起床時間を即答できない子どもの成績は伸びない
マエケンさん、すごいですね。
カープのピッチャーで、来季からLAドジャーズに移籍する前田健太選手のことです。
あるテレビ番組で、試合に登板するまでに行うという22のルーチンが紹介されていて、どんだけストイックなんだということが話題になっているようです。
まず、そのルーチンというのが前日の夜から始まるそうです。
風呂掃除にトイレ掃除といったタスクといっていいものから、それこそ一挙手一投足に及ぶようなものまで。
昔から、ピッチャーには験を担ぐ人が多いと言われていますが、前田投手の話を聞いていて、これは「験を担ぐ」という類のことではないなという気がしました。
これは、ベストのパフォーマンスを行うための自己コントロールへのこだわりなんじゃないでしょうかね。
ピッチャーのプレートの中心からホームベースの5角形の頂点までの距離は18メートル以上あります。タレントさんの始球式を見ていてわかるように、普通の人なら放ったボールがやっと届くような距離です。
その距離にただ投げるだけでなく、数センチメートル単位でどのようにボールが軌道を描くかをコントロールしなければならない。これが投手です。
それだけ大変なことを、前田投手のような先発要員であれば、百数十球にわたって成功しなければならないわけで、そう考えると本当に大変なことだなと思います。
とても投げている時だけの気持ちの強さだけでできるようなことではありません。したがって、登板の前からの様々な準備(肉体的にも精神的にも)が必要になってくるということなんでしょうね。
事前の準備を一つ一つ考えて、それを実践する、それも10年近くにわたって継続的に。
超一流になる人は、やはりなるべくしてなっているのだなと感じ入りました。
ひるがえって、世のボンクラ中学生たちはどうしているだろうかと思わずにはいられません。
「今回のテスト、悪かったんで次は頑張ります」とか、「今日から本気出します」とか口先だけは上等でも、3分5分と遅刻は当たり前、宿題は見落としやり忘れ、テキストやら筆記用具の忘れ物。
そんなことでよい結果など出せるはずもないでしょう。
例えば、消しゴムを一つ忘れるとします。
よく忘れ物をする子は、たぶんそんなことは何とも思っていないのでしょうね。
しかしながら、同じ学年、同じクラスで、消しゴムを忘れるなんて「そんなミス」はありえないだろうというレベルで前日準備をしている子もいるということを知るべきです。
以前、道場にこんな生徒がいました。ペンケースに4個も5個も消しゴムが入っている。
どうしてそんなに消しゴムを持っているのか尋ねたところ、クラスの席の周りに消しゴムを忘れる連中がいて、授業中にいちいち貸してくれと言われるのがうっとうしいからということでした。
忘れ物をしないどころか、周りに忘れ物をする連中がいるのでその対策まで想像して準備できるレベルの人というの子どももいるんですよ。
わたくしはしばしば、子どもたちに朝何時に起きるのかということを聞きます。
ここで、「はい、6時45分です」などと即答できないようだと、うーん、これは厳しいなあと思ってしまうのです。
大体、起床時間さえはっきりと決まっていないような生活態度であれば、あとの状態は推して知るべしなので。
国語道場は、あらゆることを学ぶ基盤としての日本語力を育て、そこから5教科の学力アップにつなげていくという学習指導を行っている塾です。
しかしながら、朝は決まった時間に自分で起きるとか、学校の準備は前日に完ぺきに済ませるとか、そういうことについては当然ながら何一つお手伝いはできません。
まあ、こんなことはいちいち申し上げるようなことではないのですが、本当に子どもの学力を上げたいというのであれば、勉強をさせる以前に、生活習慣を確立させるほうがはるかに重要というか、必要条件です。こちらができていないうえで学力向上なんてありえないです。
こんなことを考えていたら、ニーチェが次のようなことを書いているのに気が付きました。
≪ここでは方法論に関して誤ってはならない、というのは、感情や思想のたんなる陶冶はほとんど無効であるからである。・・・人は肉体をまず第一に説得しなければならないのである≫~『偶像の黄昏』/ちくま学芸文庫ニーチェ全集14/141ページ
ニーチェにまさかこんな子育て論にぴったりな言葉があったとは(笑)
子育てに関していえばですが、感情や思想のたんなる陶冶」、つまり、子どもに「勉強しなさい」とか「ちゃんとしなさい」と言うようなことはほとんど意味がないということですよ。
まず第一に必要なことは、「肉体を・・・説得」すること。つまり、朝は何時に起きるとか、夜は何時になったら明日の学校の準備をするとかいうことを、時間を守らせることで体に覚えさせることですな。
そうすれば、「その他のことはそこから生じてくる」ということですよ。
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