2019年08月12日 23:14

若い魂には「後期ロマン派」が必要だ

 国語道場は、今日で夏期休校を終えまして、明日より夏期講習後半戦に入ります。既習事項の復習と弱点の徹底克服、そして前期期末テスト・第2回定期テスト対策の学習を再開します。みんなとまた再会するのがとても楽しみです!

 今日は千葉県吹奏楽コンクール高校A部門の本選大会を聞きに、朝から千葉県文化会館に行ってきました。

↑開演前の舞台

私の出身高校のA部門での久々の本選出場を応援するためと、幕張総合高校がラヴェル作曲のバレエ音楽『ダフニスとクロエ』の抜粋を演奏するという話を聞きまして、それをぜひ聞きたいと思ったためです。

 さすがに「吹奏楽王国」と呼ばれる千葉県の本選大会、開演30分前になっても当日券を求める長蛇の列が続いていて、ようやく入場しても、最前列近くにわずかな空席があるばかりでした。

 私の出身校は2番目に登場。舞台上を眺めていると、なんとハープがある。いつの間にそんな高価なものを手に入れたのかとびっくりしてしまいました。私が現役時代は木管楽器の低音の要であるファゴットすらなく、バスクラリネットでごまかしている問ほどの貧乏部活だったのですが・・・。

 さすがに高校A部門の本選大会です。技術的に明らかに未熟なところはないですね。今日だけで1,000人くらいの高校生が出場しているわけですが、これが1県のコンクールの1部門ですからね。本当に日本はムダに管楽器が上手な人がたくさんいる大国と言って間違いないんじゃないかと確信しました。

 どこの高校も本当によい音色で、自分たちの力を最大限に発揮して頑張っていたと思います。その中でも、市立船橋高校のフルートのトップ奏者の音色に惚れました。雑音がほとんど感じられない透明な音色でありながら、楽器全体が赤熱せんばかりに振動が漲っているのが伝わってくるような力強さのある音でした。東日本、全国大会でもその音色を響かせてほしいです。

 コンクールで演奏される曲目は、私が現役だった30年以上前とは大きく変わっています。当時はクラッシック音楽のアレンジ作品を取り上げる学校がほとんどで、吹奏楽のために最初から書かれたいわゆるオリジナル作品を演奏する学校はあまりありませんでした。

 しかし、現在は9割がた吹奏楽オリジナル作品で、クラシック音楽のアレンジはほとんどないという状況です。吹奏楽部の指導者の研修などで、吹奏楽オリジナル作品と扱うようにすすめられているんでしょうか。まあ、単純に作品も非常に増えたという事情もあるのでしょう。

 吹奏楽オリジナル作品もとても良い作品が多いことは間違いないし、現役で活動している作曲家の作品がほとんどなので、それを取り上げることは大いに意味のあることだとは思います。ただ、コンクールで、何曲も続けて聞いていると、いささか「食傷気味」になるのも正直なところ。コンクール向けのあざとさがあるからではないかと思っています。

 「若者の心には、後期ロマン派が必要だ」というのが私の持論です。「後期ロマン派」というのは一例にすぎません。19~20世紀前半の大作曲家による、10~20代の人がハマりやすいクラシック音楽とお考え下さい。

 高校生の若い人たちには、クラシック音楽の名作に時間をかけて向き合う時間を持ってほしいと思います。なぜなら、クラシック音楽の最高の作品には、ひとえに音楽ばかりでなく、人間や芸術について深く考えさせるものがあるからです。現代の吹奏楽オリジナル曲にそれがないとは言いませんが、やはり百年前後の星霜を経て生き残り、名作と呼ばれる作品には、他の追随を許さない力があります。

 今日私が聞いた午前の部では、幕張総合高校がラヴェル作曲の『ダフニスとクロエ』、習志野高校がストラヴィンスキイ作曲の『火の鳥』を演奏しました。いずれも、20世紀初頭に当時最高の才能を集めて活動していた奇跡の芸術家集団、ロシア・バレエ団の委嘱作品であることが興味深く思われました。子どもたちに、最高の頭脳と才能によって作られた作品に触れてほしいという両校の指導者の意思を感じます。

 幕総や習高というと、全国大会を前提に活動している団体ということになりますが、そういう学校だけでなくても、クラシック・アレンジにもっと取り組んでほしいなと思います。

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