2016年07月12日 11:01

稲毛区民は「程度が低い」のか?

 トップページにも書いておりますが、国語道場は今年度の夏期講習についてのお問合せ受付を終了いたしました。たくさんの方々からのお問い合わせ、お申し込み、まことにありがとうございました。

 10日の日曜日は子どもたちを連れて参議院議員選挙の投票所に行った後で、長沼原勤労市民プラザというところで行われていたがいこくえほん展に行ってきました。

 「えほん展」と言っても、展示品を見るためだけのイベントではなく、外国から絵本を輸入販売している業者さんの見本を見せてもらうというものですが、本そのものも素晴らしかったし、説明をしてくれた男性のお話も非常に興味深いものでした。

 文字はギリシア語あり、ハングルありで、自分では読めませんが、係の男性が懇切に説明してくれました。

 それぞれのお話は、「ことばの学校」のAグレードからそれ以前のものと同等と思います。しかし、日本の小さな子ども向けの本は、想像力を広げるファンタジーにどちらかというと力点が置かれているように思われるのに対し、諸外国の絵本にはものの見方を教育するような、哲学的で批判的に物事を考えられるような工夫がなされているものが多いと思いました(そういう本ばかり置いてあったのかもしれませんが)。

 それから、なんといっても挿絵の凝り方がすごいですね。特に素晴らしいものを集めたからということもあるのかもしれませんが、市場に流通している絵本でこれほどのレベルのものって日本にあるのでしょうか?

 特に印象的だったのは、ギリシアの絵本で「エロトクリトス」の挿絵です。

 私は学生時代ロシア文学を学んでいたのですが、その関係でロシアの宗教画(イコン)を昔はよく見ました。ロシアのキリスト教はギリシアを中心とした東ローマから伝わった正教会なので、古いイコンは特にそのギリシア風なんですが、この絵本の挿絵はその描き方をほうふつとさせるものがあります。

 どうしてこんな芸術作品のような素晴らしい挿絵を持った絵本が流通しているのかというと、欧州には万単位の会員数を持つ消費者団体のブッククラブというものがあり、それが優れた本を作らせているからだという事情も、例の係の男性に教えてもらいました。日本では、書店で売れるものを出版しなければならないので、凝った挿絵に豪華な装丁の本よりも、簡素で安価で内容もとっつきやすいものばかりになる傾向があるそうです。

 一応お値段も教えてもらったのですが、バラ売りはできず、45冊セットでなかなかのお値段でした。うーん、でもまあこれだけの本ですからね。いい目の保養になりました(^^;

 それにしても、子ども連れというのは私たちがいいた時間には私たちだけしかおりませんでした。その分詳しいお話もいろいろ聞かせてもらえたのですが、これほど入場者が少ないのは、稲毛区が初めてだということでした。「程度が低い」とまでは係の男性も言っていませんでしたが、この地域では本を通して子どもにいろいろなある種の経験をさせるような子育ての関心が低いのかなといった印象を持った様子でした。

 まあ、どうなんでしょうね。稲毛区民の一人としては、場所が悪かったのではないかなとも思いましたけれども。長沼原勤労市民プラザというところに、私も今回初めて行ったというか、そもそもそういう場所を初めて知ったくらいなんですが、結構有名な場所だったんでしょうか?もちろん近隣の方々はご存じでしょうけれども。

 同じ稲毛区でも、西千葉駅周辺で開催していたらもっと集まったんじゃないですかねとも思ったのですが。国語道場では読書指導「ことばの学校」の受講生が3年で10倍以上に増えているわけですから、少なくとも西千葉市区周辺に限って言えば、子どもたちによい本をたくさん触れさせたいという思いを持たれた親御さんは非常に多いのではないかと思っています。

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