読解力はどこから来るのか?
先日の記事で紹介した「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」、売れに売れているようですね。
人工知能(AI)の進歩により、現在ある職業のうち半分くらいが消滅してしまうだろうとしばしば指摘されています。
「でも、それと同時に新しい職業が生み出されていくから大丈夫なんじゃないの?」という反論があります。たしかに、AIの発達に伴って、今現在でも新たな仕事はいくつも生み出されています。
しかし、そういう仕事に就けるのは、AIが苦手とするようなことのできる人だけです。その能力の基礎になるものこそが読解力だということです。
いやはや、子どもたちの学力危機の背景に国語力の不足があることに気づき、5年前にそれまで10年以上やっていた塾のシステムを全部ひっくり返して国語道場を立ち上げた私としては、このような本がベストセラーとなることに快哉を叫びたいですね。
それにしても、今から5年前に、教科としての国語だけでなく、あらゆる学びの基盤としての国語力を向上させるというコンセプトで塾をリニューアルしたことについて、我ながら大したものだなと思ってしまいます(`・∀・´)エッヘン!!
それでは子どもにその読解力をつけさせるためにはどうしたらいいのよ、ということですが、国語道場ではもちろんそのための様々な取り組みを行っているわけです。その辺は、このホームページをご覧いただくとか、国語道場に直接お問い合わせいただくなどしていただければと思います。
今回は、ご家庭で気を付けていただけるといいかなということを2つ3つご紹介しておこうと思います。
私、自宅では朝の犬の散歩係を務めております。
公園なんかを歩いておりますと、親御さんと小さなお子さんがお散歩をしているのに出会います。
「わんわん」
小さなお子さんは犬が好きですね。こちらに気づくと、指をさしてこう言ってくれることがよくあります。
そんな時親御さんは何をしているか。
「あ~、わんわんだねえ。」なんて言ってこっちを見て、それからお子さんと目を合わせられるような方だと、これは満点です。
霊長類の仲間は、親が子どもと同じものを見ることで、子どもがものを覚えていかれるようになるそうですよ。お父さんやお母さんと一緒に街を歩きながらいろいろなものを共感を持って見る。こうした幸福な感じの中で、周りの世界に広く目を向けていかれるようになるということでしょう。
たま~にいるんですよね。こういう時にスマホの画面を見つめて、子どもに生返事をしているような親御さん。
まあ、たまたまその時のっぴきならない仕事のメールを見ていたのかもしれません。それは分かりませんが、このようなことを積み重ねていって、結果子どもが「勉強が嫌いだ」とか「読解力がない」とかいうことになっても、せめてお子さんを責めないで上げてほしいものだと思います。
先日、千葉日報の読者からの相談コーナーにあった投書です。
荒れ気味の小5息子「よい子」にするには
小5の息子が不登校気味になり、親に暴力をふるったり、お金を持ち出したりと荒れ気味です。教育には厳しく、幼稚園のころから勉強も手取り足取り教えてきたのですが、成績が悪くほとほと嫌になってきました。どう接したら「よい子」に育つのでしょう。
これねえ。自分の子どもを「悪い子」にした原因は自分でしょとしか申し上げようがないですよね。こういうことに気づけないほど鈍い方なのか、それともこうして新聞に投書するくらいだから、うすうす自分が何かまずいことをしてきたのではないかということに気づいているのでしょうか。
ともかく、親御さんが子どもに勉強を教えるのは、本当にやめてください。子どもにとって親の個別指導は迷惑でしかありません。そんなことをするくらいだったら、きぼーるとか加曽利貝塚とかに行ったり、都川の田んぼにオタマジャクシ捕りに行ったりしてください。
お子さんに、毎日あれもこれもと習い事を詰め込んでしまう方、いまだに結構いらっしゃるようですね。
繰り返しますが、お子さんに、毎日あれもこれもと習い事を詰め込んでしまう方、いまだに結構いらっしゃるようですね。
こういう方に話を聞いてみると、結局子どもが家でぼーっとしているのを見るとイライラしてしまって、何かやらせないとと思われるかららしいんですが、子どもの知能を向上させるという観点からも、何かの技能を身につけさせるという点からも、これは完全に逆効果ですよ。
はっきり言って、習い事を詰め込まれてきたお子さんで、非常に頭がいいとか、秀でた技芸を持っているという人にはおよそ会ったことがないですね。
2週間ほど前のNHKスペシャル「人体」でも、山中先生が「ぼーっとすることは大事」と言っていましたでしょ?iPS細胞のアイディアも、自宅でシャワーを浴びているときにひらめいたそうですよ。
ぼーっとしている状態の時、実は脳の広い領域が活性化されているそうです。それをデフォルトモードネットワークと呼び、このときに、頭の中でばらばらになっている言葉やイメージの記憶がつなぎあわされて、ひらめきが生まれるのではないかと考えられているとか。
家事などでお忙しいときに、子どもがぼーっとしているのを見てイラっと来る気持ちは分からないでもないですが、感情に駆られて子どものそういう時間を潰してはいけません。
デフォルトモードネットワークについては、このNスぺよりも3年ほど前にNHK Eテレの「サイエンスZERO」という番組で見たことがありますね。それ以外にも、中学生用の国語の問題集に茂木健一郎さんの文章が載っていて、その中でも何かいいアイディアを思いつくには、脳をリラックスした状態にしてやることが大事だなんて書いてあります。
要するに、こうした子どもの知能を発達させるヒントになりそうな情報というのは、その辺に結構あふれているなということです。そういうものに、親御さんはぜひアンテナを張り巡らせて、知っていただきたいなと思います。
で、こうしたことが「読解力」と何の関係があるのかと思われるかもしれませんが、つまるところ好奇心旺盛でいろいろなことを知りたいとか、この世界は面白いことがたくさんあると感じる心のある人にしか、読解力は身につかないということです。幼少期から、親御さんといろいろなものに楽しみながら触れた経験の少ないお子さん、習い事をあれやこれや詰め込まれて自分から何かを学ぼうという意欲を失ってしまったお子さんに読解力を身につけさせるのは、これはなかなか困難なことになります。
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