たちじゃ私立の連中には勝てないんだよなぁ」と泣きじゃくっている場面を思い出しました。
どうも私立というと、悪い金持ち集団、生徒たちに多額のお金を支払わせて、そのお金を使って何か悪いことをしているという印象を持っている人が多いのかもしれないと思うことがあります。
私の感覚ですと、むしろ公立学校こそ、私立に通う家庭の皆さんが身銭を切っているところを、私たちの税金を使っちゃているわけですから、よりしっかりとしてもらわないといけないのではないかという気がするのですが。
何年か前に、千葉経済大学附属高校が、高野連の規則に反する野球特待生の受け入れをやっていることが発覚し、マスコミなどで叩かれたことがありました。しかし、この場合、千葉経済大附属高校としては、特待にした生徒から本来入ってくる収入が減っているわけです。
公立高校はどうでしょうか。千葉周辺だと、幕張総合高校や習志野高校が、部活動で優秀な生徒を採っていることは誰でも知っています。公立高校ですから、授業料等の個人負担は非常に少なくて済みますが、学校運営の経費のほとんどは、税金から出ています。言ってみれば、公立高校の部活動推薦は、税金を使って部活特待制度をやっているようなものです。
念のために言っておきますと、私は、部活推薦などの仕組みを悪いとは思っていません。そういう問題ではなく、公立に比べて私立の授業料等の個人負担が大きいからと言って、私立学校についてあらぬ偏見を持つのはナイーヴすぎますよ、ということです。
そもそも「公立は安くて、私立は高い」という傾向は、世界中同じではありません。例えば、オランダでは私立学校でも初等・中等教育が無料なんだそうです。逆にアメリカの大学は、日本の国立大学に当たる州立大学だからといって授業料が安いわけではない。大学の学費はそのステータスに比例するので、州立大学でも有名大学であれば私立大学と同様に、多額のお金がかかることは周知のとおりです。
「公立は安くて、私立は高い」問題については、我々市民がもっと本質的なことに目を向ける必要もあると思います。千葉県の場合、公立高校の入学者定員は、中学3年生の人数の約7割になるように、人為的に決められています。言い換えれば、中3生のうち3割は私立に通わざるを得ないように、いわば「貧乏くじを引かされる」ように最初から仕組まれているわけです。元県教育委員会幹部のある人物は、「談合だ」とまで呼んでいました。
「私立は高い」ことがよくないことだと言うのであれば、このような公立高校定員数の人為的操作をなくすとか、大阪府のように年収610万円未満の家庭であれば、私立高校の授業料は全額助成する仕組みを作るとか、そういうことをしていくべきだと思いますが。
何はともあれ、私立学校は先生方の異動が公立のようにはありませんから、やはり個性がありますね。お子さんにとってぴったり合った個性のある私立学校との素晴らしい出会いがあるようにと願います。
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