2015年07月26日 23:28

突き抜けろ

 今日は、青葉の森芸術文化ホールで、千葉県吹奏楽コンクール中学生C部門を聞きに行きました。

 そういえば、昨日の第1日目では、轟町中が金賞だったんですってね。おめでとうさんです。

 去年は私が聞きに行った日に轟町中の演奏があったので覚えています。賞は惜しくも銀賞でしたが、轟町中なりのサウンドが出せていていいなと思っていたんですが、ついに金賞ですか。素晴らしいです。

 今日私が見てきた中では、どこも大変な熱演だったと思いますが、大多喜町立大多喜中学校が印象的でした。

 最近は吹奏楽オリジナル曲の演奏が全盛なんですね。私が昭和時代、高校で吹奏楽部に入っていた当時は、クラシック音楽の編曲物の演奏機会が非常に多かったので、隔世の感があります。

 大多喜中の演目は、吹奏楽オリジナル全盛の中で数少ないクラシック音楽からのアレンジで、有名なホルストの組曲『惑星』から「木星」でした。

 細かなことを言えば色々と問題はあるのでしょうけれども、他の参加校と比べて少ない人数でこういう大曲に挑むことにした決断は讃えられるべきです。また、さらにいいなと思ったのは、自分たちが演奏している曲に対する愛情、熱意が感じられたことですね。

 やはり、作品が素晴らしいからじゃないかなと思います。作品が素晴らしいから、練習すればするほどその曲が好きになる。

 吹奏楽オリジナルを悪く言うつもりはないのですが、それらはどうしても古典的名曲に比べると、作品の持つ力が弱いものが多いです。コンクールで扱いやすいなどといった事情はあるのかもしれませんが、子どもの心を育てるという観点から、もっとクラシックのアレンジものを演奏させてあげてほしいなあと願います。

 自分たちの演奏している曲に対する愛情の強い子どもたちは、音色も前向きです。自分でこのように表現したいといった意欲が内側から出てきていますね。

 教育としての吹奏楽の欠点の一つとして、特に木管楽器群のように同じ音を出すメンバーが何人もいると、個人が埋没しやすいということがあります。

 トゥッティで吹いているときはいいのですが、ソロになると急に心細くなってしまう。素敵なメロディなのに、この子はいやいややっているのかしらとさえ思えるような、個性の弱いプレイヤーが育ちやすいということが、学校の吹奏楽ではよくあることではないでしょうか。

 そうしたことを防いで、一人ひとりが自分で考えて前向きに音を出すようにするためにも、名曲にチャレンジさせて、音楽に対する愛情をまず深めるということは大切だと思います。

 本来楽器なんていくら上手になったって構わないものです。今の仲間たちのレベルに合わせて自分を小さくする必要なんてありません。自分の愛する作品を自分の願うような音色で吹けるようになるために、どんどん効果的な練習を取り入れて、どんどん突き抜けていっちゃってほしいと思います。

 一人ひとりの力がどんどん突き抜けていけば、今よりももっとダイナミックなアンサンブルが可能になりますから、今のバンドのさらなるレベルアップにもつながりますよ。

 勉強だって同じですね。「あいつはこの程度の点数だから俺もこれでいいんだ」とか、「あいつも遊んでいるから俺も勉強しなくていいんだ」とか、くだらんこと言ってんじゃないってことです。まずはお前自身が突き抜けて行けってところです。

 最後の表彰式で、印象的な場面がありました。都賀中だったんですが、結果は「銀賞!」

 直後に「キャーッ」っという黄色い声が上がったので、てっきり私は「金賞」と聞き間違えたのかなと思いました。

 あの、吹奏楽コンクールに参加されたことのある方はご存じだと思いますが、表彰式での結果発表で、「ゴールド!金賞!」とアナウンスされると、「キャーッ」という黄色い歓声が上がります。これもまた吹奏楽コンクールの風物詩だったりします。

 で、私は最初、都賀中の子たちは「金賞」と聞き間違えたのかと思ったのですが、そうではなかったのですね。

 帰り際、都賀中の顧問の先生と保護者の皆さんがお話しているところを偶然通り過ぎたのですが、これまでどんなに頑張っても何年も銅賞しか取れなかったところ、今年努力の甲斐あってついに銀賞がとれたと。さっきの喜びの声はそれに対するものだったのでした。

 こういうところから、ほんとうに良い指導をされているのだろうなと拝察しました。大事なのはあくまで自分が成長しているかどうか。金賞とか、ましてや他人と比べての結果は二の次であるということが、子どもたちにも保護者の皆さんにもよく浸透しているのだと思いました。

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