2016年10月14日 23:30

親は自分がどうだったか忘れる

 行きつけの美容室で散髪をしてもらっているとき、そこのご主人がこのようなことを言っていました。

 「お客さんに子育て中の親という人がたくさんいるんですが、『自分の子どもは何ができない』とか『これがだめだ』とか、そんなことばかり言う人がいるんですよね。親って自分がどうだったかを忘れちゃうんですかね。」

 う~ん、さすが日々たくさんの人と世間話をする職業の方だけに、非常にいい点に気づいているなと思いましたね。

 私は塾をやっておりますから、勉強面で同じようなことに思い当ります。特に算数で。

 来週から国語道場では秋の面談が始まります。これまでの面談で、次のようなご相談をよくいただきました。

 「時間の計算がなかなかできません」、「単位の換算が難しいようです」、「割合がよく分かっていないようです」・・・。

 このようなご相談をいただくたびに湧き上がる素朴な疑問なんですが、皆さんこれらのことを学校で教わったときに、すぐにできるようになりましたか?

 私はだめでした\(~o~)/

 ですから、正直、それはそうすぐにできるようにはならないんじゃないでしょうかと思いますし、そのようにお答えしております。

 でも、今は問題なくできます。なぜか?それはこれまでの人生の中で何度もやってきたからにすぎません。ほとんどの方もそのはずなんです。

 こういうやり取りがしばしばありますんで、例の行きつけの美容室のご主人が、「親って自分がどうだったかを忘れちゃうんですかね」と言うのを聞いた時、思わずケープ越しに膝を打ったわけです。

 もちろん、「そんなの私は教わってすぐにできるようになったぞ」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、そのような方は例外的です。全体から見て1割もいません。

 ですから、このような単元でお子さんが行き詰まったとしても、それはお子さんの頭が悪いとか努力が足りないとかそういう問題ではなくて、単に経験が足りないのだということを理解しておく必要があります

 自分がどうだったかも忘れて、子どもの「できない」のは単なる経験不足であるということも分からずに、「あなたは○○が苦手だ」とか、「うちの子は△△ができない」などとことさらに言ってしまう方がいます。こういう方は、いたずらに子どもに苦手意識を植え付け、お子さんを勉強嫌いの方向にわざわざ導いてしまっていることに気づいてほしいと思います。熱心さのあまり無意識にしているのかもしれませんが、まことに残念なことです。

 どういうことかと言いますと、新しく教わることでも解いている問題でも、ちょっと考えて分からないと、すぐに自分はできないと思い込んでしまうお子さんが、非常に多いのですね。

 違うでしょうと。そこから粘って考えてみるとか、調べてみるとか、そういうことのできる人が、最終的にいろいろなことのできる学力の高い人に成長するのです。

 お子さんが、できないとすぐに諦めてしまうのは、習ったことがすぐに出来ないからと言って、「あなたは○○が苦手だから」などと大人から言われてきた影響もあるのではないかと思っています。

 子どもにとって少々難解な単元については、習ってすぐの時点では、基本的な考え方と、それについての易しい問題が解けていれば問題ありません。少し時間が経ってから、例えば今の時期でしたら冬休みなどに改めて復習し、さらにその後何度も類題を繰り返し、次第に難しいものにも取り組ませるようにすればよろしい。

 そうすればまず誰でもできるようになりますし、勉強嫌いにもなりにくく、かつ学ぶことの本質の一つ――繰り返すことの大切さや、すぐに出来なくても経験を積むことでいろいろなことが理解できるようになるという大切なことを学ぶことができます。

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