2016年09月23日 07:35

親が教えると、まず子どもは勉強嫌いになります

 私がよく読んでいるブログで、埼玉県のある塾長先生のものがあります。

 その記事の一つ。

 しばしば塾の先生は、皆さんに「早いうちから塾に通わせた方がいい」と言います。これは、金儲けで言っているのではありませんよ

というお話です。

 中1、いや、もっと早く小学生のうちから塾に通い、頑張ってたくさん勉強して、学力も成績もぐんぐん伸ばし、最初の頃の成績では考えられなかったようなレベルの志望校合格を実現する子どもたちを、塾の先生たちは日常的に目の前でたくさん見ています。

 だから、「早いうちから塾に通わせたほうがいい」と皆さんに勧めるのだ、とこのように仰っているのですが、これは全くその通りだと思いますね。

 今年の中3でも、夏休み明けの実力テスト、学校の期末テストで大ブレイクした生徒がいます。

 この子は小学生の時から通ってくれているのですが、小学生の時の成績は、平均以下どころではなく、かなり厳しいものでした。しかし、今年の8月の県立そっくりもぎは5科64、先日の定期テストでも過去最高の得点を挙げてきました。

 学力が普通、あるいは少々低めのお子さんでも、これほどの成績アップを果たすことはなぜ可能なのでしょうか。

 理由は簡単です。勉強に多大な労力と時間をかけてきたからです。

 上に紹介したお子さんの場合、小学生の間は、読書指導「ことばの学校」で日本語力を固め、語彙力を30,000語以上に高めてあらゆることを学ぶベースを構築しました。そして、中学に入ってからは5教科の予習・復習を徹底しました。復習だけを考えても、中1の春休み・夏休み・冬休み、中2の春休み・夏休み・冬休み、そして中3の春休み・夏休み、と計8回も繰り返し学習してきたことになります。

 普段は学校の宿題をやるくらいで、あとは定期テスト前に勉強するだけというお子さんが、中学生活も終わりに近づいてからいくら「頑張った」ところで、そうそう追いつけるものではありません。

 長期的に着実に基礎固めから行って、学力・成績を向上させるためには、子どもが勉強を嫌がらないことが不可欠です。ですから、親は子どもを勉強嫌いにしないことだけは最大限注意しなければならず、それさえクリアすれば、あとは何とかやりようはあるものです。逆に、ひとたび勉強嫌いにしてしまうと、どうともしようがない状況に陥ることになります。

 と、ここまで考えて、私も例の埼玉の塾長先生と似たような話を思いつきました。

 お子さんが家で勉強するのを見ていて、「全然できない」とか「やる気がない」とお嘆きのお母さん、お父さん。それは塾で勉強させたほうがいいですよと申し上げます。

 これも、金儲けで申し上げることではありません。

というお話。

 なぜかといいますと、まず間違いなく、お子さんが「できない」のも「やる気がない」のも、親御さんが教えるからなんです。これは、これまで数多くのお子さん方、お父さん、お母さん方に接してきて、思うことですね。

 以前、塾の口コミをまとめた冊子を読んでいて、このようなお母さんの感想を読んだことがあります。

「彼ら(塾講師)ができることなんて、子どもを怒らずに教えることだけです」

文章の雰囲気から、お子さんが志望校合格を果たせなかったり、塾に対して不満を持っていたりするのかと思われましたが、ある意味これは非常に的確な批評だと思います。

 そうです。塾ができることなんて、子どもを感情的に怒らずに教えること程度のものかもしれません。でも、それを皆さんはなかなかお出来にならない。

 大人の視点から見て「簡単な」問題に子どもがつまずいているのを知って、驚き、動揺する。冷静を装って説明するが、やっぱりできない。そのうち、「とんでもない」知識不足が発覚して、「こんなことも分からないのか」と激昂。こんなところではありませんか。

 親が子どもに「教える」ことで、子どもは何を「学ぶ」でしょうか。親御さんが教えられたことは、まず学びません。何を「学ぶ」かというと、どうしたらうざい親からグダグダ言われなくて済むかというテクニックです。

 一番代表的なのは、知ったかぶりです。

 「あ、そうか。」

 「うん、分かった。」

塾の人間の間では、子どもの「分かった」は信用するなということは常識中の常識ですが、多くの親御さんは、子どもが「分かった」というと、お子さんを解放しているのでしょう。

 子どもとしては、親から勉強を教えられるというかなりうっとうしい状況から、親をいかに怒らせずに解放されるかを察知して、分かったようにふるまう技術を身につけ、実行しているわけです。

 知ったかぶりで学力が向上することはありませんから、成績も伸びない。そのままでは、

「お前はこの前『分かった』って言ってたのに、出来てないじゃないか」

と親御さんから怒られますので、悪くすると不正行為に手を染めることがあります。

 学生時代、都内のY谷O塚という塾で、事務のアルバイトをしていた友人から、こんな話を聞いたことがあります。

 この塾では、週末定期的に行われている確認テストがあるそうなんですが、事務職員の重要な任務の一つとして、その模範解答を生徒に盗まれないようにするというものがあるそうです。初めて聞いたときはぎょっとしたものです。

 しかし、過干渉な親プレッシャーは子どもの学習意欲を高めることはなく、子どもはいかにそのストレスから逃れるかという方向にしか振る舞わないものだということを理解すれば、それほど驚くことではないのかもしれません。

 「家でやらせても、やる気がないんです」――たぶん親御さんの言い方や態度が、やる気を削いでいるのだと思います。

 「できないって、泣いちゃうんです」――泣かしてるんじゃありませんか?

 「分かるから、大丈夫って言うんです」――危機的な状況です。勉強から逃避にかかっていますね。

 とにかく、親として何が何でも避けていただきたいのは、子どもを勉強嫌いにすることです。勉強嫌いでさえなければ、後でどうにでも手を打つことができますが、勉強嫌いにしてしまったら、取り返しのつかないことになりかねません。

 「子どものため」を思って多忙な中から時間を割いて子どもに「教え」て、結果子どもを勉強嫌いにしてしまうなんて、これほど理不尽な話はないではありませんか。

 以前の記事にも書きましたが、大人として子どもに接するにあたって大切なことは、子どもの好奇心の対象となりそうなものをどんどん提示していくことです。親子一緒に、知的な活動を楽しむことです。

 子どもに勉強を教えるということは、誰に出もできそうで実は結構技術が必要なものです。餅は餅屋ということで、お子さんが「勉強のやる気がない」と思われたら、お気軽に塾にご相談になることをお勧めします。

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